2年目社員研修とは?具体的なプログラム例や成功ポイントを紹介

入社2年目は、業務にも慣れ、成果が求められる重要なフェーズです。一方で責任だけが増し、成長の頭打ちや離職につながるリスクも高まります。企業が若手の戦力化を加速するうえで、この時期の育成は欠かせません。
そこで、多くの企業では実務力強化や主体的な行動促進を目的とした「2年目研修」を導入しています。
本記事では、研修の位置づけや主なプログラム例、導入ステップ、成功させるためのポイントまで、効果的な若手育成に必要な情報を体系的に紹介します。
目次[非表示]
- 1.2年目研修とは
- 2.2年目研修の目的
- 2.1.基本業務の品質向上
- 2.2.主体性と責任感の強化
- 2.3.組織への貢献意識向上
- 2.4.キャリア形成の支援
- 2.5.離職防止と定着促進
- 3.2年目社員が抱えやすい課題
- 3.1.成長実感の低下・仕事への飽き
- 3.2.後輩の入社による孤立感やプレッシャー
- 3.3.後輩指導やコミュニケーションへの苦手意識
- 3.4.自律性や責任感の不足
- 3.5.職場への帰属意識の希薄化
- 4.具体的な研修内容・プログラム例
- 4.1.自己振り返り・自己理解
- 4.2.ビジネススキル強化
- 4.3.コミュニケーション力・チームワーク強化
- 4.4.後輩指導力/フォロワーシップ研修
- 4.5.実践型ワークショップ・ケーススタディ
- 4.6.キャリアビジョン設計・モチベーション維持支援
- 5.成果を出す2年目研修のポイント
- 5.1.社員の声・課題を把握する
- 5.2.目的・ゴールを明確化する
- 5.3.“講義型”だけでなく、“実践型”を取り入れる
- 5.4.フォロー体制の整備
- 5.5.職種や組織風土に応じた設計
- 5.6.H3: 研修後の評価と改善
- 6.2年目研修導入のためのステップとチェックリスト
- 6.1.■ 事前準備フェーズ — 目的・期待役割の明確化
- 6.2.■ 研修プログラム設計フェーズ — 内容・講師・スケジュール設計
- 6.3.■ 実施フェーズ — 行動変容につながる設計
- 6.4.■ フォロー・振り返りフェーズ — 学びの定着支援
- 6.5.■ 改善フェーズ — 継続的なプログラムアップデート
- 7.eラーニング導入で研修を成功させた事例紹介
- 7.1.【事例】株式会社CRYSTALINO様:若手社員のビジネス基礎力強化での利用
- 7.2.【事例】メディカル・データ・ビジョン株式会社様:多様なeラーニング研修での利用
- 7.3.【事例】丸紅ロジスティクス株式会社様:物流基礎知識の研修での利用
- 8.まとめ
- 8.1.eラーニングプラットフォーム
- 8.2.eラーニングパッケージ
2年目研修とは

2年目研修は、日々の業務に慣れ始めた若手社員が“次のステップ”へ進むために実施される研修です。
入社1年目に身につけた基礎力を前提に、仕事の質を高める視点や、組織への貢献意識、主体的に役割を広げていく姿勢を養います。
実務経験を一度踏まえているからこそ、自身の成長や課題がより具体的に捉えられる時期でもあります。このタイミングで、仕事の進め方やコミュニケーションの見直し、キャリアの方向性を整理することで、自律的に成果を出せる戦力へと成長していくことが期待されています。
2年目研修の目的

2年目研修は、ただの“復習”ではなく、社員の自律的成長と、企業の将来を見据えた戦略的な「投資」です。ここでは、研修を導入することで期待できる目的と成果を整理します。
基本業務の品質向上
入社1年目で学んだ基本業務は、まだ習慣化・最適化には到達していません。2年目研修では、これまでの実践を振り返りながら、コミュニケーションや業務遂行における基本スキルをアップデートします。
特に量よりも質を求められるようになるこの段階では、単なる「作業効率」ではなく「成果の再現性」「ミスの削減」「納期遵守」といった指標で評価できるよう、研修内容を設計することが求められます。
成果に結びつく精度や効率性を高め、仕事のクオリティをワンランク引き上げることができます。
主体性と責任感の強化
2年目は、指示を待つ姿勢から、自ら課題を見つけて動く「主体性」が試される時期です。研修を通じて、役割に対する責任感や成果へのコミットメントを強化することで、社員はチームにとって欠かせない戦力へと成長していきます。
「自分が仕事を動かしている」という実感は、仕事への満足感ややりがいにもつながります。
組織への貢献意識向上
日々の業務に追われる中で、「何のために働くのか」が見えにくくなる時期でもあります。
研修で企業理念やチームの目的、他部署との関係性を改めて確認することで、自分が組織の一員であるという自覚や、仲間とのつながりを再構築します。
これにより、仕事の意義や目的を取り戻し、エンゲージメントの向上が期待できます。
キャリア形成の支援
2年目は、目の前の仕事に追われがちで、どうしても短期的な成長に偏りやすくなります。しかしこの時期だからこそ、自分の強みや可能性を見つめ直し、将来のキャリアについて考える機会が重要です。
研修を通じて「自分のキャリアを自分で描く力」(キャリアオーナーシップ)を育むことは、社員のモチベーション維持だけでなく、企業が持続的に成長するための人材基盤づくりにもつながります。
離職防止と定着促進
2年目も、離職リスクが高まる要注意の時期です。
厚生労働省の調査でも、離職が多いとされる1年目と同水準の離職率が2年目にも見られ、依然として若手社員の離職リスクが続いていることが示されています。
これは、業務に慣れ始める一方で、自社の将来性や自分のキャリアを冷静に見極めるようになる2年目が、離職という選択を現実的に検討しやすいことを示唆しています。
そのためこの時期に、研修を通してキャリアの見通しやスキルアップの道筋を示すことは、不安や迷いを解消し、定着促進に寄与する重要な施策となります。
参考:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します」https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00010.html
2年目社員が抱えやすい課題

入社から1年を超えて、慣れてきた一方で「伸び悩み」や「立ち位置の曖昧さ」に直面する社員も少なくありません。
ここでは、2年目社員が陥りやすい課題や、離職につながるリスク要因を整理します。
成長実感の低下・仕事への飽き
新入社員時代は、毎日が発見の連続で成長を実感しやすい時期です。しかし2年目になると、業務が一巡し、成果の伸びが見えにくくなります。「このままでいいのか」という不安やキャリア迷子状態に陥ることで、モチベーションが低下しがちです。
後輩の入社による孤立感やプレッシャー
後輩が入ってくることで、周囲から“先輩の振る舞い”を求められ始めます。一方で、自分自身もまだまだ半人前という自覚があり、間に挟まれた気持ちになる時期です。相談相手が減り、孤立感を深めるケースも少なくありません。
後輩指導やコミュニケーションへの苦手意識
2年目は指導役としての期待が高まるタイミングです。しかし、教えるスキルや業務全体像への理解が十分でなければ、指導に自信を持てません。伝え方がわからないまま指導を求められ、コミュニケーションへの苦手意識が強まることがあります。
自律性や責任感の不足
指示待ち姿勢から脱却できず、主体性を求められる場面で力を発揮できないこともあります。責任の重さと自信の不足のギャップがストレスとなり、気持ちが揺らぎやすくなります。「期待に応えたい気持ち」と「自信のなさ」の狭間で葛藤が生まれます。
職場への帰属意識の希薄化
キャリアの選択肢が広がり、他社や異業界への興味が湧くのもこの時期です。職場や仕事に対する期待値と現実が合わない場合、「ここで働く意味」を見失うリスクがあります。離職にもつながりやすいため、企業側の適切なフォローが不可欠です。
▶関連記事:新入社員が退職してしまう原因とは?離職率を下げる解決法を徹底解説
具体的な研修内容・プログラム例

業界や職種によって必要な内容は異なりますが、多くの企業で応用しやすく、2年目社員の成長に大きく寄与する“汎用的なプログラム”があります。
ここでは、代表的なプログラム例を目的別に整理して紹介します。
自己振り返り・自己理解
入社1年の経験から、成功パターンと苦手ポイントを可視化し、2年目の役割期待に応じて行動をアップデートします。
プログラム例
- 1年間の棚卸しワークショップ業務経験を事実ベースで整理し、成長ポイントと改善課題を言語化
- 強み発見セミナー個々の強みを再認識し、「活かし方」を具体化
- キャリアオーナーシップ研修受け身ではなく、自律した成長行動への転換を図る
ビジネススキル強化
「できるようになった基本」を“成果につながるレベル”へと引き上げる段階です。
プログラム例
- タイムマネジメント研修優先順位付け/段取り力を鍛え、締切遵守と生産性向上を両立
- ロジカルシンキング研修課題の切り分けやストーリー整理で提案力を改善
- 業務改善PDCA実践演習自分の業務を題材に、効率化と品質向上を企画・実行
コミュニケーション力・チームワーク強化
周囲との連携が求められる2年目、対話力や協働力の向上が成果を左右します。
プログラム例
- アサーティブ・コミュニケーション研修言うべきことを適切に伝え、衝突を防ぎながら前進
- 報連相高度化トレーニング「相手の判断を助ける伝え方」を身に付ける
- 他部署連携シミュレーション部門間調整の難しさを体験し、視野拡大
後輩指導力/フォロワーシップ研修
先輩としての立場が加わることで、チームに貢献する視点が必須に。
プログラム例
- OJT指導スキル研修段階的育成・フィードバック技法を実践で習得
- フォロワーシップ研修リーダーを支え、チーム成果を最大化する役割を理解
- メンタリング基礎後輩の心理的安全性を保ちながら成長を支援
実践型ワークショップ・ケーススタディ
現場課題に即した演習により、学びを明日からの行動へつなげます。
プログラム例
- ケースディスカッション顧客対応や改善提案などリアルな事例で思考力を強化
- プレゼン・提案実践演習発表→フィードバック→改善を繰り返し、質を向上
- 自職場課題の解決プロジェクト業務で成果を出すところまでをゴールに設定
キャリアビジョン設計・モチベーション維持支援
短期成果だけでなく、中長期で「どんな人材になりたいか」を描き行動へ。
プログラム例
- キャリアデザイン研修理想像とのギャップ分析→行動計画へ落とし込み
- 目的とやりがい再確認ワーク仕事の意義を再定義し、モチベーション回復
- 2年目交流サミット(他部署連携)社内ネットワークを広げ、貢献意欲を高める
成果を出す2年目研修のポイント

2年目研修を“やっただけ”で終わらせず、現場の行動変容や定着率向上といった成果につなげるには、設計と運用において押さえておくべき要点があります。
ここでは、効果を最大化するための必須ポイントを整理します。
社員の声・課題を把握する
2年目社員の課題は職場環境や職種により異なります。
まずは、実情を丁寧に把握することが欠かせません。 課題理解が曖昧なまま進めると、“的外れな研修”になりやすいため、最初の診断が重要です。
- アンケート(困りごと/成果を出せない理由/成長した点)
- 上司面談(期待役割と実際の差分)
- 業績・評価データの分析(ミスの傾向、納期遅延など)
- 働きがい調査(エンゲージメント低下の兆候を発見)
目的・ゴールを明確化する
「どんな行動ができれば成功か」を具体的に設定します。
例:KGI/KPI設定の一例
KGI:担当業務の自走化率向上、離職率低下
KPI:「報連相の質」改善回数、期限厳守率アップ、企画提案数増など
行動ベースの評価指標を入れることで、効果検証が現場で行いやすくなります。
“講義型”だけでなく、“実践型”を取り入れる
理解だけでは定着しません。
ワークやディスカッション、現場課題を扱ったケース演習を取り入れることで、明日からの実践につながるスキルが身につきます。
経験学習サイクルを意識した設計が理想的です。
フォロー体制の整備
研修後3週間が、行動変容の分岐点といわれます。
そこで、現場を巻き込むフォロー施策が不可欠です。
例:フォロー施策
上司1on1(行動宣言の進捗確認)
チーム共有会(成果・気づきの交換)
OJT担当との連携(現場支援計画の策定)
行動目標の毎週振り返り(簡易DXツール活用)
職種や組織風土に応じた設計
全社員が同じ課題を抱えているとは限りません。
共通研修だけでは効果にばらつきが出ます。
例:セグメント別設計
営業 → 顧客提案力・売上責任意識
コーポレート → 横断調整力・改善活動推進
エンジニア → 自己管理、レビュー精度向上
▶関連記事:階層別研修とは?目的・メリット・カリキュラム例までわかりやすく解説
H3: 研修後の評価と改善
研修効果は「受講満足度」だけでは測れません。
確認すべき指標
行動評価(例:主体的行動の増加)
仕事品質(ミス・納期遅延の変化)
生産性(成果物の工数削減)
上司評価・360度フィードバック
離職率・エンゲージメント
データ循環で次年度研修がさらに強くなります。
2年目研修導入のためのステップとチェックリスト

「導入したものの、成果が見えない」「現場と連携が難しい」といった課題を避けるためには、計画から実施後の改善までを一貫して設計することが重要です。
ここでは、失敗しない2年目研修導入の流れと、担当者が押さえるべきチェックポイントをまとめます。
■ 事前準備フェーズ — 目的・期待役割の明確化
現状課題と期待成果を揃え、研修の必要性を社内で明確にする段階です。
□ 現場上司とのヒアリングで、2年目社員の現状課題を把握
□ 研修目的と期待成果(行動変容・KPI)の設定
□ 対象者・実施形式・予算・社内調整フローの整理
□ 研修を実施する意義の社内共有(特に上司への説明)
■ 研修プログラム設計フェーズ — 内容・講師・スケジュール設計
「何を・どの順番で・誰が実施するか」を具体化し、当日の成功を約束する段階です。
□ 育成ロードマップ上での位置づけを確認
□ 講義+ワーク+現場実践の最適バランスを検討
□ 外部講師活用時の要件定義(専門性/ファシリ力)
□ 受講者のモチベーションを上げる導線(案内文、導入セッション)
■ 実施フェーズ — 行動変容につながる設計
研修内で成功体験を積ませ、明日からの行動を変えることが最優先です。
□ 「学びを自分事化」させる演習・対話中心の進行
□ 現場業務とリンクした課題設定
□ 講師と人事の役割分担の明確化
□ 参加しやすい配慮(オンライン環境・当日の運営体制)
■ フォロー・振り返りフェーズ — 学びの定着支援
現場で実践を継続させ、成長実感を強めるための支援フェーズです。
□ アンケートと自己評価で振り返りを促す
□ 上司面談で行動目標を設定
□ 職場実践レポートやピアサポートの活用
□ 効果測定(パフォーマンス指標・定着指標など)
■ 改善フェーズ — 継続的なプログラムアップデート
年度ごとに“より成果の出る研修”へ進化させていく段階です。
□ 研修目的と成果のギャップ検証
□ 受講者/現場の声を分析し反映
□ 次年度以降の改善点と成功要因を文書化
□ 育成施策全体にフィードバック(1〜3年育成との連動)
eラーニング導入で研修を成功させた事例紹介

【事例】株式会社CRYSTALINO様:若手社員のビジネス基礎力強化での利用
株式会社CRYSTALINO様では、20代若手社員の共通教養や社会人基礎力向上のため、eラーニングコンテンツがパッケージ化されている「サクテス学びホーダイ」を活用しています。
案件の増加に伴い、取引先から見て当たり前のビジネスマナーや社会人基礎力の教育が必要となり、短時間で学べるeラーニングを導入しました。
導入後は、社内で学習内容を共通言語化でき、指導やフォローがしやすくなったほか、会社として「社員の育成に本気で取り組んでいる」姿勢を示すこともできました。
現在は「ビジネスファーストステップ」と「ビジネスベーシック」の2つのコンテンツを活用し、内定者の入社前学習にも対応しています。
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【事例】メディカル・データ・ビジョン株式会社様:多様なeラーニング研修での利用
メディカル・データ・ビジョン株式会社様では、LMS(SAKU-SAKU Testing)を活用し、さまざまなテーマのeラーニング研修を実施しています。
これまでは、無料システムを使って自部署内で研修の企画から集計まで行っていましたが、社会ニーズの変化に伴い、センシティブな内容を含む研修も増え、専門的な知見を取り入れたコンテンツ運用が課題となっていました。
LMS(SAKU-SAKU Testing)の導入により、既存教材と自社オリジナル設問を組み合わせた柔軟なテスト設計が可能となり、動画や確認問題を通じて、忙しい社員でも要点を効率的に学べる環境を実現しました。さらに、自動リマインド機能によって受講率が向上し、督促作業にかかる時間も大幅に削減されました。
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【事例】丸紅ロジスティクス株式会社様:物流基礎知識の研修での利用
丸紅ロジスティクス株式会社様では、LMS(SAKU-SAKU Testing)を活用し、物流分野における基礎知識や安全教育などの研修をオンラインで実施しています。
これまでは、集合研修や各センターへの訪問による対面研修を行っており、多くの社員のスケジュール調整に時間を要するほか、受講後の理解度を把握する仕組みが整っていないことが課題でした。
導入後、全社員に均一な内容で研修を提供できるようになり、理解度テストで満点を受講完了条件とすることで、学習の定着度を可視化できるようになりました。また、受講者は業務の合間に学習できる点が好評で、管理者もダッシュボード上で受講状況を容易に確認できるようになり、運用負荷の軽減を実現しています。
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まとめ
2年目研修は、社会人基礎力の再確認にとどまらず、主体的な業務遂行やキャリア意識を育てる重要な機会です。組織の期待が高まるこの時期だからこそ、学びの定着と継続につながる仕組みづくりが欠かせません。
eラーニングを活用すれば、業務と両立しながら、必要な教育を継続的に提供できます。イー・コミュニケーションズでは、2年目社員をはじめとした若手育成に最適なeラーニングソリューションをご用意しています。
eラーニングプラットフォーム
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eラーニングパッケージ
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- 内定者~入社3年目、管理職候補まで階層別コンテンツを網羅
- 100本以上の動画+3,000問超のビジネス問題で理解度を測定可能
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