
中途採用者への研修を成功させる5つのポイント!カリキュラム例も紹介
中途採用者研修を行うことは、企業理念を理解してもらうことや職場へ早く馴染んでもらうためにも重要です。しかし、どのように研修を実施したら良いのかお悩みの方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、中途採用者への研修が必要な理由、研修内容や実施方法、成功させるポイントをご紹介します。
目次[非表示]
- 1.中途採用者向けの研修が必要な理由・目的
- 1.1.企業理念や風土を理解してもらうため
- 1.2.配属前に必要な知識を習得してもらうため
- 1.3.職場環境に馴染んでもらうため
- 1.4.定着率向上のため
- 2.中途採用者向けの研修で行うべき内容
- 3.中途採用者向けの研修のカリキュラム例
- 4.中途採用者向けの研修の方法
- 5.中途採用者向けの研修を実施する流れ
- 5.1.1.中長期的な視点で目標や課題を定める
- 5.2.2.中途採用者の強みや個性を知る
- 5.3.3.ビジネスマナーを再確認する
- 5.4.4.効果測定を行う
- 5.5.5.フィードバックの仕方を工夫する
- 6.中途採用者向けの研修を成功させるポイント
- 6.1.eラーニングを積極的に活用する
- 6.2.教育担当者の育成
- 7.中途採用者対象の研修後に必要なフォロー
- 7.1.相談しやすい雰囲気をつくる
- 7.2.定期的に面談の場を設ける
- 7.3.中途採用者のキャリアプランをサポートする
- 8.まとめ
中途採用者向けの研修が必要な理由・目的
中途採用者は「新しい職場に馴染めるだろうか」「仕事についていけるだろうか」など、さまざまな不安を抱えている可能性が高いです。そういった不安を解消し、自社で長期的に活躍してもらうために中途採用者への研修は重要です。
ここでは、中途採用者への研修が必要な理由と目的を紹介します。
企業理念や風土を理解してもらうため
中途採用者向けの研修を実施する理由の1つは、改めて自社のMVVについて理解を深めてもらうことです。
同一の業界でも、企業によって「MVV(ミッション、ビジョン、バリュー)」は異なります。組織力を向上させるためには、社員全員がMVVを理解し、同じ方向を向くことが重要です。
配属前に必要な知識を習得してもらうため
2つ目は、担当部署へ配属させる前に、組織のルールや業務の流れなどの必要な知識を習得してもらうためです。
企業によって業務への取り組み方やプロセスが異なる場合があります。それも会社全体ではなく、部署やチームによって細かく独自のルールが設けられている場合もあります。
いくら即戦力になる優秀な人材でも、配属後すぐはどのように業務に取り組めば良いか戸惑うことがあります。
配属前に必要な知識やマニュアルなどを認識してもらえば、業務の流れがイメージでき、新天地でも十分なパフォーマンスを発揮できるでしょう。
職場環境に馴染んでもらうため
3つ目は、既存社員との信頼関係を築き、職場に馴染んでもらうためです。
中途採用は新卒採用とは異なり、同期が少ないことから入社後すぐに気軽に話せる社員がいないため、新たな職場での人間関係の構築や、職場環境への適応に不安を感じやすい傾向にあります。
中途採用者が職場環境に馴染めず、孤独やストレスを感じないよう、研修を通して既存社員とコミュニケーションが取れる場を設けることが大事です。
定着率向上のため
研修を通じて自社の理念や文化を理解してもらうことは、早期戦力化はもちろん、企業への愛着心を育てるのにも役立ちます。
企業に愛着心があれば、仕事へのモチベーションが高まり離職しにくくなるため、定着率向上が期待できます。
中途採用者向けの研修で行うべき内容
中途採用者向けの研修の必要性は把握できたものの、目的達成に向けてどのような研修を行うと良いのかと悩む方もいるのではないでしょうか。
そこで、中途採用者向けの研修で行うべき内容を紹介します。
実務研修
中途採用者向けの研修でまず実施したいのが実務研修です。
新卒採用の場合、最初にビジネスマナーやPCの操作といった基礎的な内容から始める必要があります。
しかし、中途採用の場合はそうした基礎的なスキルや知識は身に付いていることが多いので、業務に必須の実務研修から始めても問題ありません。
即戦力として活躍してもらうためにも、OJT研修のような実践的な内容で研修をすすめるのがおすすめです。
理念研修
中途採用者は、それまで働いていた企業の理念や文化、仕事への向き合い方などが染み付いている場合があります。
理念研修によって自社の創業から現在に至るまでの歴史や文化、取扱製品やサービス、今後のビジョンなどを伝え、自社への理解度を高めることも重要です。
中途採用者がスムーズに馴染めるように、社内規定やルールなども共有しておきましょう。
キャリア研修
中途採用者は、この先のキャリアを見据えて転職してきた可能性があります。キャリア研修を実施して、自社ではどのようなキャリアを積めるのかを提示しましょう。
明確なキャリアプランがあると仕事への意欲が高まるため、早期離職の防止にも役立ちます。
また、キャリアプランが定まっていない場合は、キャリア研修の中で自分の価値観や強み・弱みなどを洗い出し、具体的な目標を立てるサポートをすることも大切です。
自分の価値観や目標が定まると、主体的に動けるようになります。
セキュリティ研修
企業は顧客データや契約書、未公開の研究開発データなど、数多くの機密情報を抱えているためセキュリティ研修も欠かせません。
過去の勤め先でセキュリティ研修を受けている可能性は高いですが、改めてセキュリティ対策やITリテラシー、情報漏洩の危険性などについて伝えておきましょう。
最近はSNSによるトラブルも増加傾向にあるため、SNSの使い方や危険性を伝えることも重要です。
中途採用者をはじめ、社員の情報セキュリティの意識を高めることは、企業全体のリスクマネジメントスキルの強化にもつながります。
セキュリティ研修に関しては、こちらの記事でも紹介していますので、参考にしてください。↓↓↓
情報漏洩のリスクを減らす! 効果的な情報セキュリティの社内教育実施法
コンプライアンス研修
中途採用者向けのコンプライアンス研修も、ぜひ実施したいところです。セキュリティ研修と同じく、「前の勤め先で受けた」と思われるかもしれません。
しかし、急速なコンプライアンス意識の高まりとともに、企業に対する社会の目も厳しくなっており、些細なことが企業の信用失墜につながるリスクがあります。
また、コンプライアンスは法令遵守を指すものですが、社内規定やルール、理念に沿った言動を求めるものでもあります。
過去の勤め先とは異なる部分が出てくる場合もあるため、コンプライアンス研修を実施し、ルールの遵守や倫理観の重要性、社会人としての責任感を学んでもらう必要があるのです。
コンプライアンス研修に関しては、こちらの記事でも紹介していますので、参考にしてください。↓↓↓
コンプライアンス研修とは?身近なコンプライアンス違反から学ぶコンプライアンス研修の必要性や研修で得られる効果を解説
フォローアップ研修
フォローアップ研修とは、研修実施後に一定期間経過してから行う研修を指します。さまざまな研修を実施しても、時間が経つと内容を忘れたり意識が低下したりするものです。
フォローアップ研修によって過去の研修内容を振り返ったり、現在の課題を洗い出したりすることで、徐々に内容が定着していきます。
中途採用者の不安や悩みを解決したり、スキルや知識の習熟度高めたりするのにも役立つので、定期的に実施しましょう。
中途採用者向けの研修のカリキュラム例
以下は中途採用者のカリキュラム例です。
1.アイスブレイク
・講師、受講者の自己紹介を行う。
・研修の目的や流れを説明する。
2.企業理念の共有
企業理念や事業内容、業界での立ち位置などを紹介する。
3.ビジネスマナー
名刺交換や電話対応の仕方などを、座学とロールプレイを交えて伝える。
4.仕事の進め方
配属部署や役割に応じた、業務の流れや最低限の知識を伝える。
5.チームワークの重要性
自社が定義するチームワークとは何か、またチームワークやコミュニケーションにおける重要性を解説する。ロールプレイで既存社員とコミュニケーションを取る。
6.プロジェクト管理(管理職向け)
ロールプレイやケーススタディなどで、プロジェクト管理の知識とスキルを向上させる。
中途採用者向けの研修の方法
研修の実施方法には、一般的な座学研修やOJTに加え、近年増えているeラーニングがあります。それぞれメリット・デメリットがあり、適した研修内容は異なるため、自社の状況や中途採用者の能力に応じて適切な方法を選択すると良いでしょう。
また、異なる研修方法を併用するのもおすすめです。ここでは、中途採用者研修の種類を3つご紹介します。
座学研修
座学研修は、講師またはトレーナーが受講者に向けて講義をする方法です。主に企業理念や風土、業界知識、業務の基本的な流れなどを共有する目的で行われます。
座学研修は後述するOJTの前に行われることも多く、一日で終わる場合もあれば一週間ほどかけてじっくり行うケースもあります。
座学研修は中途採用者の人数が多い場合にも対応できる点がメリットです。また講師は事前に作成してある教材や資料を使用するため、研修の質を均一にできます。しかし、実践的なスキルの習得には適していません。
OJT
OJT(On-the-Job Training)は、実務を通して知識やスキルを習得する方法です。
中途採用者の場合は、ある程度業界知識やスキルを習得しているケースが多いため、働きながら企業の細かな業務ルールを把握していくほうが効率的な場合があります。
OJTは一般的に配属先の上司が直接指導することになりますが、複数人をまとめて研修するのが難しい点がデメリットです。
また、繁忙期で人的リソースが不足していると研修を行う余裕がない場合もあるでしょう。
OJTに関してはこちらの記事でご紹介してますので、参考にしてください。
↓↓↓
OJT教育を成功に導く!ポイントやメリットをご紹介します
eラーニング
eラーニングは学びを電子化したもので、PCやタブレット、スマートフォンなどで学習する形態を指します。
インターネットの発展やスマートフォンの普及によって、中途採用者研修にeラーニングを用いる企業が増えました。
eラーニングを活用すると、資料や動画、クイズなどのコンテンツが配信でき、受講者の好きなタイミングで学習してもらえます。そのため企業側は会場の確保や設営、講師などの準備が不要になります。
中途採用者向けのeラーニングをお探しの企業様は、ビジネスに関するコンテンツが豊富な「SAKU-SAKU Testing」をご検討ください。
▼お取り扱いコンテンツ例
・ビジネスパーソンが理解しておきたい「ビジネスベーシック」
・管理職に向けた「ビジネスマネジメント」
・コンプライアンス教育のスタンダード教材「コンプライアンス・ハラスメント・情報セキュリティベーシック」 など
自社で作成した資料を活用してコンテンツを作成することも可能です。
コンテンツの受講状況や学習データ、結果などをリアルタイムで管理でき、採点の効率化やフィードバックも容易に行えます。詳細は下記からご覧ください。
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中途採用者向けの研修を実施する流れ
中途採用者向けの研修を実施するにあたり、どのように準備を進めていけば良いのでしょうか。ここでは、中途採用者向けの研修を実施する際の、基本的な流れを紹介します。
1.中長期的な視点で目標や課題を定める
研修の方向性や軸を定めるためにも、目標を定めましょう。自社が抱える課題や企業目標などを踏まえて、中長期的な視点で設定することがポイントです。
中長期的な目標が定まれば、研修を通して中途採用者にどのような知識・スキルを身に付けてもらいたいのかが明確になります。
2.中途採用者の強みや個性を知る
新卒採用者とは異なり、中途採用者がもつ知識やスキルのレベルはさまざまです。すでに中途採用者が習得している分野の研修を行っても意味がありません。
事前に中途採用者の能力や個性を把握し、柔軟に研修内容を調整すると効率的です。入社前の面接や採用後のヒアリングなどで、中途採用者のデータを細かく取っておきましょう。
3.ビジネスマナーを再確認する
名刺交換の仕方や電話応答の仕方など、基本的なビジネスマナーが身に付いているか再確認しましょう。中途採用者は社会人経験があるため、「ビジネスマナーが身に付いているもの」と思われがちですが、前職でビジネスマナー研修を受けていなければ、知識が不足している可能性もあります。
また前職で学んだビジネスマナーが、自社で定義しているものと異なるケースも少なくありません。お互いの認識をすり合わせる上でも、備わっている知識を確認しておくことは重要です。
イー・コミュニケーションズでは内定者・新入社員向けのeラーニングコンテンツ「ビジネスファーストステップ」を提供しております。テスト結果から、各受講者の苦手な分野を分析することが可能ですので、研修を実施する前の準備としてもご活用いただけます。
4.効果測定を行う
中途採用者研修に限らず、企業研修は「やりっぱなし」で終わるケースがよくあります。学習した内容を実務で活かしてもらうためには、研修の効果を正確に測定し、次の育成計画を考える必要があります。
効果測定には、次のような方法が活用できます。
・研修後アンケート
・理解度テスト
・活用度調査
・ROI分析
各方法の詳細については以下の記事で解説していますので、あわせてご確認ください。
↓↓↓
「社内研修の効果測定に有効な方法は?効果測定の課題とポイントを解説」
5.フィードバックの仕方を工夫する
研修や試験を終えたら、効果測定をもとに各受講者へフィードバックを行います。
このとき、ただ良かった点や悪かった点を伝えるだけではなく、次のアクションや目標設定につながるような「気づき」を与えることが重要です。
フィードバックの仕方を工夫すれば、中途採用者のモチベーションを大幅にアップさせ、自己成長意欲を高めることが可能です。
中途採用者向けの研修を成功させるポイント
上記の実施の流れで触れたポイント以外にも、中途採用者向けの研修を実施するにあたって留意しておくべき成功のポイントがあります。
eラーニングを積極的に活用する
中途採用者向けの研修を成功させたいなら、eラーニングの活用をおすすめします。自分の好きなタイミングで繰り返し学習できるため、習熟度向上に役立ちます。
また、研修にかかる人的コストを効果的に抑えられる点がメリットです。
教育担当者の育成
教育担当者の質は、研修の質に影響します。
中途採用者の研修・教育を実施する前に、研修・教育担当の社員やOJTトレーナーの教育を行い、レベルを上げておくことも大切です。
中途採用者対象の研修後に必要なフォロー
中途採用者向けの研修を終えた後は、内容を定着させスキルアップにつなげるために、定期的なフォローアップを行うことが重要です。
ここでは、中途採用者へのフォローにおけるポイントを3つご紹介します。
相談しやすい雰囲気をつくる
中途採用者はまだ職場に馴染んでおらず、誰とも気軽に相談できる関係性を築けていないことがほとんどでしょう。
上司から積極的にコミュニケーションを取り、相談しやすい雰囲気をつくることが大切です。「質問しにくい」「悩みを誰にも話せない」と思わせないよう、中途採用者に気を配りましょう。
定期的に面談の場を設ける
上司と部下が1対1で話す「1on1ミーティング」によって、中途採用者の入社後の現状や、困りごとがないかなどを聞いてみましょう。
普段話せない悩みも、面談の場であれば話しやすくなります。面談の際は、中途採用者がリラックスして本音で話せるよう、アイスブレイクや業務とは関係のないプライベートな話も交えつつ進めることがポイントです。
中途採用者のキャリアプランをサポートする
中途採用者は自分の理想のキャリアを築くために、自社を選んで応募しています。企業側は中途採用者がどのようなキャリアプランを描いているのか知り、それを実現するアドバイスやサポートをすることが重要です。
研修後の効果測定や面談によって個人のスキルレベルや将来像を把握した上で、適切な目標設定をしていきましょう。
まとめ
中途採用者研修は、新しい職場に早期に馴染んでもらうことや、企業のMVVを理解してもらうためにも欠かせません。研修を実施する際には、企業が抱えている課題やニーズを整理して、中長期的な視点で目標を立ててみてください。
また、研修後は中途採用者のモチベーション維持に気を配ることも大切です。効果測定や定期的なフォローをして、離職防止や効果的な社員教育につなげましょう。