中堅社員のモチベーション低下はなぜ?よくある原因と有効な対策を解説

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企業の中心として活躍する中堅社員のモチベーション低下は、多くの企業が頭を悩ませる課題です。

実務経験とスキルを持ち、チームの中核として働く彼らのやる気が落ちると、チームの生産性低下や優秀な人材の流出につながる恐れがあります。

この記事では、中堅社員のモチベーションがなぜ低下するのか、その背景にある主な原因を整理するとともに、企業が実際に取り組める具体的な対策についてわかりやすく解説します。

目次[非表示]

  1. 1.中堅社員とは?企業における役割を再確認
  2. 2.中堅社員のモチベーションが低下する5つの原因
    1. 2.1.1. 将来のキャリアパスが見通せない
    2. 2.2.2. 日々の業務がマンネリ化し成長を実感できない
    3. 2.3.3. 責任や業務量だけが増え負担が大きすぎる
    4. 2.4.4. 貢献度に見合った評価や報酬が得られていない
    5. 2.5.5. 上司と部下の板挟みで人間関係に疲弊している
  3. 3.中堅社員のモチベーション低下がもたらす3つの悪影響
    1. 3.1.チーム全体の生産性が下がり業績が悪化する
    2. 3.2.将来の管理職候補である優秀な人材が離職してしまう
    3. 3.3.若手社員の育成が滞り組織全体の成長が止まる
  4. 4.中堅社員のやる気を引き出すために企業ができる5つの対策
    1. 4.1.新たな役割や裁量権を与えて挑戦の機会を創出する
    2. 4.2.公正な評価制度を設け、期待する役割を明確に伝える
    3. 4.3.1on1ミーティングなどを通じて個人のキャリアに向き合う
    4. 4.4.マネジメントや専門スキルを磨く研修を実施する
    5. 4.5.業務分担を見直し、適切な労働環境を整備する
  5. 5.まとめ
    1. 5.1.関連サービス

中堅社員とは?企業における役割を再確認

一般的に「中堅社員」とは、入社3年目から10年目くらいの社員を指します。年代としては幅広いですが、20代後半から30代後半の社員が該当することが多いです。
現場である程度の経験とスキルを身につけ、業務を自分で進められるだけでなく、チームの中核としても活躍する存在です。
中堅社員は、上司のサポートをしながらチームを円滑に回し、後輩の指導・育成にも関わります。

まさに、組織をスムーズに動かす“潤滑油”のような存在です。

さらに、企業にとっては次世代リーダー候補としての成長も期待されます。
一人ひとりの活躍がチームや事業の成果に直結するため、中堅社員の役割は非常に重要です。だからこそ、彼らの立場や役割をしっかり理解し、必要なサポートを行うことが欠かせません。

中堅社員のモチベーションが低下する5つの原因

豊富な経験とスキルを持ち、組織の中核を担う中堅社員ですが、なぜモチベーションが低下してしまうのでしょうか。
背景には、キャリアへの不安、業務のマンネリ化、過剰な負担、評価への不満、そして複雑な人間関係といった、彼らが直面しやすい課題があります。

これらの要因が絡み合うことで、日々の業務への意欲が削がれてしまうのです。
ここでは、モチベーション低下につながる代表的な5つの原因を掘り下げていきます。

1. 将来のキャリアパスが見通せない

入社から数年が経ち、業務にも習熟してくると、自分のキャリアの先が見えにくくなることがあります。
管理職のポストには限りがあり、全員が昇進できるわけではありません。その中で、マネジメントに進むべきか専門性を極めるべきか、会社から明確な道筋が示されないと、将来の目標を描けずに不安を抱きがちです。

自身の市場価値や成長の方向性に対する不安は、日々の仕事への意欲を低下させる大きな要因です。
特に企業が個々のキャリア支援の仕組みを持たない場合、この課題はさらに深刻化します。

2. 日々の業務がマンネリ化し成長を実感できない

中堅社員は一通りの業務を効率的にこなせるようになる反面、日々の仕事がルーティンワークとなりがちです。
同じ業務の繰り返しは、かつて感じていたような成長実感を乏しくさせ、仕事への興味も徐々に減ってしまいます。

新しい知識やスキルを学ぶ機会、未知の業務への挑戦がない環境では、向上心のある社員ほど物足りなさを感じ、これが不満につながります。
「自分の成長が止まっている」という感覚は、やりがいやモチベーションを大きく損なう原因となります。

3. 責任や業務量だけが増え負担が大きすぎる

高い実務能力を持つ中堅社員には、多くの業務が集中する傾向があります。
しかし、役職や権限が伴わないまま、責任と業務量だけが増え続けると、過剰な負担となりやすいのです。

自身のプレイヤーとしての業務をこなしつつ、後輩の指導やチーム全体の成果にも責任を負わなければならず、心身ともに疲弊してしまうケースは少なくありません。
また、それにより業務の優先順位や調整に時間がかかり、本来の専門業務や新しい挑戦に割ける時間が減ることも多く、成長実感や達成感が薄れてしまうこともあります。

4. 貢献度に見合った評価や報酬が得られていない

中堅社員は、自身の成果だけでなく、チームへの貢献や後輩の育成など、多岐にわたる役割を担っています。
しかし、こうした目に見えにくい貢献が、昇進や昇給といった形のある評価に適切に反映されていないと感じると、強い不満につながります。

特に、年功序列の風土が根強い組織や、評価基準が曖昧な場合、自身の働きが正当に認められていないという無力感に陥りやすいです。
努力や貢献が報われないという感覚は、仕事への意欲を下げ、組織への不信感にもつながります。

5. 上司と部下の板挟みで人間関係に疲弊している

組織の結節点にいる中堅社員は、上司と部下の間に立つ調整役を担う場面が多くなります。
上司からは管理職目線での要求を受け、一方で部下からは現場目線での意見や不満を聞く立場にあり、両者の意見が対立した際には板挟みになりがちです。
双方の顔を立てながら業務を円滑に進めるためのコミュニケーションは、精神的に大きな負担を伴います。

このような人間関係のストレスが継続し、誰からのサポートも得られない状況が続くと、仕事そのものに対する意欲を失い、不満が蓄積していくことになります。

中堅社員のモチベーション低下がもたらす3つの悪影響

組織の中核を担う中堅社員のモチベーション低下は、決して個人だけの問題ではありません。
彼らの意欲が下がると、チームの機能不全、貴重な人材の流出、そして組織全体の成長停滞といった深刻な影響が連鎖的に起こる可能性があります。
この問題を放置し、有効な対策を講じなければ、企業の競争力を根本から揺るがす事態につながりかねません。

ここでは、中堅社員のモチベーション低下によって起こりうる具体的なリスクを、3つの視点から解説します。

チーム全体の生産性が下がり業績が悪化する

中堅社員はチームの“プレイングリーダー”として、日々の業務と後輩指導の両方を担っています。そのため、彼らのパフォーマンスが低下すると、チーム全体の生産性にすぐに影響が出ます。
業務のスピードや質の低下は、関連する他メンバーの進行にも遅れを生じさせ、結果としてチーム全体のアウトプットに影響を与えます。
さらに、意欲が低い状態で後輩指導を行うと、教える内容や指導の質も低下し、若手社員の成長を妨げる要因になります。

このように、中堅社員のモチベーションはチーム全体の士気や成果に直結しており、放置すれば部署や企業の業績悪化につながることも少なくありません。

将来の管理職候補である優秀な人材が離職してしまう

中堅社員は、企業が時間とコストをかけて育ててきた重要な人材です。
特に、高いパフォーマンスを発揮する優秀な社員は、将来の管理職やリーダー候補として期待されています。

しかし、彼らが現在の会社で成長機会や正当な評価を得られないと感じ、キャリアの先行きに不安を抱いた場合、より良い条件や環境を求めて他社へ流出するリスクが高まります。
中核戦力として育ててきた人材の離職は、代替が難しく、企業にとって大きな損失となります。

若手社員の育成が滞り組織全体の成長が止まる

若手社員にとって、最も身近な手本であり、指導者となるのが中堅社員です。
日々の業務を通じて行われるOJT(On-the-JobTraining)では、中堅社員が持つスキルやノウハウを若手に継承することが重要です。

しかし、指導役である中堅社員自身のモチベーションが低下していると、育成にかける熱意や時間が不足し、指導が形骸化してしまいます。
その結果、若手社員が育たず、組織全体としてスキルや知識の継承が断絶される可能性があります。長期的な視点で見れば組織の成長が停滞する原因となります。

中堅社員のやる気を引き出すために企業ができる5つの対策

中堅社員が抱える課題を解決し、彼らのやる気を再び引き出すためには、企業側からの能動的なアプローチが不可欠です。
マンネリ化した業務環境や評価制度を見直し、個々のキャリアに寄り添う姿勢を示すことで、貢献意欲を再燃させることが可能です。

会社からの期待を具体的な施策として示すことが、彼らの仕事への意欲を高める鍵です。
ここでは、企業が実践すべき5つの有効な対策を紹介します。

新たな役割や裁量権を与えて挑戦の機会を創出する

業務のマンネリ化による意欲低下を防ぐには、新たな挑戦の機会を設けることが効果的です。
例えば、新規プロジェクトのリーダーに任命したり、部門横断的なタスクフォースへの参加を促したりするなど、これまでとは異なる経験を積ませます。

重要なのは、単に業務を与えるだけでなく、その実行にあたって一定の裁量権を与えることです。
自らの判断で仕事を進められる環境は、当事者意識を高め、仕事へのやる気を刺激します。
こうした経験を通じて、社員は新たなスキルを習得し、仕事の面白さを再発見できるでしょう。

公正な評価制度を設け、期待する役割を明確に伝える

貢献度が正当に評価されないという不満を解消するためには、評価制度そのものを見直すことが必要です。
個人の業績だけでなく、後輩育成への貢献やチーム内での協調性など、多面的な要素を評価項目に加えることで、公平性を担保できます。

さらに、上司との面談などを通じて、会社が中堅社員にどのような役割を期待しているのかを具体的に伝えることも重要です。
期待される役割が明確になれば、社員は目標を立てて行動しやすくなり、自身の働きが正しく評価されるという納得感を持つことができます。

▶関連記事:人事評価の項目の決め方と目的、評価基準の具体例のまとめ

1on1ミーティングなどを通じて個人のキャリアに向き合う

キャリアパスへの不安を解消するためには、上司が部下一人ひとりと向き合う時間を確保することが重要です。
定期的な1on1ミーティングの場を設け、業務の進捗確認だけでなく、本人が今後どのようなキャリアを築きたいと考えているのかを丁寧にヒアリングします。

その上で、本人の希望と会社の方向性をすり合わせながら、実現に向けた具体的なステップを共に考えます。
会社が自分のキャリア形成を真剣に支援してくれていると感じることは、組織への信頼感を高め、仕事へのやる気を回復させることにつながります。

マネジメントや専門スキルを磨く研修を実施する

中堅社員が次のキャリアステップに進むためには、新たなスキルの習得が欠かせません。
企業としては、彼らの成長を後押しするための学習機会を提供することが重要です。
マネジメント能力を向上させたい社員にはリーダーシップ研修を、特定の分野で専門性を高めたい社員には高度な専門知識を学べる外部研修への参加を促すなど、個々の志向に合わせたプログラムを用意します。

こうした能力開発への投資は、社員の市場価値を高めると同時に、「会社が個人の成長に期待している」という強いメッセージにもなります。

▶関連記事:【中堅社員研修】成果を最大化する設計と実施の完全ガイド

業務分担を見直し、適切な労働環境を整備する

特定の中堅社員に業務が集中すると、バーンアウトや精神的な疲弊の原因になります。
これを防ぐため、チーム全体の業務量と分担状況を客観的に把握し、負荷が偏っている場合は再配分を行います。

また、業務プロセスを見直して非効率な作業をなくすことも有効です。
上司と部下の板挟みによるストレスに対しては、管理職が間に入って調整するなど、組織的なサポート体制を構築する必要があります。
過度な負担や不満を生み出さない労働環境の整備は、社員が安心して力を発揮するための土台となります。

まとめ

中堅社員のモチベーション低下は、将来のキャリアに対する不安、業務のマンネリ化、過剰な業務負担、不公平な評価制度といった、複数の要因が絡み合って生じる根深い課題です。
この問題を放置することは、生産性の低下や優秀な人材の離職を招き、組織の持続的な成長を阻害しかねません。
企業は、この課題を個人の問題と捉えず、組織全体で取り組むべき重要な経営課題として認識する必要があります。

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