BCP(事業継続計画)研修とは?内容・実施手順・成功のポイントをわかりやすく解説

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近年、大規模な自然災害やパンデミック、サイバー攻撃など、企業活動を脅かすリスクは一層複雑化しています。こうした背景から、緊急事態においても事業を継続、または早期に復旧するための「BCP(事業継続計画)」を策定する企業は年々増加しています。

一方で、BCPを文書として整備しただけでは、実際の有事に十分機能しないケースも少なくありません。「計画はあるが、現場がどう動けばよいかわからない」「従業員に内容が浸透していない」といった課題は、多くの企業に共通しています。

こうした課題を解消し、BCPを“実行できる計画”へと高めるために重要となるのが、従業員を対象としたBCP研修です。

本記事では、人事・教育担当者の方に向けて、BCP研修の基本的な考え方から実施目的、代表的なカリキュラム例、運用を定着させるための進め方までを体系的に解説します。

目次[非表示]

  1. 1.BCP研修とは?
    1. 1.1.BCP(事業継続計画)研修の定義と役割
    2. 1.2.防災訓練との違いとは?
    3. 1.3.BCP研修が重要視される背景
      1. 1.3.1.リスクの多様化・激甚化
      2. 1.3.2.サプライチェーン全体での事業継続要求
      3. 1.3.3.法的要請と企業の安全配慮義務
  2. 2.企業がBCP研修を実施する3つの目的
    1. 2.1.従業員の命と安全を守る(安全配慮義務の履行)
    2. 2.2.初動対応を早め、事業停止を最小化する
    3. 2.3.企業への信頼と価値を高める
  3. 3.【階層別】BCP研修で扱うべき学習内容
    1. 3.1.BCPの基礎知識と基本方針(全従業員向け)
    2. 3.2.初動対応と安否確認の基本(全従業員向け)
    3. 3.3.事業復旧の手順と役割分担(BCP発動メンバー向け)
    4. 3.4.想定外の事態への意思決定プロセス(管理職・経営層向け)
  4. 4.BCP研修の主な実施手法
    1. 4.1.座学・講義形式
    2. 4.2.eラーニング・動画研修
    3. 4.3.机上訓練・ワークショップ
    4. 4.4.実地訓練・ドリル
  5. 5.BCP研修の実施ステップ
    1. 5.1.ステップ1:現状の課題把握と研修目的の策定
    2. 5.2.ステップ2:対象者・開催時期・学習手法の決定
    3. 5.3.ステップ3:研修コンテンツ・シナリオの準備
    4. 5.4.ステップ4:研修の実施と受講状況の管理
    5. 5.5.ステップ5:アンケート実施と振り返り・計画の修正
  6. 6.BCP研修を「やりっぱなし」にせず定着させるポイント
    1. 6.1.リアリティのあるシナリオ設定で「自分ごと化」を促す
    2. 6.2.安否確認訓練など、日常業務の中で定期的な接点を作る
    3. 6.3.マニュアルの更新とセットで研修内容をアップデートする
  7. 7.BCP研修に関するよくある質問
    1. 7.1.Q. BCP研修の実施は義務付けられていますか?
    2. 7.2.Q. 研修は自社で内製できますか?外部委託との違いは?
    3. 7.3.Q. どのくらいの頻度で実施するのが理想的ですか?
  8. 8.まとめ

BCP研修とは?

BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)は、策定すること自体が目的ではありません。緊急時に計画が正しく理解され、組織として機能してこそ、その価値が発揮されます。

ここでは、BCP研修の定義と役割、防災訓練との違い、そして近年BCP研修の重要性が高まっている背景について整理します。

BCP(事業継続計画)研修の定義と役割

BCP研修とは、企業が策定した事業継続計画の内容を従業員に周知し、緊急時に適切な判断・行動が取れるようにするための教育活動です。
BCPには、指揮命令系統、重要業務の優先順位、復旧までの対応手順などが盛り込まれていますが、これらを文書で配布するだけでは、十分に理解・定着させることは困難です。

研修を通じて、

  • BCP策定の目的や基本方針

  • 緊急時に求められる自部門・自身の役割

  • 判断が求められる場面での考え方

を整理して伝えることで、従業員一人ひとりが「自分事」としてBCPを捉えられるようになります。

その結果、組織全体としての対応力が高まり、想定外の事態に対しても柔軟に行動できる基盤が整います。

防災訓練との違いとは?

「すでに避難訓練を実施しているため、BCP研修は不要ではないか」と考える企業もありますが、BCP研修と防災訓練は目的と役割が異なります。

BCP研修(知識・判断の習得)

防災訓練(行動の定着)

目的

BCPの考え方や全体像、自身の役割、判断基準を理解する

避難行動や安否確認、設備操作など具体的な動作を確認する

主な手法

講義、eラーニング、ケーススタディ、グループワーク

避難訓練、実動訓練、システム操作訓練

得られる効果

緊急時に「何を優先すべきか」「なぜその判断を行うのか」を考える土台をつくる

非常時に迷わず体が動く状態をつくる

BCP研修で知識や判断の軸を共有し、防災訓練で行動として確認する、この二つを組み合わせることで、実効性のある事業継続体制が構築されます。

特に全社員を対象とした基礎知識の習得には、eラーニングなどを活用した均質な教育が有効です。

BCP研修が重要視される背景

近年、BCP研修の必要性が高まっている背景には、主に次のような要因があります。

リスクの多様化・激甚化

地震や台風といった自然災害に加え、感染症の流行、サイバー攻撃など、事業停止につながるリスクは広がっています。想定外の事態においても現場が主体的に判断できるよう、平時からの教育が欠かせません。

サプライチェーン全体での事業継続要求

自社の事業停止は、取引先や顧客を含むサプライチェーン全体に影響を及ぼします。そのため、BCPの有無や運用状況が、取引条件や企業評価の一要素として見られるケースも増えています。

法的要請と企業の安全配慮義務

介護・福祉分野では、2024年の報酬改定によりBCPの策定に加え、研修や訓練の実施が義務化されました。他業界においても、従業員の安全を守る「安全配慮義務」が企業に求められており、十分な教育を行わないまま事故が発生した場合、法的責任が問われる可能性があります。

企業がBCP研修を実施する3つの目的

BCP研修は、単にルールやマニュアルを共有する場ではありません。
研修を通じて企業が得られる成果は、主に次の3つの観点に整理できます。
あらかじめ目的を明確にすることで、「何をどこまで教えるべきか」が定まり、研修内容や手法の設計精度を高めることができます。

従業員の命と安全を守る(安全配慮義務の履行)

企業にとって、従業員の安全確保は最優先事項です。災害発生時に混乱が生じる中でも、従業員一人ひとりが冷静に行動できるかどうかは、平時の教育に大きく左右されます。

BCP研修では、

  • 適切な避難行動や避難経路の理解

  • 負傷時の基本的な対応や初期行動

  • 安否確認への迅速な対応方法

などを整理して伝えることで、従業員が「自分の身を守るために取るべき行動」を明確にします。
こうした取り組みは、企業に求められる安全配慮義務を果たす上でも重要な位置づけとなります。

初動対応を早め、事業停止を最小化する

BCPが実際に機能するかどうかは、緊急時の初動対応に大きく左右されます。指揮命令系統や役割分担が共有されていない状態では、判断が遅れ、復旧までに時間を要してしまいます。

研修を通じて、

  • 誰が意思決定を行うのか

  • 各部門・担当者に求められる役割

  • 業務を代行・引き継ぐ際の考え方

をあらかじめ共通認識として持たせておくことで、有事の際も迷いなく行動に移すことが可能になります。

その結果、復旧フェーズへの移行が早まり、事業停止による影響を最小限に抑えることにつながります。

企業への信頼と価値を高める

災害時でも事業を継続、または早期に再開できる体制を整えているかどうかは、取引先や顧客にとって重要な判断材料です。
特にサプライチェーンの一端を担う企業にとっては、自社の対応力が他社の事業にも影響を及ぼすため、BCPへの取り組み姿勢そのものが評価対象となります。

BCP研修を継続的に実施し、組織としての対応力を高めておくことで、

  • 非常時でも一定の品質・納期を維持できる

  • 状況を適切に共有し、誠実な対応ができる

といった信頼につながります。

BCP研修はリスクに備えるための取り組みであると同時に、企業の信頼性やブランド価値を高める基盤づくりでもあります。

【階層別】BCP研修で扱うべき学習内容

BCP研修を効果的なものにするためには、全社員に同じ内容を一律で提供するのではなく、対象者の役割や習熟度に応じて学習内容を分けることが重要です。
基礎的な知識の理解から、実際の緊急時に判断や指示を行うための実践的な内容まで、段階的に設計することで、研修の実効性が高まります。

ここでは、BCP研修で扱うべき代表的な学習テーマを、階層・フェーズ別に整理します。

BCPの基礎知識と基本方針(全従業員向け)

全従業員を対象とした基礎研修では、BCPに関する共通理解を形成することが目的となります。入社時のオンボーディングや定期的な全社研修で実施するのが一般的です。

主な学習内容は以下のとおりです。

  • BCPの基本的な考え方と、自社における策定目的

  • 災害発生時に優先すべき行動原則(安全確保を最優先とする考え方など)

  • ハザードマップを踏まえた自社拠点の災害リスク

これらを共有することで、従業員一人ひとりの防災意識の水準を揃え、緊急時の判断にばらつきが生じることを防ぎます。

初動対応と安否確認の基本(全従業員向け)

災害や事故が発生した直後は、限られた情報の中で迅速な行動が求められます。
このフェーズでは、「何を確認し、どの手順で動くのか」を具体的に理解しておくことが重要です。

研修では、次のような内容を扱います。

  • 安否確認システムの操作方法と回答ルール

  • 緊急連絡網の確認方法

  • 帰宅困難時の待機方針や、備蓄品の利用ルール

特に安否確認は、操作方法を事前に理解していなければ実際の緊急時に機能しません。定期的に研修や訓練を通じて確認し、確実に運用できる状態を維持する必要があります。

事業復旧の手順と役割分担(BCP発動メンバー向け)

事業復旧に関わる研修は、各部署の管理職やBCP推進担当者など、BCP発動時に中心的な役割を担うメンバーを対象に実施します。

具体的には、以下のような内容が重要となります。

  • 中核事業(優先的に復旧すべき業務)の理解と判断基準

  • 代替拠点への移動、リモートワークへの切り替え手順

  • バックアップデータの確認・復旧手順

  • 取引先や顧客への情報共有、広報対応の考え方

単に自部門の対応を理解するだけでなく、部門間の連携や引き継ぎを含めて学習することで、組織全体として一貫した復旧対応が可能になります。

想定外の事態への意思決定プロセス(管理職・経営層向け)

管理職や経営層向けには、マニュアルだけでは対応しきれない状況を想定した研修が効果的です。
実際の災害時には、情報が不足した中で判断を迫られる場面も少なくありません。

研修では、

  • 従業員に出社を求めるか、在宅・待機とするかの判断

  • 被害状況が不明確な段階での顧客対応や情報発信

といったケースを題材に、意思決定のプロセスを検討します。
過去の災害事例や他社の対応事例をもとに議論を行うことで、正解のない状況下でも判断の軸を持って行動する力を養うことができます。

▶関連記事:階層別研修とは?目的・メリット・カリキュラム例までわかりやすく解説

BCP研修の主な実施手法

BCP研修の効果を高めるためには、扱う内容や研修の目的に応じて、適切な実施手法を選択することが重要です。
知識を体系的に理解させたい場合と、緊急時の対応力を高めたい場合とでは、最適な研修スタイルは異なります。

ここでは、BCP研修で用いられる主な手法について、それぞれの特徴や活用シーンを整理します。

座学・講義形式

講師が登壇し、スライドや配布資料を用いてBCPの考え方や社内ルールを解説する研修形式です。全体像を整理して伝えたい場合に適しています。

  • メリット
    受講者の理解度や反応を見ながら進行でき、その場で質問にも対応できる
    BCPの背景や考え方など、文脈を含めて説明しやすい

  • デメリット
    日程調整が必要となり、大人数を対象とする場合はコストや工数がかかる
    受講者が受け身になりやすく、内容が定着しにくい場合がある

eラーニング・動画研修

PCやスマートフォンを利用し、オンラインで受講する研修スタイルです。
全従業員を対象とした基礎教育に多く活用されています。

  • メリット
    受講者が自分の都合に合わせて学習でき、全社一律の教育が行いやすい
    受講状況や理解度の管理がしやすく、テストによる確認も可能

  • デメリット
    避難行動など、実際に体を動かす訓練には不向き
    双方向のコミュニケーションが取りづらい

BCPの基本知識や社内マニュアルの理解など、「知っておくべき内容」の習得には、eラーニングが特に有効です。

▶関連記事:eラーニングとは?活用例やメリット・デメリットをわかりやすく解説

机上訓練・ワークショップ

想定される災害シナリオをもとに、「その状況でどう対応するか」を参加者同士で検討・議論する研修形式です。管理職やBCP発動メンバー向けに実施されることが多くあります。

  • メリット
    マニュアルでは想定しきれていない課題や抜け漏れに気づきやすい
    部門間の役割理解が進み、連携強化につながる

  • デメリット
    議論を円滑に進めるために、ファシリテーターのスキルが求められる
    事前準備に一定の時間と工数が必要

実地訓練・ドリル

避難訓練や安否確認システムの操作訓練など、実際に体を動かしながら手順を確認する研修形式です。防災訓練と組み合わせて実施されることもあります。

  • メリット
    体験を通じて理解が深まり、非常時にも行動に移しやすい
    手順や導線の課題を現場で確認できる

  • デメリット
    準備や調整に手間がかかり、通常業務を一時的に止める必要がある
    天候や拠点条件に左右される場合がある

BCP研修の実施ステップ

BCP研修は、単発で実施するだけでは十分な効果を発揮しません。
現場の理解度や課題を踏まえずに進めてしまうと、「やっただけ」の研修になり、形骸化するおそれがあります。

重要なのは、現状を把握したうえで目的を明確にし、計画的に実施しながら改善を重ねていくことです。
ここでは、BCP研修を実効性のある取り組みとするための、標準的な進め方を5つのステップに分けて解説します。

ステップ1:現状の課題把握と研修目的の策定

まず行うべきは、自社のBCPがどの程度浸透しているかを把握することです。

例えば、

  • BCPマニュアルは整備されているが、内容を理解している人が少ない

  • 安否確認や連絡体制が最新の状態になっていない

  • 管理職ごとの理解度にばらつきがある

といった課題が考えられます。

こうした現状を整理したうえで、「何を改善したいのか」「研修を通じてどの状態を目指すのか」という目的(ゴール)を明確にします。この工程が、その後の研修設計の軸となります。

ステップ2:対象者・開催時期・学習手法の決定

次に、研修の対象者を明確にし、実施時期と学習手法を決定します。
全従業員向けの基礎研修なのか、管理職やBCP発動メンバーを対象とするのかによって、最適な内容や手法は異なります。

例えば、

  • 防災週間に合わせて全社員向けにeラーニングを実施

  • 管理職向けには別途、机上訓練やワークショップを実施

といったように、対象者ごとに研修を組み合わせることで、効率と実効性の両立が可能になります。

▶関連記事:社内研修の企画を設計する方法とは?企画例や成功のポイント

ステップ3:研修コンテンツ・シナリオの準備

研修で使用する資料や訓練シナリオは、自社のBCPや業務内容に沿って準備することが重要です。
一般的な防災知識だけでなく、

  • 自社拠点特有の災害リスク

  • 使用している設備やシステム

  • 実際の業務フロー

などを反映させることで、受講者にとって現実味のある内容になります。
「自分たちの会社で起こり得ること」として捉えられるかどうかが、理解度や当事者意識を左右します。

ステップ4:研修の実施と受講状況の管理

準備した計画に基づき、研修を実施します。
eラーニングの場合は受講期間を設定し、未受講者に対しては適切にリマインドを行うことが重要です。

受講率や完了状況は、研修運営のためだけでなく、BCPに対する組織全体の意識レベルを把握する指標としても活用できます。

必要に応じて、フォロー研修や補足説明の機会を設けることも検討します。

ステップ5:アンケート実施と振り返り・計画の修正

研修終了後は、アンケートや理解度テストを通じて、受講者の反応や習得状況を確認します。
「内容が分かりにくかった」「現実の業務に当てはめにくい」といった意見は、次回以降の改善に向けた重要な材料です。

得られた結果をもとに、

  • 研修内容の見直し

  • 実施方法の改善

  • BCPマニュアル自体の修正

につなげていくことで、研修と計画の質を継続的に高めることができます。

このようにPDCAサイクルを回していくことが、BCPを実効性のあるものとして定着させるポイントです。

▶関連記事:【質問例あり】研修アンケートの必要項目・実施方法!効果的な実施のポイントも解説

BCP研修を「やりっぱなし」にせず定着させるポイント

BCP研修で多くの企業が抱えがちな課題が、「一度実施しただけで終わってしまう」ことです。研修直後は意識が高まっていても、時間の経過とともに内容が忘れられ、実際の有事には十分に活かされないケースも少なくありません。

BCP研修を単なるイベントで終わらせず、従業員が自分の業務や立場に結びつけて理解し、非常時に自然と行動に移せる状態をつくるためには、研修後の運用や設計に工夫が求められます。

ここでは、BCP研修を定着させるために意識したいポイントを解説します。

リアリティのあるシナリオ設定で「自分ごと化」を促す

研修内容を実践につなげるためには、受講者が状況を具体的にイメージできるかどうかが重要です。
例えば「震度6強の地震が発生した」という抽象的な設定だけでは、対応を自分の行動として考えることは難しくなります。

発生した時間帯や季節、交通機関の停止や停電といった二次的な影響、社内に負傷者や配慮が必要な人がいる状況など、実際に起こり得る条件を組み合わせることで、受講者は「自分ならどう判断するか」を真剣に考えるようになります。

現実に即したシナリオを用いることで、BCPが単なる知識ではなく、日常業務と地続きの課題として認識されやすくなります。

安否確認訓練など、日常業務の中で定期的な接点を作る

BCP研修を年に一度実施するだけでは、知識や意識を維持することは難しいのが実情です。
そのため、研修とは別に、日常業務の中でBCPに触れる機会を継続的に設けることが効果的です。

例えば、定期的な安否確認のテスト配信や、朝礼・社内コミュニケーションの場での簡単な共有など、短時間で実施できる取り組みでも十分な効果が期待できます。

こうした接点を重ねることで、従業員にとってBCPが特別なものではなく、自然に意識されるテーマとして定着していきます。

マニュアルの更新とセットで研修内容をアップデートする

BCPマニュアルは、策定後も継続的に見直すことが前提となります。
組織体制の変更や拠点の増減、新たなリスクの顕在化などにより、内容が実態と合わなくなることは珍しくありません。

マニュアルを更新した際には、その変更点を反映した研修や周知を必ず行うことが重要です。
「マニュアルを改訂して終わり」にするのではなく、内容を共有し、理解を確認する機会を設けることで、BCPは実務に根づいていきます。

マニュアルの見直しと研修を一連の流れとして運用することが、形骸化を防ぐポイントです。

BCP研修に関するよくある質問

BCP研修の企画・運営担当者から頻繁に寄せられる疑問点をQ&A形式でまとめました。

Q. BCP研修の実施は義務付けられていますか?

A . 介護・福祉事業所では、2024年度からBCPの策定に加え、研修や訓練の実施が義務化されています。
これに対応していない場合、報酬の減額などのペナルティが発生する可能性があるため、計画的な対応が欠かせません。

一方、一般企業においては、現時点でBCP研修そのものを直接義務付ける法律はありません。
ただし、労働契約法に基づく「安全配慮義務」や、東京都の帰宅困難者対策条例など、関連する法令・条例の観点から、BCP対策や研修の実施は強く求められています。企業の社会的責任やリスク管理の観点からも、BCP研修の重要性は年々高まっています。

Q. 研修は自社で内製できますか?外部委託との違いは?

A . BCP研修は、自社で内製することも可能です。

自社の業務内容や組織体制に即した内容に設計できる点や、コストを抑えられる点は内製の大きなメリットといえます。

一方で、教材作成やシナリオ設計に工数がかかるほか、専門的な知見が不足しやすい点は課題になりがちです。外部委託や市販の研修ツールを活用すれば、体系的で質の高い知識を効率よく導入できます。
基礎的な知識はeラーニングなどの外部ツールで補い、自社特有のルールや手順は内製で対応するなど、目的に応じて使い分ける方法が現実的です。

Q. どのくらいの頻度で実施するのが理想的ですか?

A . BCP研修は、少なくとも年に1回の実施が望ましいとされています。

人事異動や新入社員の入社などにより組織の構成は常に変化するため、全員が最新のBCP内容を理解している状態を維持する必要があります。

さらに、避難訓練と机上訓練を交互に行うなど、内容に変化を持たせながら半年に1回程度実施できると、理解の定着や実践力の向上につながります。
定期的に形を変えて取り組むことで、BCP研修が形骸化するのを防ぐことができます。

まとめ

BCP研修は、企業の存続と従業員の命を守るために欠かせない取り組みです。重要なのは、計画を作ることではなく、研修を通じて「有事に動ける組織」をつくることにあります。

しかし、階層や役割に応じた内容設計や受講管理、継続的な見直しを通常業務と並行して行うのは、担当者にとって大きな負担になりがちです。

こうした課題の解決に有効なのが、BCP研修の運用を仕組み化し、知識の定着まで効率的に支援できるeラーニングの活用です。

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