コミュニケーション能力を高めるには?個人実践から組織育成までわかりやすく解説

テレワークや部門横断プロジェクトが増える中、企業におけるコミュニケーション能力の向上は、個人の得意・不得意に任せるものではなく、組織として取り組むべき人材育成テーマになっています。
本記事では、コミュニケーション能力が企業成果に与える影響を整理し、実務につながる鍛え方をわかりやすく解説します。
目次[非表示]
- 1.コミュニケーション能力が企業に求められる理由
- 2.コミュニケーション能力とは
- 3.コミュニケーション能力を構成する4つの要素
- 3.1.言語で「伝える力」
- 3.2.言語で「聴く力」
- 3.3.非言語で「伝える力」
- 3.4.非言語を「読み取る力」
- 4.コミュニケーション能力が高い人・低い人の特徴
- 4.1.コミュニケーション能力が高い人の共通点
- 4.1.1.聴く割合を意識している
- 4.1.2.相手や状況に応じて伝え方を変えている
- 4.1.3.フィードバックを前向きに活用できる
- 4.2.コミュニケーション能力が低い人にみられる行動
- 4.2.1.一方的に話してしまう
- 4.2.2.相手の意図を汲み取れない
- 4.2.3.非言語情報に無自覚
- 5.コミュニケーション能力を高める方法【個人実践編】
- 5.1.結論から伝える
- 5.2.相手視点で言葉を選ぶ
- 5.3.傾聴と適切なリアクション
- 5.4.否定しない・受け止める姿勢をもつ
- 6.コミュニケーション能力を鍛える具体的なトレーニング方法
- 7.企業・組織でコミュニケーション能力を向上させるには
- 8.コミュニケーション能力向上がもたらす企業メリット
- 8.1.生産性・業務品質の向上
- 8.2.信頼関係・チームワークの強化
- 8.3.人材定着・エンゲージメント向上
- 9.まとめ
コミュニケーション能力が企業に求められる理由

働き方や組織構造が変化する中で、「話し上手」な個人に依存したコミュニケーションには限界があります。
成果を安定して生み出すためには、誰もが一定水準で発揮できるスキルとして、組織的にコミュニケーション能力を育成する視点が欠かせません。
業務の見える化・生産性向上・人材育成を支える基盤
業務内容や判断基準が特定の個人に偏ると、情報共有が滞り、引き継ぎやチーム連携に支障が出やすくなります。
コミュニケーション能力を高めることで、考えや背景を言葉にして説明する力や、相手の理解度に応じて伝え方を調整する力が身につき、業務の見える化が進みます。その結果、属人化や部門間の分断を防ぎやすくなります。
また、指示の行き違いや認識のズレが減ることで、手戻りや無駄な確認作業が抑えられ、生産性の向上にもつながります。要点を押さえた伝達や、相手の意図をくみ取る対話ができるようになることで、業務はよりスムーズに進むようになります。
さらに、コミュニケーション能力はマネジメントや人材育成の土台となるスキルでもあります。一方的な指示ではなく、部下の考えを引き出し、状況に応じたフィードバックを行う対話があってこそ、人は成長します。
コミュニケーション能力の向上は、社員のエンゲージメントを高めるだけでなく、次世代リーダーの育成や組織力強化を支える重要な基盤といえるでしょう。
コミュニケーション能力とは

コミュニケーション能力は、「話すのが上手」「社交的」といった印象だけで語られがちですが、それだけでは不十分です。
企業で人材育成や評価に活用するためには、その本質を正しく捉える必要があります。ここでは、コミュニケーション能力の基本的な考え方と、現場でよくある誤解を紹介します。
コミュニケーションは「双方向のプロセス」
コミュニケーションとは、一方的に情報を伝える行為ではなく、相手とのやり取りを通じて意味を共有していく双方向のプロセスです。
自分の考えを分かりやすく伝える力だけでなく、相手の発言や反応を受け止め、理解を深める力があってこそ、コミュニケーション能力が発揮されます。
企業においては、指示や報告が正しく伝わったかを確認し、認識のズレをその場で修正できることが重要です。この双方向性を意識したやり取りが、業務の質やスピードを大きく左右します。
▶関連記事:人間関係構築力が求められるワケとは?社会人に必要な理由と向上のコツ
外交的=コミュニケーション能力が高い、ではない
コミュニケーション能力は、性格の外向性・内向性とは必ずしも一致しません。
積極的に話すことが得意でも、相手の話を聞かず一方的になってしまえば、円滑なコミュニケーションとはいえません。
一方で、口数が少なくても、相手の意図を的確にくみ取り、必要な情報を整理して伝えられる人は、ビジネスシーンで高く評価されます。
つまり、コミュニケーション能力は「性格」ではなく、後天的に鍛えることができる「スキル」である点が重要です。
ビジネスにおけるコミュニケーションの役割
ビジネスにおけるコミュニケーションの役割は、単なる情報交換にとどまりません。
業務の目的や背景を共有し、関係者の認識をそろえ、行動につなげることが求められます。
そのためには、相手の立場や状況を踏まえて伝え方を調整する力や、非言語的なサインを読み取る力も欠かせません。
コミュニケーション能力の向上は、業務推進力やチーム力を高める基盤であり、企業全体の成果に直結するスキルといえるでしょう。
コミュニケーション能力を構成する4つの要素

コミュニケーション能力の向上を図るには、「何ができれば高まったといえるのか」を明確にする必要があります。
そこで重要なのが、能力を構成要素ごとに分解して捉える視点です。ここでは、研修設計や育成指標にも活用しやすい4つの要素に整理します。
言語で「伝える力」
言語で伝える力とは、自分の考えや情報を相手に分かりやすく表現するスキルです。
結論を先に示す、要点を整理する、相手の知識レベルに合わせて言葉を選ぶといった工夫が含まれます。
この力が不足すると、「何が言いたいのか分からない」「指示が曖昧」といった問題が生じやすくなります。
ビジネスにおいては、報告・連絡・相談やプレゼンテーションの質を左右する重要な要素です。
言語で「聴く力」
言語で聴く力は、相手の話を正確に理解し、意図や背景をくみ取るスキルです。
単に黙って聞くのではなく、相手の発言を整理しながら理解し、必要に応じて確認や質問を行うことが求められます。
この力が高まることで、認識のズレや思い込みによるトラブルを防ぐことができます。
チームでの意思決定や顧客対応など、あらゆるビジネスシーンで欠かせない要素です。
▶関連記事:傾聴力とは?ビジネスでの活用法と能力を高める方法
非言語で「伝える力」
コミュニケーションは言葉だけで成り立つものではありません。表情、視線、姿勢、声のトーンなどの非言語情報も、相手に大きな影響を与えます。
たとえ同じ言葉であっても、態度や雰囲気によって受け取られ方は変わります。
非言語で伝える力を意識することで、安心感や信頼感を高め、円滑な対話につなげることができます。
非言語を「読み取る力」
相手の表情やしぐさ、声の変化などから感情や理解度を察する力も、コミュニケーション能力の重要な構成要素です。
言葉では明確に表現されていない違和感や迷いに気づくことで、適切なフォローや補足が可能になります。
この力があることで、相手の反応に応じた伝え方の調整ができ、双方向のコミュニケーションがより深まります。
マネジメントや育成の場面では、特に重要性の高いスキルといえるでしょう。
コミュニケーション能力が高い人・低い人の特徴

育成施策を検討するうえでは、理想的な状態だけでなく、現場で起こりがちな課題行動を把握することが重要です。
ここでは、コミュニケーション能力が高い人と、低く見られがちな人の行動特性を整理し、育成の着眼点を明確にします。
コミュニケーション能力が高い人の共通点
聴く割合を意識している
コミュニケーション能力が高い人は、自分が話す量よりも、相手の話を引き出すことを重視しています。相手の発言を遮らず、要点を確認しながら聞くことで、正確な理解と信頼関係の構築につなげています。
相手や状況に応じて伝え方を変えている
相手の立場や知識レベル、置かれている状況を踏まえ、言葉の選び方や説明の深さを調整できる点も特徴です。
同じ内容でも伝え方を工夫することで、誤解を防ぎ、意思決定や行動を促しています。
フィードバックを前向きに活用できる
指摘や意見を否定的に受け取らず、自身の改善に生かせる点も共通しています。
他者からのフィードバックを通じて、伝え方や聴き方を見直し、継続的にコミュニケーション能力を高めています。
コミュニケーション能力が低い人にみられる行動
一方的に話してしまう
自分の伝えたいことを優先し、相手の反応を確認せずに話し続けてしまうと、認識のズレが生じやすくなります。
結果として、「話はしたが、伝わっていない」状態に陥りがちです。
相手の意図を汲み取れない
言葉の表面だけを受け取り、背景や本音に目を向けられない場合、適切な対応ができなくなります。
質問や確認が不足すると、業務上のミスやすれ違いにつながります。
非言語情報に無自覚
表情や態度、声のトーンなどを意識していないと、意図しない印象を与えることがあります。
言葉と態度が一致していないことで、相手に不信感を与えてしまうケースも少なくありません。
コミュニケーション能力を高める方法【個人実践編】

コミュニケーション能力は、特別な才能ではなく日々の業務の中で磨くことができます。
まずは個人が意識しやすい基本行動から取り入れることで、やり取りの質や周囲との信頼関係は着実に向上します。
ここでは、明日から実践できる代表的なポイントを紹介します。
結論から伝える
ビジネスシーンでは、「何についての話なのか」「最終的に何を伝えたいのか」を最初に示すことが重要です。
結論→理由→補足の順で話すことで、相手は全体像を把握しやすくなり、無駄な質問や認識のズレを防ぐことができます。
例えば、報告や相談の場面で先に結論を伝えておくことで、相手はその後の説明を目的意識を持って聞くことができます。
特に会議やチャットなど、時間や情報量が限られる場面では、要点を構造的に整理して伝える意識が、コミュニケーションの効率と信頼性を高めます。
相手視点で言葉を選ぶ
同じ内容でも、相手の立場や知識レベル、関心ごとによって、適切な伝え方は変わります。
専門用語をそのまま使うのではなく噛み砕いて説明する、相手が気にしていそうなポイントを先に伝えるなど、「自分が言いたいこと」よりも「相手が理解しやすいか」を基準に言葉を選ぶことが大切です。
相手の反応を見ながら説明の深さを調整したり、「ここまでで分かりにくい点はありますか」と確認したりするだけでも、伝達の精度は大きく向上します。
相手視点を持つことが、誤解やすれ違いを減らす近道になります。
傾聴と適切なリアクション
コミュニケーションは話す力だけでなく、聴く姿勢によっても成り立ちます。
相手の話を遮らず、相づちやうなずき、要点を言い換えて確認することで、「きちんと聴いてもらえている」という安心感を相手に与えることができます。
特に相談や意見交換の場面では、結論を急がずにまず相手の話を受け止めることが重要です。適切なリアクションがあることで、相手は考えや本音を話しやすくなり、結果としてより建設的で質の高い対話につながります。
否定しない・受け止める姿勢をもつ
意見が異なる場合でも、最初から否定的な反応を示してしまうと、相手は話しづらくなってしまいます。
まずは「そう考えた背景があるのですね」「そういう視点もありますね」と受け止めたうえで、自分の考えを伝えることで、対立ではなく前向きな議論として話を進めることができます。
受容的な姿勢は、心理的安全性を高め、意見交換が活発なチームづくりにもつながります。日常的に「否定から入らない」ことを意識するだけでも、職場のコミュニケーションは大きく変わっていきます。
コミュニケーション能力を鍛える具体的なトレーニング方法

コミュニケーション能力は、知識として理解するだけでは定着しません。
「分かっているができない」状態を解消するには、意識的に繰り返せるトレーニングが重要です。ここでは、個人でも組織でも取り入れやすく、行動変容につながりやすい代表的なトレーニング方法を紹介します。
エレベータートーク(要点整理力)
エレベータートークは、限られた時間の中で要点を簡潔に伝える練習方法です。
「30秒で企画の概要を説明する」「結論と理由を1分以内でまとめる」など、あらかじめ時間の制約を設けることで、自然と情報を取捨選択する力が鍛えられます。
話が長くなりがちな人や、「結局何が言いたいのか分からない」と言われやすい人に特に効果的です。
日々の報告や会議前の準備として取り入れるだけでも、伝え方の改善につながります。
バックトラッキング・パラフレーズ(傾聴力)
バックトラッキングやパラフレーズは、相手の話をそのまま繰り返したり、別の言葉で言い換えたりする傾聴のトレーニングです。
「つまり〇〇ということですね」と返すことで、理解のズレを防ぐと同時に、相手に「きちんと話を聞いてもらえている」という安心感を与えられます。
1on1や打ち合わせなど、日常の業務シーンですぐに実践できる点も特徴です。相手の話を整理しながら聞く習慣が身につくことで、認識違いによるミスも減らしやすくなります。
ミラーリング(関係構築)
ミラーリングとは、相手の話し方や表情、姿勢、話すスピードなどをさりげなく合わせることで、心理的な距離を縮める手法です。
例えば、相手が落ち着いたトーンで話している場合は自分もゆっくり話すなど、小さな意識だけでも効果があります。
露骨に真似をする必要はなく、「相手に合わせる」感覚で十分です。営業や面談だけでなく、社内の打ち合わせや日常的な会話でも使えるため、関係づくりのベースとして取り入れやすいトレーニングです。
フィードバックを取り入れた振り返り
トレーニングの効果を高めるには、やりっぱなしにせず、振り返りの時間を持つことが欠かせません。
ロールプレイングや実践後に、「分かりやすかった点」「伝わりにくかった点」を第三者から教えてもらうことで、自分では気づきにくい癖や課題が見えてきます。
個人での振り返りに加え、上司や同僚の視点を取り入れることで、改善のポイントが明確になり、成長のスピードも早まります。短時間でも定期的に振り返る習慣を持つことが、継続的なスキル向上につながります。
企業・組織でコミュニケーション能力を向上させるには

コミュニケーション能力は、個人の資質や現場任せの努力だけでは、組織全体に定着しにくいスキルです。組織として育成の考え方や仕組みを整えることで、学びのばらつきを抑え、人材育成の成果を安定して高めることができます。
ここでは、人事・教育部門が押さえておきたい基本的な視点を整理します。
OJTだけに頼らない育成設計
現場でのOJTは実践的である一方、指導内容やレベルが担当者によって異なりやすく、育成が属人化しやすいという課題があります。
コミュニケーション能力のような汎用スキルは、まず共通の考え方や基準をそろえることが重要です。事前に研修や学習コンテンツで基本を押さえたうえでOJTを行うことで、現場任せにならない育成が可能になります。
近年では、時間や場所に左右されず学べるオンライン研修を活用し、全社員に共通の土台を提供する企業も増えています。
階層・職種別に求められるコミュニケーション
コミュニケーションに求められる役割は、階層や職種によって変わります。
例えば、若手には「報連相を正確に行う力」、中堅には「関係者を調整し、分かりやすく説明する力」、管理職には「対話を通じた意思決定や適切なフィードバック」が求められます。
全社員に同じ内容を一律で提供するのではなく、対象者に応じてテーマやレベルを分けることで、学習の納得感と実践効果は高まります。
eラーニングで階層別・職種別にコンテンツを出し分けるといった方法も、効率的な育成手段の一つです。
研修と実務をつなぐ仕組みづくり
研修は実施すること自体が目的ではなく、現場で活かされてこそ意味があります。
学んだ内容を業務で試す機会を設けたり、実践後に振り返る場を用意したりすることで、知識を行動へとつなげることができます。
例えば、研修後に簡単なワークシートで振り返りを行ったり、上司が日常業務の中で声がけやフォローを行ったりするだけでも、定着度は大きく変わります。
オンライン研修やeラーニングを軸に、現場フォローを組み合わせることで、研修と実務を切り離さない育成サイクルを構築しやすくなります。
▶関連記事:コミュニケーション研修とは?目的・内容・効果から失敗しない導入ポイントまで徹底解説
コミュニケーション能力向上がもたらす企業メリット

コミュニケーション能力の向上は、社員一人ひとりのスキルアップにとどまらず、業務効率や組織文化の改善といった企業全体の成果につながります。
ここでは、人事・教育施策として取り組むことで得られる代表的なメリットを整理します。
生産性・業務品質の向上
情報共有の精度が高まることで、認識のズレや手戻りが減少します。
業務の背景や目的が正しく伝わるようになれば、判断や対応のスピードが向上し、結果として生産性の底上げにつながります。
また、指示や相談がスムーズになることで、業務品質のばらつきも抑えやすくなります。
信頼関係・チームワークの強化
双方向のコミュニケーションが定着すると、心理的な距離が縮まり、意見や相談がしやすい職場環境が生まれます。
相互理解が進むことで、部署間・メンバー間の連携が強化され、チームとして成果を出しやすくなります。
結果として、個人プレーに頼らない協働型の組織づくりにつながります。
人材定着・エンゲージメント向上
自分の意見が受け止められ、適切なフィードバックが得られる環境は、社員の働きがいを高めます。
上司・同僚との関係性が良好になることで、組織への信頼感や帰属意識が醸成され、離職防止にも寄与します。
コミュニケーション能力の向上は、人材定着とエンゲージメント向上の土台となる施策といえます。
まとめ
コミュニケーション能力の向上は、話し方や性格の問題ではなく、誰もが身につけ、磨いていけるビジネススキルです。
言語・非言語の両面から構造的に捉え、個人実践とトレーニング、さらに組織的な育成設計を組み合わせることで、生産性向上やチームワーク強化、人材定着といった企業成果へとつながります。重要なのは、個人任せにせず、学びと実務を循環させる仕組みを整えることです。コミュニ
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コミュニケーション能力を「一過性の研修」で終わらせず、成果につながる人材育成へ。
自社に合った育成の形を検討する際は、ぜひeラーニングの活用も選択肢としてご検討ください。


















