
スキルアップとは?社員が高めるべきスキルと効果的な方法も紹介
「スキルアップ」というと社員にしかメリットがないように思われがちですが、そんなことはありません。社員がスキルアップすることにより企業にもメリットが生まれます。スキルアップの支援・補助を行うことにも企業にとってメリットがあります。
今回は、具体的なメリットのほか、社員がスキルアップを目指すようになる施策とポイントについてまとめます。総務のご担当者様など、かかわる部署の方はぜひ参考にしてみてください。
目次[非表示]
- 1.スキルアップとは
- 1.1.会社におけるスキルの例
- 1.2.「キャリアアップ」「ブラッシュアップ」との違い
- 2.企業から見たスキルアップのメリット
- 2.1.➀生産性向上・業績向上
- 2.2.②社員のモチベーション・エンゲージメント向上
- 2.3.③採用ブランディング
- 2.4.④人材の定着率向上
- 3.社員から見たスキルアップのメリット
- 3.1.➀取引先からの評価向上
- 3.2.②会社からの評価向上・待遇への反映
- 3.3.③キャリアアップの可能性が高まる
- 3.4.④自己肯定感・充実感の向上
- 4.【新人・若手】向上させるべきスキル4選
- 4.1.ビジネスマナー
- 4.2.テクニカルスキル
- 4.3.パソコンスキル
- 4.4.タイムマネジメントスキル
- 5.【管理職・リーダー候補】向上させるべきスキル4選
- 6.【全社員】向上させるべきスキル4選
- 6.1.ヒューマンスキル
- 6.2.業務上の専門知識
- 6.3.コンセプチュアルスキル
- 6.4.コミュニケーションスキル
- 7.スキルアップを支援する人材育成の流れ
- 7.1.ステップ1|必要なスキルをリストアップする
- 7.2.ステップ2|社員のスキルの現状を把握する
- 7.3.ステップ3|不足スキルを洗い出す
- 7.4.ステップ4|育成方法を検討する
- 7.5.ステップ5|育成の実施とPDCAを行う
- 8.スキルアップを促す方法
- 8.1.研修・eラーニングなどの実施
- 8.2.手当・支援や補助の制度などの整備
- 8.3.配置換え・ジョブローテーションなどの実施
- 8.4.副業を認める・推奨する
- 8.5.時間や環境を整える
- 9.スキルアップ施策のよくある失敗例と対策
- 9.1.研修の目的が不明確
- 9.2.研修の内容や難易度が受講者と合っていない
- 9.3.研修後のフォローができていない
- 10.スキルアップの施策の効果を高めるポイント
- 10.1.能力評価・スキル評価などと連動させる
- 10.2.待遇への反映などメリットを可視化する
- 10.3.一過性でなく継続できる仕組みを作る
- 11.スキルアップ学習ならイー・コミュニケーションズにご相談を
スキルアップとは
「スキルアップ」とは、研修や学習を通じて、仕事に必要な能力や、より高いクオリティの仕事をするために必要な能力を高めることをいいます。
スキルアップというと、すでにもっている能力を今以上に高めるというイメージがあるかもしれません。
しかしそれだけではなく、新しく技術を身に付けることもスキルアップの1つです。資格の取得もスキルアップといって良いでしょう。
会社におけるスキルの例
会社における「スキル」は、いくつかの種類に分けることができます。
まず業務を遂行するのに直接必要となるものがあります。簿記・PC操作・加工機械の操作技術などがその例です。
他には業務を円滑に行うために必要となるものがあり、コミュニケーション能力やロジカルシンキングなどがこれに当たります。
さらに技術・知識・心構えなどもスキルの一部といって良いでしょう。経験や資格を含むこともあります。
「キャリアアップ」「ブラッシュアップ」との違い
スキルアップは、「キャリアアップ」や「ブラッシュアップ」と混同される場合があります。スキルアップとの違いを確認しておきましょう。
■キャリアアップ
社内でも転職先でも今よりも経歴・役職が上がることをいいます。例えば、昇進・より大きな会社への転職・非正規から正規雇用への変更などです。能力ではなく役職や経歴が向上・改善することをいいます。
■ブラッシュアップ
商品や業務について改善を行ってクオリティを高めることです。こちらは人の能力ではなく商品やサービス・行動のクオリティに関わる言葉です。
企業から見たスキルアップのメリット
社員がスキルアップすること・社員のスキルアップの支援をすることについて、企業から見た場合のメリットをまとめます。具体的には次のような点があげられます。
- 生産性向上・業績向上
- 社員のモチベーション・エンゲージメント向上
- 採用ブランディング
- 人材の定着率向上
1つずつ見ていきましょう。
➀生産性向上・業績向上
社員が業務に必要なスキル・改善に役立つスキルを身に付けることにより、社員の、ひいては部署・会社全体の生産性の向上が見込めます。能力が高まると短い時間で同じ成果を出せるようになるからです。
さらに業務の効率化・生産性向上は、労働時間の短縮など労働環境の改善や業績アップに役立ちます。同じ量の業務を短い時間で終わらせたり、今までと同じ時間でより多くの業務をこなしたりできるようになるからです。
②社員のモチベーション・エンゲージメント向上
スキルアップにより社員の能力が高まると、業務へのモチベーションも高まることが期待できます。業務の幅が広がったり業務の品質が高くなったりすることがよい循環を生むためです。わかりやすく言い換えれば、できることが増えたりうまくできるようになったりすると仕事が楽しくなるということです。
特に会社が社員のスキルアップをバックアップしてくれる場合は、エンゲージメントも高まります。エンゲージメントの高い社員が増えるほど、周囲への良い影響も期待できます。
③採用ブランディング
企業がスキルアップの支援を積極的に行うことで、採用にもプラスの影響を与えます。
社員を大切にしている企業として、応募者へのイメージアップにつながります。他の企業との差別化になり、応募者の数が増えやすくなるでしょう。
その結果、良い人材に出会える可能性も高まります。
④人材の定着率向上
社員のスキルアップを支援することにより、社員の定着率も向上します。
会社に大切にされているという満足感が得られたり向上心が満たされたりして、社員の満足度が高まるからです。
「スキルが高まると他社へ流出するのでは?」と不安になるかもしれませんが、適切な支援を行えば心配は軽減できます。社員の満足度が高まると、わざわざ転職する必要がなくなるからです。
もちろん労働環境の整備も必要ですが、満足感は内的なモチベーションとなります。
社員から見たスキルアップのメリット
次に社員にとって、自分がスキルアップすることのメリットをまとめます。以下のような点があげられます。
- 取引先からの評価向上
- 会社からの評価向上・待遇への反映
- キャリアアップの可能性が高まる
- 自己肯定感・充実感の向上
1つずつ見ていきましょう。
➀取引先からの評価向上
スキルが高まり業務のクオリティが高まると、取引先からの評価が向上します。先方の安心感や信頼感が高まって、コミュニケーションがしやすくなったり、細かい確認なしに任せてもらえたりするようになります。その結果、仕事がやりやすくなります。
営業職なら、直接的に自分の業績にも良い影響があるでしょう。自分のモチベーション向上にもつながります。
②会社からの評価向上・待遇への反映
スキルが高まると、取引先だけでなく社内でも上司や経営陣などからの評価が高まります。作業の技術に関するスキルは品質を向上させ、管理に関するスキルは環境を改善したりチームの業務をスムーズにしたりします。このようにスキルアップは会社にとってもプラスとなるからです。もちろん取引先の信頼も会社にとってプラスです。
評価を形にする仕組みがある場合は、給与や賞与などの待遇もよくなるでしょう。充実感や満足感などの内的なモチベーションに加えて外的なモチベーションとなり、さらに大きなやりがいも得られます。
③キャリアアップの可能性が高まる
待遇・処遇については、給与・賞与だけでなく将来的に社内で昇進できる可能性も高まります。特にどのスキルアップができると、管理職としての資質も高まります。
転職する場合も、より良い条件の転職先が探しやすくなります。社内・転職いずれに関してもキャリアアップにつながる可能性が高まるでしょう。
もちろん人の管理だけでなく技術の習得についても同じことが言えます。
④自己肯定感・充実感の向上
スキルアップすることによって、仕事へのやりがいが増し、充実感が得やすくなります。
また、周囲からの評価や信頼感も高まるため、自己肯定感の向上にもつながります。
【新人・若手】向上させるべきスキル4選
ここからは、社員が向上すべきスキルを、新人・若手、管理職・リーダー候補、全社員別に紹介します。
まずは新人・若手が身に付けると良いスキルからみていきましょう。
ビジネスマナー
ビジネスマナーは、社会人にとって基本中の基本であるスキルです。挨拶や言葉遣い、清潔感のある服装や髪型などは、社内外の人と円滑な人間関係を築くのに欠かせません。
また、会社では電話やメール、チャットツールなどを使ってコミュニケーションを取る機会が多々あります。正確に情報を伝え、なおかつ相手を不快な気持ちにさせないために、電話応対やビジネスメールのマナーを身に付けることが重要です。
同時に「報連相」を徹底する習慣も身に付ける必要があります。社内の業務のうち、1人で完結するものはほとんどありません。
特に新人や若手の間は自分1人で対応できる業務が少ないので、現在の進捗やトラブルの発生などを、都度、上司や先輩などに報告・相談しながら対応することが大切です。
テクニカルスキル
新人や若手社員がまず初めに身に付けるべきは、「テクニカルスキル」です。
テクニカルスキルとは業務を行う上で直接的に必要になるスキルのことで、具体的な内容は業種によって異なります。
いくつかの職種における具体例をあげます。
・販売職:接客スキル、商品知識
・営業職:商品知識、提案力
・事務職:パソコンスキル、電話応対スキル
・技術職:機械操作スキル、素材の知識
上記以外の職種でも、それぞれのテクニカルスキルが存在するため、今就いている職種に必要なテクニカルスキルは何なのかを把握しておきましょう。
パソコンスキル
パソコンスキルは、現代のビジネスにおいては最低限のスキルといえるでしょう。
書類の作成からメールやコミュニケーションツールでのやり取り、数値の分析などありとあらゆる作業がパソコンを使って行われます。
さらにDXの必要性が叫ばれる現在、あらゆる業務がクラウド上などに構築されたシステムを活用して行われます。基本的なパソコンスキルは部署や職種を問わず習得させる価値があるでしょう。
新入社員となる若い世代は、デジタルデバイスを使い慣れていながらもスマートフォンしか使えない層も一定数います。新人研修にはパソコンの操作方法を盛り込みましょう。
タイムマネジメントスキル
タイムマネジメントスキルとは、「限られた時間を有効に使い、生産性を向上させるための能力」です。
ただ単にスケジュール通りに動くのではなく、業務やタスクに優先順位を付けて、質と効率を両立することが求められます。
新人の間は「何をどの順番で進めたら良いか」に悩みがちなので、上司や先輩に相談するなどして、段取り力や効率重視の視点を身に付けましょう。
【管理職・リーダー候補】向上させるべきスキル4選
続いて、経営幹部クラス、部長・店長・支店長・エリアマネージャーなど中間管理職、リーダー候補が向上させたいスキルを紹介します。
ロジカルシンキング
ロジカルシンキングは主にトップマネジメントに必要とされるスキルとされますが、どの階層においても有用です。階層を問わず、直面する課題を分析・解決するときには論理的に考える力が必要です。業務の精度を高めるのに役立つスキルだといえるでしょう。
ロワーマネジメント層にもロジカルシンキングが浸透していると、効率的に業務を進めることができます。意見の一致がしやすくなるほか、議論の場でも感情より論理優先で話し合うことができるようになります。
参考:日本コミュニケーション能力認定協会「論理的思考(ロジカルシンキング)を効率的に鍛える方法3選」
コーチングスキル
コーチングスキルとは、主に次の5つの能力を活用して対話し、目標達成や課題解決をサポートするスキルです。
・傾聴力
・質問力
・承認力
・フィードバック力
・リクエスト力
直接解決策を教えるのではなく、対話を通じて相手の視野を広げ、自ら目標を設定したり解決策を見出したりできるようにします。
個人やチーム全体のパフォーマンスや成長が促進されるだけでなく、管理職側のリーダーシップやコミュニケーションスキル向上が期待できるのがメリットです。
コーチングスキルに関して、こちらの記事で詳しく解説していますので、ご参考にしてください。
↓↓↓
社員が育つ!中小企業のためのコーチングスキル実践ガイド【信頼関係・育成・離職防止】
マネジメントスキル
マネジメントスキルとは、組織が掲げる目標や成果の達成のために、スケジュールや予算、人材を管理・運用・調整する能力です。
業務の進捗を管理したり、PDCAサイクルを回して業務を改善したりする「業務マネジメント」や、起こり得るリスクを予測し対策を練る「リスクマネジメント」などがあります。
なお、管理職やリーダーがうまくマネジメントを行うには、論理的思考力やリーダーシップ、意思決定能力、コミュニケーションスキルなどが必要です。
マネジメントスキルに関して、こちらの記事で詳しく解説していますので、ご参考にしてください。
↓↓↓
人材育成マネジメントを成功させる3つのポイントとは?必要なスキルと実践方法を徹底解説
インテグリティ
インテグリティとは、高い倫理観や誠実さをもとにした価値観・信念をもって行動することです。
会社は常に法令遵守や透明性の確保、人権の尊重など、さまざまな社会的責任を負っています。
その責任を果たすには、管理職やリーダーなど上の立場の人間が模範的な行動や指針を示すことが重要です。
特に近年は、社会全体のコンプライアンス意識が高まっていることから、会社の信用を保つためにもインテグリティが欠かせないものとなっています。
【全社員】向上させるべきスキル4選
ここでは、非管理職から管理職まで、全社員が向上させるべきスキルを紹介します。
ヒューマンスキル
「ヒューマンスキル」は、対人スキルです。良好な人間関係を築き維持するために必要となるスキルです。管理職でも非管理職でも、すべての社員に等しく必要とされます。具体的には次のスキルがあげられます。
・リーダーシップ
・プレゼンテーション力
・ヒアリング力
・交渉力
・動機付け
同僚同士の横のやり取りも上司や部下との縦のやり取りも、またどんな役職においても、上記のようなスキルが必要なのはたやすく理解できるでしょう。ヒューマンスキルがあることで、協力しながら業務をスムーズに進めることが可能になります。
ヒューマンスキルは階層を問わず必要となるスキルなので、人材育成において戦略的に習得させると自社にもプラスになります。
ただし階層や職種によって多少求められる具体的なスキルが異なります。例えば事務職には交渉力やプレゼンテーション力はそれほど必要ありませんが、営業職には必要です。
職種や階層に合わせたスキルを習得することが重要です。
業務上の専門知識
業務上の専門知識は、まさにテクニカルスキルそのものです。業務を行う上で必須であり、社員教育のごく早い時期に身に付けさせるべき内容です。
ステップアップしていくのに従って、身に付けるべき専門性も高まっていきます。新入社員研修にはじまり階層別の研修に至るまで、計画的に習得させていくようにしましょう。
eラーニングなどの形で効率的に知識を習得させてから、OJTで実践を通じて定着させるのが効果的です。OJTではより業務遂行能力を高めるコツや裏技を学ぶこともできます。
コンセプチュアルスキル
「コンセプチュアルスキル」は、本質を見極めて判断するスキルです。「概念化力」ともいわれます。
コンセプチュアルスキルは、主にトップマネジメントに必要とされるスキルです。いくつかスキルの例をあげます。
・ロジカルシンキング(論理的思考)
・クリティカルシンキング(批判的思考)
・ラテラルシンキング(水平思考)
・多面的視野
・知的好奇心
・洞察力
このほかにも多数あります。テクニカルスキルが作業を行うための具体的なスキルであるのに対し、コンセプチュアルスキルは正確に認識する能力や抽象的な思考力です。
人材育成においては、リーダー候補にコンセプチュアルスキルを習得させることで、将来のリーダーを育てることが可能となります。
また候補を選抜する際も、上記のようなスキルをもっているかどうかで資質があるか判断するのに役立ちます。
コンセプチュアルスキルを高める方法はこちらの記事で紹介しています。ご参考にしてください。
中小企業向け!コンセプチュアルスキル研修の完全ガイド。成果を高めるコツとは?
コミュニケーションスキル
コミュニケーションスキルは、すでに述べたようにあらゆる階層に必要とされるヒューマンスキルの1つです。
企業が社員の集まりであり業務を分担して企業としての活動を行う以上、社員同士のやり取りは欠かすことができません。
コミュニケーションスキルは日常的な意思の疎通はもちろん、報連相や会議などでも役立ちます。また営業職などコミュニケーションスキルが直接的に業績に結びつく職種もあります。
参考:Life and Mind+「コミュニケーション能力が高い人の特徴7選と高める秘訣4選を紹介!」
スキルアップを支援する人材育成の流れ
次に、戦略的にスキルアップを支援する際の手順についてまとめます。以下の手順で行います。
・必要なスキルをリストアップする
・社員のスキルの現状を把握する
・不足スキルを洗い出す
・育成方法を検討する
・育成の実施とPDCAを行う
それぞれのステップについて、1つずつ具体的に見ていきましょう。
ステップ1|必要なスキルをリストアップする
まず、会社としてどのようなスキルを必要としているかリストアップします。
必要なスキルは事業内容や中長期の経営計画などによっても変わります。また現場の意見をヒアリングして、どんなスキルが必要とされているのか確認するのも有効な方法です。
このように、リストアップする際にはゴールを意識することが大切です。「どんな状態に変えたいのか」というゴールを決めて、そのゴールに到達するために必要なスキルを逆算する方が戦略的なスキルアップを行うことができます。
その際、カッツモデルなどを参考にするのも有効です。どの層に対して教育を行ったりスキルアップを支援したりするのかが明確になる場合があります。
ステップ2|社員のスキルの現状を把握する
次に社員のスキルの現状を把握します。
現場へのヒアリング、年間目標の達成度の確認、所有資格の確認などさまざまな手段が考えられます。
初めから対象が決まっている場合は対象となる層を抽出して確認しましょう。ゼロベースで対象を決めるところから企画する場合は、いろいろな条件でグルーピングしてみてグループごとの現状を把握する方法もあります。
またスキルの現状を把握することで、初めにリストアップした内容とは別のスキルの必要性に気付くことがあるかもしれません。そのような場合は初めのリストにこだわらず、新たな課題が明確になったと捉えましょう。
ステップ3|不足スキルを洗い出す
現状を把握できたら、不足スキルを洗い出します。必要なスキルと現状とを比較して、どのスキルが不足しているか明確にします。
不足スキルが多い場合は優先順位を考えます。優先順位は重要度と緊急性をもとに判断します。
戦略的に社員のスキルアップを計画するなら重要度の高いものを優先することが重要です。
スキルの不足を解消するとどう変化するかをイメージしながら、どのスキルを習得させるか選びましょう。
ステップ4|育成方法を検討する
次に、OJT・講義・グループワーク・eラーニングなどの方法から育成方法を検討します。
各方法の期間や内容、費用対効果も考慮して最適な方法を考えることが大切です。
同時に、評価制度に必要スキルを反映させるなど、定着の仕組みづくりも考えておきましょう。
ステップ5|育成の実施とPDCAを行う
育成施策を実施した後、記憶が薄れる前に担当者の反省や学習者の意見などアンケートを行って結果をまとめておきましょう。
その結果にもとづいて、効果測定とPDCAを行います。
測定項目の例は以下の通りです。
・習熟度:育成方法がどの程度うまく行ったかを把握できます。
・業務への影響:プラスの影響が出ていれば、スキル自体の有効性が検証できます。
スキルアップを促す方法
会社として、社員にスキルアップを促す方法についてまとめます。具体的には次のような方法があります。
・研修・eラーニングなどの実施
・手当・支援や補助の制度などの整備
・配置換え・ジョブローテーションなどの実施
1つずつ見ていきましょう。
研修・eラーニングなどの実施
1つめの方法は、研修やeラーニングによる学習などを行うことです。会社側で身に付けてほしいスキルが明確な場合や、人材育成の計画がある場合に有効な方法です。
内容により全員一律に行うこともありますが、スキルについては入社年数や役職などで対象者を選んで実施するのが一般的です。
研修は社内で行う場合もありますが、基本的には外部の研修に参加する形式が多いでしょう。近年はオンラインのウェビナーも多く開催されています。
eラーニングは、新卒向けのビジネスマナーから専門的な知識まで、必要な内容を選ぶことができます。オリジナルの教材を作成することも可能です。
なお、教育効果、知識の定着にこだわったeラーニングプラットフォーム「SAKU-SAKU Testing」では、以下のような研修テーマを取り扱っています。
・管理職・管理職候補向け
・入社1年目~3年目向け
・内定者向け
・取締役・監査役向け
研修のリソースや費用対効果にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
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手当・支援や補助の制度などの整備
次に、資格の取得や書籍購入・セミナー参加などの学習の費用を一部負担するという方法があります。すでに所有している資格に対して手当を支給する方法もあります。
社員の自発的な意欲を尊重したいときに向く方法です。一般的には社員が自分で選んだり見つけたりした資格や学習方法を申請して、それに対して必要な費用を負担します。
ただし手当や費用の金額設定、対象とする内容などは検討が必要です。自発的な学習のためには制限が少ない方が良いのですが、業務とかけ離れた内容だときりがなくなってしまうからです。
特に手当は継続して支払う必要があります。原資をよく考えてから決めましょう。途中で手当を廃止するとモチベーション低下につながります。
配置換え・ジョブローテーションなどの実施
配置換えやジョブローテーションなどもスキルアップにつながります。
部署ごとに必要なスキルが異なるため、いろいろな部署を経験させることでさまざまなスキルが身に付きます。担当業務につながりのある他部署での経験は、担当業務に戻ったときに理解度が深まり仕事に厚みが生まれるでしょう。
配置換え・ジョブローテーションは会社主導で計画的に行うことがほとんどです。ただし終身雇用など従来の日本型の雇用形態を前提としているため、欧米的なジョブ型の雇用を導入している場合にはズレがある可能性もあります。
さらに不慣れな部署への配置換えや、希望と違う部署に配属されたといった理由などでモチベーションが下がるケースもあります。注意が必要です。
副業を認める・推奨する
副業もスキルアップに役立ちます。近年は副業を解禁したり、推奨したりしている企業もあります。副業することにより新しいスキルや知識を身に付けることができます。
また本業のスキルを活かす内容であればより多くの経験を積むことができ、スキルアップが期待できます。
その他、転職する必要性がなくなるため定着率が向上して、優秀な人材の流出を防ぐことにもつながるでしょう。副業でできた新しい人脈が本業に役立つ可能性もあります。このようにスキルアップ以外の効果も期待できます。
本業に支障をきたす可能性や情報漏洩のリスクを不安に思う場合は、就業規則や評価基準を見直してあらかじめ社員に周知しておくなどの対策を行いましょう。
時間や環境を整える
勤務時間や環境を整えることも社員がスキルアップする助けになります。新しいことを学ぶためには時間もかかりますし、周囲の環境も大きく影響するからです。
時間については、フレックス制の導入や残業時間の削減などが考えられます。スキルアップのための講座受講などがしやすくなります。あるいは副業希望のパートタイムの労働者を雇用する方法もあります。
環境については、終身雇用制が崩壊した現在、スキルアップが望めない環境は選ばれないようになりつつあります。上で述べたような手当や補助などの制度を整備したり、評価制度やキャリアプランの制度、継続的な教育制度などを整えたりしましょう。
スキルアップ施策のよくある失敗例と対策
スキルアップのためにさまざまな研修を実施しても、思うような効果が出ず失敗に終わるケースも少なくありません。
ここでは、スキルアップ研修の失敗パターンと原因、対策を紹介します。
研修の目的が不明確
企業の研修が失敗に終わるパターンで多いのが、目的が不明確なまま研修を行うことです。
どのような目的の研修なのかがわからないと、社員は参加する意味が見出せず、無駄に時間を消費させられただけのように感じてしまいます。
当然、研修に対するモチベーションも上がらないため、何も身に付かないまま終わってしまうのです。
このような事態を回避するには、あらかじめ研修の目的やメリットを提示し、納得感をもって参加できるようにすることが大切です。
研修の内容や難易度が受講者と合っていない
研修の内容や難易度が受講者のレベルや業務とかみ合っておらず、失敗に終わるケースもあります。
新人に管理職レベルの研修を行ってもついていけず、管理職に新人レベルの研修を行っても何の意味もありません。
また、自分の業務とかけ離れた内容の研修だと、何のために受講しているのかがわからないので身が入らないでしょう。
そのため、受講者のスキルや知識、業務内容に見合った内容の研修を実施する必要があります。
どうしても受講者の知識レベルが揃わない場合は、eラーニングを用いた自己学習を促し、研修に必要な知識が身に付いてから参加する流れにすると良いでしょう。
研修後のフォローができていない
ただ研修を実施しただけで、その後のフォローがないのも、よくある失敗のパターンです。仮に研修を受けて意識が変わったとしても、それは一時的なものである場合が多く、時間が経つほどもとに戻っていきます。
まずは研修の目標を設定し、研修終了後に何が変わったのか、効果測定を行いましょう。研修の最後にテストを行うのもおすすめです。
その後はeラーニングによる自己学習などを継続し、研修で学んだスキルや知識の定着を図りましょう。
そして1週間後、1か月後、3か月後と定期的に研修やテストを実施すれば、しっかりと研修の内容が身に付き実務に活かせるようになるでしょう。
スキルアップの施策の効果を高めるポイント
さらに効果的にスキルアップを促したり、自社に必要なスキルを向上させたりするためにもポイントがあります。次に、効果をより高いものにするためのポイントをまとめます。具体的には次の3点があげられます。
能力評価・スキル評価などと連動させる
待遇への反映などメリットを可視化する
一過性でなく継続できる仕組みを作る
1つずつ見ていきましょう。
能力評価・スキル評価などと連動させる
まず、能力評価やスキル評価などと連動させることで、自社に必要なスキルアップを促すことができます。
会社にどんなスキルの人材が不足しているのか、個々の社員の現状のスキルはどうかなどを、能力評価やスキル評価の結果をもとに確認します。どんなスキルが今後自社に必要となるのかなども確認します。そうして自社に必要なスキルを洗い出します。
研修の内容・補助を出すスキルの選定などの方向性に、求めるスキルを反映させます。それにより、会社にとって必要なスキルを伸ばすことができます。
待遇への反映などメリットを可視化する
スキル習得が社員自身のプラスになることを可視化しましょう。
具体的には、保有スキルやスキル獲得を給与・賞与などの待遇に反映させる方法があります。
この際、インセンティブとなる金額の決定は費用対効果など含め、長期的な視点で検討することが重要です。
途中で中止すると社員の不満につながるため、負担が大きくなって継続できないということのないようにしましょう。
一過性でなく継続できる仕組みを作る
スキルアップの取り組みは、仕組み化して継続できる体制にすることも大切です。
社員全体のスキルの底上げには時間がかかります。一過性の取り組みで終わって形骸化してしまうと、思うような効果が得られません。
運用し続けられるよう、負担を少なくする工夫ができないか検討しましょう。既存の仕組みやデータのうち流用したり参考にしたりできるものがあれば、取り組みに活用・連動させます。
そのほか、eラーニングの導入など、外部のシステムの活用により自社の負担なしに定期的な研修・学習を実施する方法も考えられます。
スキルアップ学習ならイー・コミュニケーションズにご相談を
社員のスキルアップの一環にeラーニングをご検討中なら、ぜひ私どもの「SAKU-SAKU Testing」も候補としてみてください。知識の定着にテストを用いる「テストエデュケーション」で学習でき、知識習得に高い効果があります。
教育担当者様の声を反映し、誰でも簡単に直感で操作できるシステムを作りました。研修を実施する側・受講者側、いずれも効率的に利用できます。
また、多彩なeラーニングコンテンツがセットになった「サクテス学びホーダイ」を活用いただければ、さまざまな対象に合わせた社内教育がすぐに実施できます。「SAKU-SAKU Testing」にコンテンツがセットされているため、素早くWeb教育をスタートできます。
コンテンツには、新人社員向けのものや内定者教育向け、管理職向けなどを含む、100本を超える動画と、理解度を測定できるビジネス問題が3,000問以上揃っております。
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