ラーニングピラミッドとは?学習定着率との関係や企業研修への活用方法を解説

研修を実施しても、「学んだ内容が現場で生かされない」「時間が経つと内容を忘れてしまう」といった課題を感じている企業は少なくありません。
こうした課題へのヒントとして知られているのが「ラーニングピラミッド」です。
ラーニングピラミッドは、学習方法によって知識の定着しやすさが異なるという考え方を示したモデルです。
本記事では、ラーニングピラミッドの概要や学習定着率との関係、企業研修での活用方法、活用時の注意点について分かりやすく解説します。
目次[非表示]
- 1.ラーニングピラミッドとは
- 1.1.ラーニングピラミッドの考え方
- 1.2.学習定着率との関係
- 2.ラーニングピラミッドの7段階と学習効果
- 2.1.講義(定着率5%)
- 2.2.読書(定着率10%)
- 2.3.視聴覚学習(定着率20%)
- 2.4.デモンストレーション(定着率30%)
- 2.5.グループディスカッション(定着率50%)
- 2.6.実践・体験学習(定着率75%)
- 2.7.他者に教える(定着率90%)
- 3.ラーニングピラミッドは本当に正しい?根拠と考え方
- 4.ラーニングピラミッドを活用するメリット
- 4.1.学習内容が定着しやすくなる
- 4.2.主体的な学びを促進できる
- 4.3.研修成果を実務につなげやすい
- 5.ラーニングピラミッドを人材育成に活用する方法
- 6.ラーニングピラミッドを活用する際の注意点
- 6.1.定着率の数値だけで学習効果を判断しない
- 6.2.一つの学習方法に偏らない
- 6.3.学習成果を継続的に評価・改善する
- 7.まとめ
ラーニングピラミッドとは

ラーニングピラミッドとは、学習方法によって知識の定着しやすさが異なるという考え方を示したモデルです。
人材育成や学校教育など幅広い分野で知られており、研修や教育プログラムを設計する際の参考として活用されています。
まずは、ラーニングピラミッドの基本的な考え方と、学習定着率との関係を見ていきましょう。
ラーニングピラミッドの考え方
ラーニングピラミッドは、学習方法を7段階に分類し、それぞれの学習方法によって知識の定着しやすさが異なるとする考え方です。
一般的には、講義や読書のような受動的な学習よりも、ディスカッションや実践、他者に教えるといった能動的な学習の方が、知識が定着しやすいとされています。
この考え方は、人材育成や学校教育など幅広い場面で活用されており、学習方法を組み合わせた教育設計を考える際の参考となっています。
学習定着率との関係
学習定着率とは、学んだ知識やスキルを一定期間後も記憶し、実際の業務や行動に生かせる割合を指します。
ラーニングピラミッドでは、知識を一方的にインプットするだけでなく、議論や実践、アウトプットを組み合わせることで、理解が深まり、学習内容が定着しやすくなるという考え方が示されています。
そのため、企業研修では講義やeラーニングで基礎知識を学んだ後に、グループワークやロールプレイング、OJTなどを組み合わせる学習設計が広く取り入れられています。
ラーニングピラミッドの7段階と学習効果
ラーニングピラミッドでは、学習方法を7段階に分類し、それぞれ異なる学習定着率が示されています。一般的には、受動的な学習から能動的な学習へと進むほど、知識が定着しやすいと考えられています。
ここでは、各学習方法の特徴と、学習効果を高めるポイントを紹介します。

講義(定着率5%)
講義は、講師が受講者へ知識を伝える最も基本的な学習方法です。
短時間で多くの情報を伝えられるため、新入社員研修やコンプライアンス研修など、共通の知識を身に付ける場面で広く活用されています。
一方で、受講者は話を聞くことが中心となるため、学習が受け身になりやすく、内容を理解したつもりでも時間の経過とともに忘れてしまうことがあります。
講義の学習効果を高めるには、質疑応答や確認テスト、ディスカッションなどを組み合わせ、受講者が主体的に学ぶ機会を設けることが重要です。
読書(定着率10%)
読書は、書籍や教材、マニュアルなどを読みながら知識を習得する学習方法です。
自分のペースで学習を進められるため、基礎知識の習得や事前学習に適しています。
しかし、内容を読むだけでは理解が曖昧なまま進んでしまうこともあり、知識を実際の業務に結び付けるのが難しい場合があります。
学習内容を要約したり、重要なポイントを書き出したりすることで理解が深まり、学習内容を定着させやすくなります。
視聴覚学習(定着率20%)
視聴覚学習は、動画や音声、スライドなどを活用して学ぶ方法です。
文章だけでは理解しにくい内容でも、映像や図解を用いることでイメージしやすくなります。
近年では、eラーニングや動画教材の普及により、場所や時間を選ばず学習できる手法として活用が広がっています。
ただし、動画を視聴するだけでは受け身の学習になりやすいため、視聴後に理解度テストや振り返りを行うことで、より高い学習効果が期待できます。
デモンストレーション(定着率30%)
デモンストレーションは、講師や指導者が実際の作業や手順を見せながら学ぶ方法です。
実際の動きや業務の流れを目で見て理解できるため、文章や講義だけでは伝わりにくい手順や技能の習得に適しています。
ただし、見るだけでは十分なスキル習得にはつながりません。デモンストレーションの後に実際に手を動かす機会を設けることで、理解をより深められます。
グループディスカッション(定着率50%)
グループディスカッションは、複数人で意見交換を行いながら学ぶ方法です。
自分の考えを言葉にしたり、他者の意見を聞いたりすることで、新たな視点や気付きを得られます。
また、知識を整理しながら説明する過程で理解が深まりやすい点も特徴です。
企業研修では、ケーススタディやグループワークを取り入れることで、実際の業務を想定した課題解決力やコミュニケーション力の向上にもつながります。
実践・体験学習(定着率75%)
実践・体験学習は、実際に業務や演習を経験しながら学ぶ方法です。
知識を実践で活用することで、「知っている」状態から「できる」状態へとつなげやすくなります。企業では、OJTやロールプレイング、演習などが代表的な例です。
また、実践後に振り返りやフィードバックを行うことで、自身の課題や改善点を把握しやすくなり、より高い学習効果が期待できます。
他者に教える(定着率90%)
他者に教えることは、ラーニングピラミッドの中で最も高い学習定着率が示されている学習方法です。
人に教えるためには、学んだ内容を自分の言葉で整理し、相手に分かりやすく説明する必要があります。その過程で理解が深まり、自分自身の知識も定着しやすくなります。
企業では、研修後の発表会や社内勉強会、ナレッジ共有会などを通じて、学んだ内容をアウトプットする機会を設けることで、学習内容の定着だけでなく、組織全体への知識共有にもつながります。
ラーニングピラミッドは本当に正しい?根拠と考え方

ラーニングピラミッドは教育分野で広く知られている一方、示されている学習定着率については十分な学術的根拠が確認されていないという指摘もあります。
ここでは、ラーニングピラミッドの根拠や考え方について解説します。
学習定着率の数値には明確なエビデンスがない
ラーニングピラミッドでは、「講義は5%」「他者に教えると90%」といった学習定着率が広く知られています。しかし、これらの数値については、信頼できる研究によって裏付けられたものではないと考えられています。
一般的には、ラーニングピラミッドはアメリカのアメリカ国立訓練研究所(NTL)が出典とされることが多いものの、現在までにこれらの数値を導き出した研究方法や実験データは公開されていません。
また、「学習内容」「学習者の経験」「学習環境」などによって学習効果は大きく変化するため、一律の定着率を示すことは難しいとされています。
そのため、「5%」「90%」という数値は絶対的なものではなく、あくまで学習方法による違いをイメージしやすくするための目安として捉えることが大切です。
それでも教育現場や企業で活用される理由
学習定着率の数値に明確なエビデンスがないにもかかわらず、ラーニングピラミッドは現在も教育現場や企業研修で広く活用されています。
その理由は、「受け身の学習よりも、主体的に参加する学習の方が理解や定着につながりやすい」という考え方自体は、多くの教育実践や学習理論とも一致しているためです。
例えば、講義で知識を学んだ後にディスカッションを行ったり、実際の業務で試したり、他者へ説明したりすることで、知識を整理しながら理解を深められます。
企業研修でも、講義だけで終わらせるのではなく、演習やロールプレイング、OJTなどを組み合わせる手法が一般的になっています。
つまり、ラーニングピラミッドが支持されているのは、定着率の数値そのものではなく、「アウトプットや実践を取り入れた学習設計が重要である」という考え方に実用性があるためです。
「能動的な学習を促す考え方」として捉えることが重要
ラーニングピラミッドを活用する際は、数値をそのまま信じるのではなく、学習をより効果的にするための設計指針として活用することが重要です。
例えば、「講義だけでは効果がない」と考えるのではなく、講義で基礎知識を身に付けたうえで、ディスカッションや演習、実践を組み合わせることで学習効果を高めるという発想が求められます。
また、学習者の経験や知識レベル、研修の目的によって適した学習方法は異なります。
そのため、一つの学習方法だけに偏るのではなく、インプットとアウトプットをバランスよく組み合わせることが大切です。
ラーニングピラミッドは、万能な理論ではありません。
しかし、「知識を伝える」だけではなく、「知識を活用できる状態を目指す」という視点を持つうえでは、有効な考え方の一つといえるでしょう。
ラーニングピラミッドを活用するメリット

ラーニングピラミッドの考え方を取り入れることで、知識を一方的に伝えるだけではなく、実践や対話を組み合わせた学習設計がしやすくなります。
ここでは、ラーニングピラミッドを活用する主なメリットを紹介します。
学習内容が定着しやすくなる
ラーニングピラミッドの大きなメリットは、学習内容の定着を促しやすいことです。
講義や読書だけでは、学んだ内容を理解したつもりでも、時間の経過とともに忘れてしまうことがあります。
一方で、ディスカッションや演習、実践などのアウトプットを取り入れることで、学んだ知識を整理しながら理解を深めやすくなります。
例えば、研修後にケーススタディへ取り組んだり、学んだ内容を発表したりする機会を設けることで、知識を実際に活用する経験が得られます。
こうした学習プロセスを取り入れることで、研修内容を実務に生かしやすくなるでしょう。
主体的な学びを促進できる
ラーニングピラミッドでは、受講者が自ら考え、発言し、行動する学習方法が重視されています。
講義を聞くだけの受け身の学習では、理解が浅くなったり、学習への集中力が続かなかったりすることがあります。
一方で、グループディスカッションやロールプレイング、他者への説明などを取り入れると、受講者は自ら情報を整理し、自分の考えを言語化する必要があります。
このような能動的な学習は、知識の理解を深めるだけでなく、自ら学び続ける姿勢を育てることにもつながります。
変化の激しいビジネス環境において、継続的な学習が求められる企業にとっても大きなメリットといえるでしょう。
研修成果を実務につなげやすい
研修の目的は、知識を習得することではなく、実務で成果を発揮できるようになることです。
ラーニングピラミッドの考え方を取り入れることで、学んだ内容を実際の業務で試す機会を設けやすくなります。
例えば、研修後にOJTで実践したり、実際の業務課題をテーマにグループワークを行ったりすることで、知識を行動へと結び付けられます。
また、実践後に振り返りやフィードバックを行えば、自身の課題や改善点を把握しやすくなり、継続的なスキル向上にもつながります。
このように、インプットとアウトプットを組み合わせた学習設計を行うことで、研修を一時的な学びで終わらせず、実務で活用できる知識やスキルとして定着させやすくなります。
ラーニングピラミッドを人材育成に活用する方法

ラーニングピラミッドは、特定の研修手法を推奨するものではなく、学習プログラムを設計する際の考え方として活用できます。重要なのは、一つの学習方法だけに頼るのではなく、知識のインプットから実践、アウトプットまでを組み合わせることです。
ここでは、企業の人材育成で取り入れやすい活用方法を紹介します。
eラーニングで基礎知識を学ぶ
人材育成では、まず業務に必要な知識やルールを効率よく習得することが重要です。
その手段として有効なのが、eラーニングを活用した事前学習です。
eラーニングには、次のようなメリットがあります。
自分のペースで学習を進められる
集合研修前に基礎知識を身に付けられる
動画や確認テストで理解度を確認できる
ただし、ラーニングピラミッドの考え方では、知識をインプットするだけでは十分とはいえません。eラーニングで習得した内容を、その後の演習や実践につなげることが学習効果を高めるポイントです。
▶関連記事:eラーニングとは?活用例やメリット・デメリットをわかりやすく解説
集合研修でディスカッションを行う
eラーニングや講義で基礎知識を学んだ後は、集合研修でディスカッションやグループワークを行うことで、理解をより深められます。
参加者同士で意見交換を行うと、自分とは異なる考え方や業務経験に触れることができ、新たな気付きにつながります。
また、自分の考えを言葉にして説明することで、学んだ内容を整理しやすくなる点もメリットです。
例えば、次のような学習方法が有効です。
ケーススタディで課題解決を話し合う
グループごとに成果を発表する
▶関連記事:集合研修とは?メリット・デメリットから活用シーン、オンライン研修との違いまで人事担当者向けに解説
OJTや実務で学んだ内容を実践する
研修で学んだ知識を定着させるためには、実際の業務で活用する機会を設けることが欠かせません。
例えば、次のような形で研修内容を実践できます。
営業研修で学んだ提案手法を商談で実践する
管理職研修で学んだ面談スキルを1on1ミーティングで活用する
実践後は、上司や指導担当者からフィードバックを受けることで、自身の課題や改善点を把握しやすくなります。
学習と実践、振り返りを繰り返すことが、知識やスキルの定着につながります。
▶関連記事:OJT教育を成功に導く!ポイントやメリットをご紹介します
社内勉強会や発表会でアウトプットする
学習内容をより定着させるためには、アウトプットの機会を設けることも効果的です。
例えば、次のような取り組みが考えられます。
研修内容を社内勉強会で共有する
部署内で発表会を実施する
学んだ内容をナレッジとして共有する
学んだ内容を自分の言葉で説明することで理解が深まり、自身の知識として定着しやすくなります。また、知識を組織内で共有することで、受講者本人だけでなく周囲のメンバーの学習機会にもつながります。
ラーニングピラミッドを活用する際の注意点

ラーニングピラミッドは、学習方法を検討する際の参考となる考え方ですが、すべての学習場面に当てはまる万能なモデルではありません。
ここでは、ラーニングピラミッドを活用する際に押さえておきたい注意点を解説します。
定着率の数値だけで学習効果を判断しない
ラーニングピラミッドで示されている学習定着率は、学術的な根拠が十分に確認されているものではありません。
そのため、「講義だから効果が低い」「他者に教えれば必ず定着する」といったように、数値だけで学習効果を判断することは避けるべきです。
実際には、学習内容や受講者の知識レベル、学習環境、研修の目的などによって、最適な学習方法は異なります。
例えば、新しい制度や専門知識を学ぶ場合は、まず講義や教材による知識習得が欠かせません。
ラーニングピラミッドは、あくまでも学習設計の考え方の一つです。
数値そのものではなく、「受動的な学習だけでなく、能動的な学習も取り入れることが重要である」という考え方を参考にするとよいでしょう。
一つの学習方法に偏らない
人材育成では、一つの学習方法だけで十分な成果を得ることは難しいため、複数の学習方法を組み合わせることが重要です。
例えば、知識を身に付ける段階では講義やeラーニングが効果的ですが、それだけでは実務で活用できるレベルまで定着しない場合があります。
一方で、十分な知識がないままディスカッションや実践を行っても、期待した学習効果は得られません。
そのため、「知識を学ぶ→理解を深める→実践する→振り返る」という流れを意識しながら、学習方法を組み合わせることが大切です。
ラーニングピラミッドは、特定の学習方法を優先するためではなく、バランスの取れた学習プログラムを設計するための指針として活用しましょう。
▶関連記事:ブレンディッドラーニングとは?企業研修で成果を出す仕組みと導入・設計のポイントを徹底解説
学習成果を継続的に評価・改善する
研修は実施して終わりではなく、学習成果を確認し、継続的に改善することが重要です。
例えば、理解度テストやアンケートを実施して知識の習得状況を確認したり、研修後の業務成果や行動変容を振り返ったりすることで、研修の効果を客観的に評価できます。
また、受講者や現場の管理職からフィードバックを収集することで、研修内容や学習方法の改善点も見えてきます。
企業を取り巻く環境や求められるスキルは常に変化しています。
そのため、一度作成した研修プログラムを継続して使用するのではなく、学習成果を検証しながら内容や学習方法を見直すことが、人材育成の効果を高めるポイントです。
ラーニングピラミッドも固定的なモデルとして捉えるのではなく、自社の教育課題や受講者の状況に応じて柔軟に活用し、継続的に改善を重ねていくことが重要といえるでしょう。
▶関連記事:研修の効果測定とは?評価方法・指標・実施のポイントをわかりやすく解説
まとめ
ラーニングピラミッドは、学習方法によって知識の定着しやすさが異なるという考え方を示したモデルです。
学習定着率の数値には明確な学術的根拠があるわけではありませんが、「インプットだけでなく、対話や実践、アウトプットを組み合わせることで学習効果を高められる」という考え方は、人材育成において有効なヒントとなります。
企業研修では、講義やeラーニングで基礎知識を身に付けた後、ディスカッションやOJT、発表などを組み合わせることで、知識を実務で活用できるレベルまで定着させやすくなります。
自社の教育目的や受講者に合わせて学習プログラムを設計し、継続的に改善していくことが重要です。
人材育成に活用できるeラーニングプラットフォーム「SAKU-SAKU Testing」
学習効果を高めるには、学習内容だけでなく、継続的に学べる環境を整えることも欠かせません。
「SAKU-SAKU Testing」は、自社オリジナルの研修コンテンツや問題を自由に搭載できるeラーニングプラットフォームです。受講者ごとにコンテンツを出し分けられるため、役職や職種、スキルレベルに応じた研修を効率的に実施できます。
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