集合研修とは?メリット・デメリットから活用シーン、オンライン研修との違いまで人事担当者向けに解説

人材育成の手法が多様化する中でも、「集合研修」は今なお多くの企業で活用されている研修形式の一つです。
オンライン研修やeラーニングが一般化した現在だからこそ、対面で実施する集合研修の価値や役割をあらためて整理し、目的に応じて使い分けることが重要になっています。
本記事では、人事・人材教育部門の担当者に向けて、集合研修の基本的な考え方から、メリット・デメリット、活用シーン、オンライン研修との違いまでを分かりやすく解説します。
目次[非表示]
- 1.集合研修とは?
- 1.1.集合研修が注目され続ける背景
- 2.集合研修のメリット
- 3.集合研修のデメリットと注意点
- 3.1.会場・講師・運営などコストがかかりやすい
- 3.2.スケジュール調整の難しさ
- 3.3.受講者ごとの理解度差が生じやすい
- 3.4.現場業務への影響が発生する可能性
- 4.集合研修が向いている内容・テーマ
- 4.1.新人・内定者向け研修
- 4.2.実践や体験を重視する研修
- 4.3.グループワーク・ディスカッション中心の研修
- 5.集合研修が向いていないケース
- 5.1.知識習得のみが目的の研修
- 5.2.対象者数が多く、頻繁な実施が必要な場合
- 5.3.個別最適な学習が求められるケース
- 6.集合研修とオンライン研修の違いを比較
- 6.1.研修内容・学習スタイルの違い
- 6.2.時間・場所の柔軟性
- 6.3.運営・管理のしやすさ
- 6.4.コスト構造の違い
- 6.5.受講者の集中度・参加姿勢
- 7.集合研修を効果的に活用するポイント
- 8.まとめ|集合研修の特性を理解し、効果的な人材育成につなげる
集合研修とは?

集合研修とは、受講者が同じ時間・同じ場所に集まり、講師の進行のもとで学習を行う研修形式です。
講義による知識インプットに加え、ディスカッションやグループワーク、ロールプレイングなどを取り入れることで、理解を深めるだけでなく、行動や意識の変化につなげやすい点が特徴です。
受講者と講師が同じ空間を共有するため、受講者の反応を見ながら柔軟に進行でき、疑問点や気づきをその場で共有しやすいというメリットもあります。
また、受講者同士が顔を合わせて学ぶことで自然なコミュニケーションが生まれやすく、研修そのものが人間関係づくりや共通認識を形成する場として機能する点も、集合研修ならではの特長といえるでしょう。
オンライン研修やeラーニングが普及した現在においても、目的に応じて活用すれば、集合研修は高い効果が期待できる育成手法です。
集合研修が注目され続ける背景
集合研修が今も注目されている背景には、企業を取り巻く人材・組織環境の変化があります。
リモートワークの普及や働き方の多様化により、社員同士が直接顔を合わせる機会は減少し、組織内のコミュニケーション不足や相互理解の希薄化を課題と感じる企業が増えています。
また、人的資本経営への関心が高まる中で、研修についても「どれだけ実施したか」ではなく、「人材の意識や行動にどのような変化をもたらしたか」といった育成の質が重視されるようになりました。
価値観の共有やマインドセットの変革を目的とする研修では、対面での対話や議論が重要な役割を果たします。
オンライン研修やeラーニングは、時間や場所を選ばず学べる点で有効な手法ですが、集中度や参加姿勢に差が出やすく、双方向のやり取りが限定的になりがちです。
こうした点を補う手段として、対面ならではの臨場感や相互作用を活かせる集合研修が再評価されており、近年ではオンライン研修と役割を分けて活用する企業が増えています。
▶関連記事:ハイブリッド研修とは?メリット・デメリットから具体的な行い方まで解説
集合研修のメリット

集合研修には、対面形式ならではの強みがあります。
知識を学ぶだけでなく、受講者の行動変容や組織内の関係づくりにつながりやすい点は、他の研修手法にはない大きな魅力です。
ここでは、人事担当者が研修設計を検討する際に押さえておきたい、集合研修の代表的なメリットを整理します。
受講者同士の関係性を構築しやすい
集合研修では、受講者が同じ空間で学び、意見を交わすため、自然なコミュニケーションが生まれやすくなります。
特に、部署や職種を横断した研修では、日常業務では接点の少ない社員同士が交流するきっかけとなり、研修後の情報共有や連携を円滑にする効果が期待できます。
こうした横のつながりは、チームワークの向上や組織全体の一体感の醸成にもつながり、人材育成にとどまらない価値をもたらします。
講師へ直接質問でき、理解を深めやすい
集合研修は、講師との距離が近く、その場で疑問を解消しやすい点も大きなメリットです。
理解が曖昧な点をすぐに確認できるため、受講者は内容をより納得感をもって学習できます。
また、講師側も受講者の表情や反応を見ながら進行を調整できるため、理解度に応じた補足説明や進め方の変更など、柔軟な対応が可能になります。
グループワークやロールプレイを実施しやすい
同じ場所に集まる集合研修は、グループワークやロールプレイングといった参加型のプログラムを実施しやすい点も特徴です。
実務を想定した演習やディスカッションを行うことで、知識を実践に結びつける学習体験を提供できます。
他者の意見を聞き、自分の考えを言語化するプロセスは、理解の定着を促すだけでなく、受講者自身の気づきや視野の拡大にもつながります。
双方向の対話により学習効果が高まりやすい
集合研修では、講師からの一方的な説明にとどまらず、質疑応答や意見交換を通じた双方向の学びが生まれやすくなります。
他の受講者の質問や発言をきっかけに、新たな視点を得られる点も対面研修ならではの価値です。
このような対話を通じた学習は、理解を深めるだけでなく、研修内容を自分事として捉える意識を高め、行動変容につながりやすくなります。
集合研修のデメリットと注意点

集合研修には多くのメリットがある一方で、運営やコストの面ではいくつか注意すべき点もあります。
効果的な人材育成につなげるためには、「良さ」だけで判断するのではなく、あらかじめ想定される課題を理解したうえで研修を設計することが重要です。
ここでは、人事担当者が事前に押さえておきたい代表的なデメリットを整理します。
会場・講師・運営などコストがかかりやすい
集合研修では、オンライン研修と比べて発生するコストが多くなりがちです。
主に次のような費用が考えられます。
会場費、講師料、教材費
受講者の交通費や宿泊費(必要な場合)
研修準備や当日運営にかかる人件費・工数
特に、外部講師や外部会場を利用する場合は、研修1回あたりの費用が想定以上に膨らむこともあります。
費用対効果を意識しながら、研修の目的や対象人数に見合った内容・規模で設計することが求められます。
スケジュール調整の難しさ
集合研修は、日時と場所を固定して実施する必要があるため、受講者全員のスケジュールを調整することが難しくなりがちです。
特に、管理職や多忙な部門を対象とする場合、業務都合により参加できない社員が出てしまうケースも少なくありません。
結果として、受講者に偏りが生じたり、同じ内容を複数回実施する必要が出たりする点は、事前に考慮しておく必要があります。
受講者ごとの理解度差が生じやすい
集合研修では、複数の受講者に対して同一の内容を提供するため、知識レベルや経験値の違いによる理解度の差が生じやすくなります。
すでに内容を理解している受講者にとっては物足りなく感じられ、一方で経験の浅い受講者には難易度が高いと感じられることもあります。
こうしたギャップを放置すると、受講者の集中力や学習意欲の低下につながりかねません。
事前課題の設定や、研修後に補足学習の機会を設けるなど、理解度の差を前提とした設計が求められます。
現場業務への影響が発生する可能性
集合研修の実施中は、受講者が一時的に業務から離れることになります。そのため、現場の業務負荷が高まったり、生産性が一時的に低下したりする可能性があります。
特に、少人数体制の部署や繁忙期に研修を実施する場合は、業務とのバランスを十分に考慮したスケジュール設計が必要です。
研修の重要性と現場への影響を踏まえた判断が、人事担当者には求められます。
集合研修が向いている内容・テーマ

すべての研修が集合形式に適しているわけではありません。
研修の目的や内容によっては、集合研修だからこそ高い効果を発揮できるケースがあります。
ここでは、人事担当者が研修手法を選定する際の判断材料として、集合研修に特に向いている代表的な内容やテーマを整理します。
▶関連記事:研修の種類や目的や階層別に合わせた選び方、実施方法を紹介します!
新人・内定者向け研修
新人や内定者を対象とした研修は、集合研修との相性が非常に高い分野です。
社会人としての基礎知識や企業理念、ビジネスマナーなどを一斉に学ぶことで、スタートラインをそろえやすくなります。
また、同期同士が顔を合わせて学ぶことで、早い段階から横のつながりが生まれ、入社後の不安軽減や定着率向上にもつながります。
組織への帰属意識を育てる場としても、集合研修は重要な役割を果たします。
実践や体験を重視する研修
実務に直結するスキルや行動を身につける研修では、集合研修が効果的です。
ロールプレイングやケーススタディなどを通じて、知識を「理解する」だけでなく、「使ってみる」体験を提供できます。
その場で講師や他の受講者からフィードバックを受けられるため、改善点に気づきやすく、学習内容を実務に落とし込みやすくなります。
グループワーク・ディスカッション中心の研修
意見交換や協働を通じて学ぶ研修テーマも、集合研修に向いています。
グループワークやディスカッションを行うことで、多様な価値観や考え方に触れ、視野を広げることができます。
特に、リーダーシップやマネジメント、課題解決力の強化を目的とした研修では、対話を通じた学びが重要です。
集合研修は、受講者同士の相互作用を活かした学習環境をつくりやすい点が強みといえます。
集合研修が向いていないケース

研修の目的や条件によっては、集合研修が最適とは言えない場合もあります。
効果的な人材育成のためには、「実施する判断」だけでなく、あえて集合研修を選ばない判断も重要です。
ここでは、人事担当者が検討時に押さえておきたい、集合研修以外の手法を選んだほうがよい代表的なケースを紹介します。
知識習得のみが目的の研修
法令知識やルール、基礎知識のインプットが主目的の場合、集合研修は必ずしも効率的とは言えません。
講義中心の内容であれば、eラーニングや動画教材を活用することで、時間や場所の制約を受けずに学習させることが可能です。
集合研修に比べてコストを抑えやすく、理解度に応じた反復学習ができる点も、知識習得型研修には適しています。
対象者数が多く、頻繁な実施が必要な場合
全社必須研修や定期的に実施する研修など、対象者が多い場合は、会場確保や日程調整、運営にかかる負荷が大きくなりがちです。
特に、拠点が複数ある企業では、移動時間や業務への影響も無視できません。
こうしたケースでは、オンライン研修やeラーニングを併用・代替することで、運用負担を抑えつつ、安定した教育体制を構築しやすくなります。
個別最適な学習が求められるケース
受講者ごとにスキルレベルや課題が大きく異なる研修では、集合研修では内容が画一的になりやすく、学習効果にばらつきが生じることがあります。
個人の理解度や業務内容に応じた学習が必要な場合は、eラーニングによるレベル別教材や、オンデマンド型の学習コンテンツのほうが適しているケースも多いでしょう。
集合研修とオンライン研修の違いを比較

集合研修とオンライン研修は、優劣で語るものではなく、それぞれに異なる強みを持つ研修手法です。重要なのは、研修の目的や対象者、運用条件に応じて最適な方法を選び、必要に応じて使い分けることです。
ここでは、両者の違いをいくつかの観点から比較し、人事施策としての判断ポイントを整理します。
▶関連記事:eラーニング導入のメリットとは?集合研修との比較も解説
研修内容・学習スタイルの違い
集合研修は、講師と受講者が同じ空間で学ぶため、双方向のコミュニケーションや臨場感のある学習に向いています。
ロールプレイやグループワークなど、参加型・体験型の研修を実施しやすい点が特徴です。
一方、オンライン研修は、講義形式や個人学習との相性が良く、動画視聴や資料学習を中心に進められます。
内容を体系的に整理しやすく、標準化された教育を提供しやすい点が強みです。
時間・場所の柔軟性
集合研修は、特定の日時・場所に受講者を集める必要があるため、スケジュール調整の制約が大きくなります。
特に多拠点展開している企業では、移動時間や業務への影響も考慮が必要です。
オンライン研修は、場所を問わず受講でき、オンデマンド型であれば受講時間の自由度も高くなります。
業務の合間に学習を進められる点は、大きなメリットといえるでしょう。
運営・管理のしやすさ
集合研修では、会場手配や当日の運営、出欠管理など、人事担当者の運営負荷が高くなりがちです。
実施回数が増えるほど、調整や管理の工数も膨らみます。
オンライン研修は、受講管理システムを活用することで、進捗や理解度を可視化しやすく、運営を効率化できます。
研修の実施・管理を仕組み化しやすい点が特徴です。
コスト構造の違い
集合研修は、会場費・講師費・交通費などの固定費が発生しやすく、実施規模が大きくなるほどコストも増加します。
一方で、対面ならではの学習効果を重視する場合には、投資価値が高いケースもあります。
オンライン研修は、初期導入費用はかかるものの、受講者数が増えても追加コストが抑えられ、長期的にはコスト効率が高くなる傾向があります。
受講者の集中度・参加姿勢
集合研修は、周囲の受講者や講師の存在により、集中しやすく、受講姿勢を保ちやすい点がメリットです。
その場の空気感や緊張感が、学習への没入を促します。
一方、オンライン研修は、受講環境によって集中度に差が出やすく、受講者の主体性が求められます。
そのため、内容設計やフォロー体制を工夫することが重要になります。
集合研修を効果的に活用するポイント

集合研修の効果を最大化するには、研修当日の内容だけでなく、実施前後の設計が欠かせません。特に近年は、オンライン研修やeラーニングと組み合わせることで、学習効果を高める企業が増えています。
ここでは、人事担当者が押さえておきたい集合研修の実践的な活用ポイントを解説します。
事前学習やオンライン研修との組み合わせ
集合研修をいきなり本番から始めるのではなく、事前にオンライン研修やeラーニングで基礎知識をインプットしておくことで、当日の理解度や参加度を高められます。
基礎的な知識習得はオンラインで済ませ、集合研修ではディスカッションや演習に時間を割く「反転学習型」の設計は、限られた研修時間を有効活用する手法として有効です。
▶関連記事:反転学習(フリップトラーニング)とは?企業研修で成果を高めるメリット・デメリットと実践ステップ
研修後の振り返り・実践機会の設計
集合研修は、受講直後が最も学習意欲の高いタイミングです。
このタイミングで振り返りやアウトプットの機会を設けることで、学びの定着率を高めることができます。
研修後にレポート提出やオンラインでの振り返り、現場での実践課題を設定するなど、「学んだことを使う場」を意図的に設計することが重要です。
学習を一過性で終わらせない仕組みづくり
集合研修は、単発で終わってしまうと効果が限定的になりがちです。
研修内容をeラーニングとして再視聴できるようにしたり、定期的なフォローアップ研修を実施したりすることで、継続的な学習につなげられます。
集合研修を「きっかけ」とし、その後の学習を仕組み化することで、人材育成の成果を中長期的に高めることが可能になります。
まとめ|集合研修の特性を理解し、効果的な人材育成につなげる
集合研修は、受講者同士の関係構築や双方向の対話、実践を通じた学びを促しやすい点で、今なお重要な研修手法です。
一方で、コストや運営負荷、理解度のばらつきといった課題もあり、すべての研修に万能というわけではありません。
そのため、人事担当者には「集合研修を実施すること」自体を目的にするのではなく、研修全体を俯瞰した設計視点が求められます。
どの内容に集合研修が適しているのか
オンライン研修やeラーニングとどう役割分担するのか
研修前後を含めて、学習をどう定着させるのか
今後は、知識習得はオンライン、対話や演習は集合研修といったハイブリッド型の研修設計がより重要になっていくでしょう。
集合研修を“成果につなげる”ために、eラーニングの活用を
集合研修の効果を高めるうえで鍵となるのが、事前学習・振り返り・継続学習の仕組み化です。
こうした前後設計をスムーズに行う手段として、eラーニングの活用は非常に有効です。
eラーニングプラットフォーム「SAKU-SAKU Testing」では、
自社オリジナルの研修内容や確認テストを簡単に搭載でき、受講者の属性や理解度に応じたコンテンツ配信が可能です。
集合研修の事前学習や、研修後の理解度確認・フォロー施策として活用することで、研修を一過性で終わらせず、学習成果につなげることができます。
また、コンテンツがセットされたeラーニングパッケージ「サクテス学びホーダイ」を活用すれば、内定者から若手社員、管理職候補まで、階層別のeラーニングをすぐに導入でき、集合研修と組み合わせた育成設計もスムーズに進められます。
集合研修の価値を最大化するために、
「対面でしかできない学び」と「オンラインで補完すべき学び」を整理し、研修全体を最適化してみてはいかがでしょうか。


















