アップスキリングとは?リスキリングとの違いや企業導入の具体的ステップ

変化の激しいビジネス環境では、従業員一人ひとりのスキルが企業の競争力を左右します。
アップスキリングとは、社員が現在の業務で求められるスキルを強化・向上させるための学習や研修の取り組みです。単なる研修の実施ではなく、業務成果やキャリア成長につながる形で設計することが重要とされています。
本記事では、アップスキリングの基本的な考え方に加え、リスキリングとの違いや、企業が取り組む際の具体的な進め方について解説します。
目次[非表示]
- 1.アップスキリングとは何か
- 1.1.リスキリングとの違い
- 1.2.リカレント教育・クロススキリングとの違い
- 1.3.スキルアップと業務成果の関係
- 2.アップスキリングが注目される背景
- 2.1.テクノロジーの急速な進化
- 2.2.デジタル化の加速とDX対応
- 2.3.労働力不足と生産性向上
- 2.4.競争激化と企業の競争力
- 3.アップスキリングの具体的メリット
- 3.1.社員の生産性向上
- 3.2.企業競争力の向上
- 3.3.従業員満足度・定着率の向上
- 4.企業におけるアップスキリングの実施ステップ
- 4.1.目的の明確化
- 4.2.スキルの整理と可視化
- 4.3.具体的目標設定(SMARTの法則)
- 4.4.研修手段の検討
- 4.5.学習計画の設計・実施
- 4.6.進捗・成果の評価
- 4.7.フォローアップと定着
- 5.アップスキリング実践のコツと注意点
- 5.1.目的を明確にしてスタートする
- 5.2.受講者の負担を考慮した学習設計
- 5.3.成果が見える評価の仕組みをつくる
- 5.4.継続的なフォローアップで定着を促す
- 6.まとめ
アップスキリングとは何か

アップスキリングは、社員が現在担っている業務に必要なスキルを、さらに高めることを目的とした人材育成の取り組みです。
単に知識を増やすのではなく、実務で使えるスキルを伸ばすことで、社員の成長と企業の生産性向上を同時に実現できます。
近年はデジタル化や市場環境の変化が加速しており、企業には場当たり的ではなく、計画的・戦略的にアップスキリングを推進する姿勢が求められています。
リスキリングとの違い
アップスキリングと混同されやすい概念に「リスキリング」があります。
両者の違いは以下の通りです。
アップスキリング
現在の職務で必要なスキルを、より高いレベルへ引き上げる取り組みリスキリング
現在とは異なる職務や分野で活躍するために、新たなスキルを習得する取り組み
例えば、営業担当者がデジタルツールを活用して営業効率を高めるのはアップスキリング、未経験のマーケティング分野を学ぶ場合はリスキリングに該当します。
▶関連記事:リスキリングとは?リスキリングの意味や導入効果、方法を分かりやすく解説!
リカレント教育・クロススキリングとの違い
アップスキリングに関連する考え方として、以下の用語があります。
リカレント教育
社会人がキャリアの途中で学び直しを行う教育全般クロススキリング
他部署や複数の業務でも活かせるスキルを身につけること
アップスキリングはこれらと重なる部分もありますが、「現職でのパフォーマンス向上」を目的としたスキル強化に特化している点が特徴です。
▶関連記事:社会人教育とは?「リカレント教育」のメリットから支援制度まで徹底解説
スキルアップと業務成果の関係
アップスキリングは、学ぶこと自体が目的ではありません。
習得したスキルを実務で活用することで、次のような業務成果につながります。
業務効率の改善
生産性の向上
意思決定力や対応力の強化
また、成長を実感できる環境は、社員のモチベーション向上や定着率の改善にも寄与します。
アップスキリングが注目される背景

近年、多くの企業がアップスキリングに注力する背景には、事業環境の大きな変化があります。
テクノロジーの進化やデジタル化の加速、労働力不足、競争環境の激化といった課題に対応するためには、戦略的な人材育成が欠かせません。
社員のスキルを継続的に高めていくことが、企業の競争力を維持・向上させる重要な要素となっています。
テクノロジーの急速な進化
AIやクラウドをはじめとするデジタル技術の進歩により、従来のスキルだけでは業務を効率的に進めることが難しくなっています。
アップスキリングは、こうした新しい技術を業務に活かせるスキルを社員に身につけさせ、業務の質とスピードを高めるための手段として欠かせません。
デジタル化の加速とDX対応
DXが進む中で、IT部門だけでなく、現場の社員一人ひとりがデジタル環境に適応することが求められています。
アップスキリングを通じて、
業務効率化の視点
データ活用力
ITツールの操作スキル
を強化することで、DX推進を組織全体で支える人材を育成できます。
労働力不足と生産性向上
少子高齢化による労働人口の減少は、多くの企業にとって避けられない課題です。
限られた人材で成果を出すためには、社員一人ひとりの生産性を高める必要があります。
アップスキリングは、業務効率の向上や判断力の強化を通じて、労働力不足を補う有効な施策です。
競争激化と企業の競争力
市場競争が激しくなるほど、社員のスキルレベルは企業の競争力に直結します。
計画的なアップスキリングによって組織全体の能力を底上げすることで、変化の大きい市場環境においても、安定した競争優位性を保つことが可能になります。
社員教育は、単なる研修ではなく将来に向けた戦略的な投資として捉えることが重要です。
アップスキリングの具体的メリット

アップスキリングを導入することで、社員と企業の双方に明確なメリットが生まれます。
単にスキルを身につけさせるだけでなく、業務効率の改善や組織全体のパフォーマンス向上、社員の定着率向上といった中長期的な成果につながる点が大きな特徴です。
社員の生産性向上
アップスキリングにより、社員は業務に直結するスキルを効率よく習得できます。
デジタルツールの活用や専門知識の強化が進むことで、日常業務のスピードや精度が向上し、限られた時間でも高い成果を出しやすくなります。
企業競争力の向上
市場環境が変化し続ける中では、社員一人ひとりのスキルレベルが企業の競争力を左右します。
アップスキリングを通じて、変化に柔軟に対応できる人材を育成することで、組織全体の適応力が高まり、競争優位性の確保につながります。
従業員満足度・定着率の向上
学習機会が用意されている環境は、社員のモチベーション向上に直結します。
自分の成長を実感できることで、仕事への意欲や組織への帰属意識が高まり、結果として離職率の低下にもつながります。
アップスキリングは、社員のキャリア形成支援と人材定着を同時に実現できる施策です。
企業におけるアップスキリングの実施ステップ

アップスキリングを成果につなげるためには、単発の研修で終わらせず、目的設定からフォローアップまでを一連のプロセスとして設計することが重要です。
ここでは、企業が取り組みやすく、かつ効果を最大化しやすい実施ステップを紹介します。
目的の明確化
最初に行うべきは、アップスキリングの目的をはっきりさせることです。
事業戦略や組織課題と紐づけたうえで、
どのスキルを
誰に
どのレベルまで習得させたいのか
を明確にすることで、施策の方向性が定まり、成果につながりやすくなります。
スキルの整理と可視化
次に、社員が現在持っているスキルと、今後求められるスキルを整理します。
スキルマップやアンケート、評価データなどを活用して可視化することで、個々のギャップが明確になり、無駄のない研修設計が可能になります。
具体的目標設定(SMARTの法則)
学習目標は、SMARTの法則に沿って設定すると効果的です。
Specific(具体的)
Measurable(測定可能)
Achievable(達成可能)
Relevant(業務に関連)
Time-bound(期限付き)
この考え方を取り入れることで、研修成果を客観的に評価しやすくなり、社員も目標を意識して行動しやすくなります。
研修手段の検討
設定した目標に応じて、最適な学習手段を選定します。
オンライン研修、OJT、社内研修、eラーニングなどを、対象者や習得スキルに合わせて組み合わせることで、学習効果を高めることができます。
▶関連記事:研修の種類や目的や階層別に合わせた選び方、実施方法を紹介します!
学習計画の設計・実施
対象者の業務状況を考慮しながら、無理のない学習計画を立てます。
学習期間や進捗管理の方法、使用する教材や講師を事前に整理しておくことで、計画倒れを防ぎ、スムーズな運用が可能になります。
進捗・成果の評価
研修中および研修後には、学習の進捗やスキル習得状況を定期的に確認します。
テスト結果や実務での活用度、フィードバックを組み合わせることで、研修の効果を可視化しやすくなります。
フォローアップと定着
研修で学んだ内容を業務に活かすためには、継続的なフォローアップが欠かせません。
メンター制度や社内コミュニティ、定期的な振り返りの場を設けることで、スキルの定着を促し、組織全体のレベルアップにつなげることができます。
アップスキリング実践のコツと注意点

アップスキリングは、研修を実施すれば終わりというものではありません。
学習内容を実務に結び付け、継続的な成果につなげるためには、設計段階から運用・フォローアップまでを一貫して考えることが重要です。
ここでは、アップスキリングを成功させるための実践ポイントと、導入時に注意すべき点を解説します。
目的を明確にしてスタートする
目的が曖昧なまま研修を始めると、「なぜ学ぶのか」が受講者に伝わらず、学習効果やモチベーションの低下を招きやすくなります。
企業の事業戦略や現場課題と紐づけながら、「どのスキルを、誰が、どのレベルまで習得するのか」を明確に定義することが、アップスキリング成功の前提条件です。
受講者の負担を考慮した学習設計
業務と並行して学習を進めるアップスキリングでは、受講者の負担に配慮した設計が欠かせません。
短時間で学べるコンテンツ設計やモジュール化、eラーニングなどの柔軟な学習手段を取り入れることで、無理なく継続できる環境を整えましょう。
あわせて、質問や相談ができるサポート体制を用意することも重要です。
成果が見える評価の仕組みをつくる
学習成果を適切に評価することで、社員は自身の成長を実感しやすくなります。
テストによる理解度確認だけでなく、業務での活用状況や行動変化も評価対象に含め、フィードバックを丁寧に行うことがポイントです。
評価基準を明確にし、納得感のある仕組みを構築しましょう。
継続的なフォローアップで定着を促す
研修で得た知識やスキルは、実務で使われて初めて定着します。
定期的な振り返りの機会やメンター制度、社内コミュニティによる情報共有などを通じて、学習内容を現場で活かす仕組みを整えることが重要です。
継続的なフォローアップが、組織全体のスキル向上につながります。
まとめ
アップスキリングは、社員のスキル向上だけでなく、企業の競争力や組織の成長にも直結する戦略的な取り組みです。
目的の明確化、計画的な研修設計、進捗管理、フォローアップなど、一連のステップを意識することで、成果を最大化できます。
アップスキリングを効果的に実施するには、学習環境や教材の最適化が欠かせません。
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