リスキリングとは?リスキリングの意味や導入効果、方法を分かりやすく解説!
本記事では近年よく耳にする「リスキリング」について解説します。
リスキリングの定義や、注目されている背景、企業としてリスキリングを導入するメリット等を詳しく解説します。
目次[非表示]
- 1.リスキリングの定義とは
- 2.企業がリスキリングを推進する理由
- 3.リスキリング実施の効果
- 3.1.人材不足解消
- 3.2.業務の効率化
- 3.3.従業員のエンゲージメント向上
- 3.4.新たな視点や発想の展開が可能
- 3.5.企業文化の維持や発展
- 4.リスキリングの進め方とステップ
- 4.1.ステップ①必要な人物像やスキルマップの策定
- 4.2.ステップ②ロードマップを策定する
- 4.3.ステップ③学習機会や学び直しの機会の支援
- 4.4.ステップ④学んだスキルを業務への適用
- 4.5.ステップ⑤リスキリングの効果測定
- 4.6.ステップ⑥取り込み内容や進め方について見直し
- 5.リスキリングの導入方法を紹介します
- 5.1.自社内の教育プログラムを策定する
- 5.2.外部人材育成コンサルティングの活用
- 5.3.教育機関やスクールの利用
- 5.4.eラーニングの活用
- 6.リスキリング導入の際の注意点
- 6.1.リスキリングに積極的でない社員への対応
- 6.2.戦略と目的の明確化
- 6.3.取り組みやすい環境の整備
- 7.リスキリングをするときに陥りがちな失敗
- 7.1.リスキリングを任せきりにしてしまう
- 7.2.従業員の負担が大きくなってしまう
- 8.まとめ
リスキリングの定義とは
経済産業省が提唱するリスキリングとは「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」と定義されています。
つまり、「単なる知識の学び直しではなく、実際に今の会社で求められる能力を身に付け、従業員一人ひとりが価値を創出し続けるためのスキルをつける。」ことをリカレント教育
といいます。
参照:リスキリングとは―DX時代の人材戦略と世界の潮流
企業がリスキリングを推進する理由
企業がリスキリングを推進する背景には、さまざまな要因が挙げられます。
まず、労働環境の変化があります。
少子高齢化による労働人口の減少が進む中、企業は新たに外部から優秀な人材を採用することが難しくなっています。そのため、既存の従業員を育成し、求められるスキルを身に付けさせる必要性が高まっています。
また、技術革新やデジタルトランスフォーメーションが急速に進行する中で、企業は時代の変化に適応するために、柔軟で多様なスキルをもつ人材を確保しなければなりません。
加えて、世界経済会議(ダボス会議)では2018年から3年連続で「リスキル革命」というセッションが行われ、「2030年までに全世界で10億人をリスキリングさせる」という宣言
がされ、世界中で注目されています。
リスキリング実施の効果
リスキリングの実施には様々な効果があります。
ここでは主な効果をご紹介します。
人材不足解消
現在、労働人口の減少により、人材不足は多くの企業にとって深刻な問題になっています。
そのため、外部から優秀な人材を採用するのがますます難しくなっています。
また、DX化の促進やテクノロジーの進化により、従来のスキルでは対応できない業務も増えてきています。
この状況に対処するための解決策がリスキリングです。
リスキリングによって現職の従業員に新たな知識やスキルを身に付けさせ、人材不足を解消します。
さらに、リスキリングによって社員に必要なスキルを身につけてもらうことで、採用コストを抑えつつ、効率的に人材育成を進めていくことができます。
業務の効率化
リスキリングは、業務効率化の効果もあります。
従業員が新しいスキルを習得することで、最新のツールや技術を効果的に活用でき、業務の自動化やデジタル化を進めることが可能になります。
これにより今まで、手作業で行っていた業務や、無駄なフローなどが改善され、業務時間の短縮につながります。
また、チーム内での、重複作業やミスが減少するなど結果として、リスキリングは業務効率化の効果があります。
従業員のエンゲージメント向上
リスキリングは、従業員のエンゲージメントを高めることにもつながります。
なぜなら、リスキリングを通じて自身の成長を感じることができ、業務の幅も広がります。
さらに成長した従業員にはインセンティブの給付や、昇給、昇格の機会も増えるため、持続的に企業に貢献する効果があります。
新たな視点や発想の展開が可能
リスキリングを推進することで、企業内に新たな視点と発想の展開がしやすくなります。
新たな技術や知識を取り入れることで、企業は、さらに成長を遂げることができます。
企業文化の維持や発展
リスキリングは、企業文化の維持と発展に貢献します。
新しい人材を多く外部から採用する代わりに、既存の従業員を対象に教育を行うことで、独自の企業文化や価値観が受け継がれやすくなります。
また、社内でスキルを磨いた従業員は、会社の文化をよく理解した上で新しい知識を活かせるように、企業の雰囲気を崩さずに組織の成長を支えられます。
これによって、企業の理念や価値観が強化されます。
リスキリングの進め方とステップ
リスキリングのメリットをご紹介してきましたが、実際にどのようにして進めたらよいでしょうか?
ここでは進め方を解説していきます。
ステップ①必要な人物像やスキルマップの策定
まず最初に行うべきは、企業における必要な人物像やスキルマップの策定です。
このプロセスでは、企業の戦略や目標に基づいて、どのようなスキルが求められるのかを明確にします。
また、今いる従業員のスキルを可視化し、現在の能力と理想の能力とのギャップを洗い出すことが重要です。スキルマップを作成することで、どのスキルを強化すべきかが明確になります。この分析が、リスキリング全体の成功に直結します。
ステップ②ロードマップを策定する
次に、必要なスキルを習得するためのロードマップを策定します。
具体的には、従業員の今あるスキルや状況に応じた段階的な計画を立てる必要があります。
スキル習得のために必要なリソースや学習方法、進捗確認の基準を明確に設定します。
また、従業員によって必要なスキルは異なりますのでこれらを考慮した計画を立てるのがよいでしょう。
ステップ③学習機会や学び直しの機会の支援
ロードマップを策定したら、学習の場を提供します。
社内研修や外部のセミナー、eラーニングなど、さまざまな方法を準備します。
その際に重要なのは、従業員が利用しやすいようにすることです。
リスキリングで学ぶ内容は実際の仕事に役立つ実践的な内容を中心とします。
業務とつながりが強いため、従業員はより積極的に学びに取り組むことができると期待されています。
ステップ④学んだスキルを業務への適用
んだスキルを業務に適用することがリスキリングで最も求められていることです。
つまり、従業員が新たに習得した技術や知識を、実際の業務でどのように活用できるかを明確にし、リスキリングの内容を決める必要があります。
また、業務に適用されることが分かれば、従業員にも納得して技術や知識を習得してもらいやすくなります。
ステップ⑤リスキリングの効果測定
リスキリングによって得られた効果を測定することも求められます。
具体的には、以下の効果を測定します。
・スキルの定着率
リスキリングで学んだスキルが実際に従業員に定着しているか確認します。具体的には、テストや演習での理解度チェックや、自己評価などで測定します。
・業務パフォーマンスの向上
学んだスキルが業務にどう反映されたかを評価します。作業効率や品質の向上、目標達成率の変化などを定量的に評価することで判断できます。
・従業員の満足度
リスキリングが従業員のモチベーションや職務満足度に与える影響も重要です。
・離職率や定着率の変化
リスキリングによって従業員がより会社に貢献したいと感じることで、離職率が低下し、定着率が向上する可能性があります。
ステップ⑥取り込み内容や進め方について見直し
リスキリングによる効果測定をすることは、リスキリングの内容や、実施方法などの進め方について見直しする重要な要素となります。
どの点がうまくいったのか、逆にどの部分が改善を要するのかを明確にします。
リスキリングは一度限りの取り組みではなく、企業や従業員の成長に伴って継続的に見直し、進化させていく必要があります。
リスキリングの導入方法を紹介します
ここでは、リスキリングの導入方法を解説します。
自社内の教育プログラムを策定する
リスキリングのために自社内の教育プログラムを策定する方法があります。
自社内の教育プログラムを策定することは自社特有の業務や文化に基づいたカリキュラムを作成することができるため、従業員の学びが実際の業務に関連するものになったり、コスト削減にもなるためオススメです。
しかし、そのためには社内教育に関する専門知識が必要になります。
外部人材育成コンサルティングの活用
外部の人材育成コンサルティングを活用するリスキリングの方法もあります。
人材育成コンサルティングの専門的な教育を行うことで、従業員はより質の高い研修プログラムをうけることができます。
また、リスキリングの実施や、効果測定も外部で行ってくれる場合もあるため、教育担当者の業務削減につながります。
しかし、委託業者によってはコストが多くかかってしまうこともあります。
教育機関やスクールの利用
教育機関や専門スクールを活用することも、方法の一つです。
教育機関や専門スクールは最新の知識や技術を教える専門家が揃っており、実践的なカリキュラムが整っています。
特に従業員に対して必要なスキルを学んでもらいたい場合や業務に必要な資格取得に関する支援を行う場合などにオススメです。
eラーニングの活用
リスキリングの方法にeラーニングを活用することもオススメです。
時間や場所を選ばずに学習を進めることができるため、特に多忙な業務を抱えている従業員にとって非常に便利です。
自社用のコンテンツを搭載することや、eラーニングサービスを提供している企業が出しているコンテンツを組み合わせて活用することもできます。
また、受講状況や習得度合いなどがデータとして可視化されるため、従業員個々の成長を把握するのにも役立ちます。これにより、適切なフィードバックをすることもできます。
リスキリング導入の際の注意点
リスキリングを導入するうえでの注意点もご紹介します。
リスキリングに積極的でない社員への対応
リスキリングを導入する場合、従業員の負担が増えることがあったり、まったく新しいことを学ぶのが得意ではない従業員もいるため、全員が導入に積極的でないことも多々あります。
このような社員がいる場合、何が原因でリスキリングに抵抗感を抱いているのかを理解することが大切です。リスキリングの必要性や具体的なメリットを丁寧に説明し、実際の成功事例を共有することで、従業員の不安を解消するのが効果的です。
また、何も強制するのではなく、自らの成長を実感してもらえるようなサポートが必要です。個別のニーズに合った学びの機会を提供することで、従業員の意欲を引き出しやすくなります。
戦略と目的の明確化
リスキリングを成功させるためには、目的と戦略を明確にすることが重要です。
まず、会社の成長目標やビジョンに基づいて、リスキリングがなぜ必要なのかを明確にしましょう。
何のためにリスキリングを実施するのか、具体的な目標を設定することで、従業員が自分の役割や期待されるスキルを理解しやすくなります。
取り組みやすい環境の整備
リスキリングを効果的に進めるためには、取り組みやすい環境を整えることが欠かせません。
まずは、業務時間内に学習時間を確保し、業務とのバランスが取りやすいことが大切です。
また、オンライン研修やセルフペースで学習教材を用意することで、個人の学習スタイルに合わせた取り組みが可能になります。 さらに、学んだ内容をすぐに業務に応用できる機会を提供することで、従業員メンバーは学習の意義を実感しやすくなります。
リスキリングをするときに陥りがちな失敗
リスキリングの取り組みは、企業にとって非常に重要です。
しかし、リスキリングを導入する際に、陥りがちな失敗があります。失敗を確認しておくことで防ぐことができます。
リスキリングを任せきりにしてしまう
リスキリングを進める際に陥りやすい失敗の一つは、eラーニングなどを導入した場合に従業員個人に任せきりにしてしまうことがあります。
従業員個人にリスキリングを任せきりにしてしまうと、目標意識の低下や、学習しなくなってしまうことがあります。
定期的に進捗を把握し、状況に応じて支援することが必要不可欠です。
従業員の負担が大きくなってしまう
リスキリングを導入する際、業務と学びの両立が難しくなり、従業員の負担が大きく急増することがあります。
無理なスケジュールや過剰な学習量を設定すると、ストレスが溜まり集中力が低下します。
最終的には、リスキリングの効果が持続しないどころか、従業員のモチベーションが低下してしまうこともあります。
そのため、従業員の実情や、業務状況を考慮しながらプログラムを設計し、余裕のある学習時間を設定することで、スキルの習得を効果的に進めることが大切です。
イー・コミュニケーションズのeラーニングシステム「SAKU-SAKU Testing」なら、失敗を防ぐことが可能です。
SAKU-SAKU Testingなら先ほどご紹介したリスキリングの失敗を防ぐことができます。
SAKU-SAKU Testingは、管理者画面から簡単に受講者の受講状況を確認することができます。また、メールで未受講者に受講案内や催促をすることが可能です。
メールのテンプレートもご用意しているため、管理者の負担を軽減しつつ、受講者のモチベーションを維持することができます。
また、eラーニングであれば、スキマ時間に受講できるため、忙しい従業員の負担を減らすことができます。
SAKU-SAKU Testingについて少しでも興味があればまずはお気軽にサービス資料をダウンロードください。
まとめ
リスキリングは、日々、変化しているビジネス社会を生き抜くために重要な取り組みです。
リスキリングは企業にメリットだけを考えるのではなく、従業員のメリットも考えることが成功の秘訣です。