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セクハラとは?【定義・事例・予防と対策】企業が知っておくべきことまとめ

近年、セクハラが頻繁にニュースになっています。最近では自衛隊でのセクハラ、またサービス業として舞妓さんが顧客から受けたセクハラも話題になりました。学校内でのセクハラも後を絶ちません。
 
企業の職場ももちろん同様です。労働者を守るとともに、自社のためにも対策が必要です。この記事では、そもそも何がセクハラに当たるのかとセクハラの対策方法についてまとめます。企業のご担当者様はぜひ参考にしてみてください。

目次[非表示]

  1. 1.セクハラとは?セクハラの定義
  2. 2.セクハラの種類
    1. 2.1.➀対価型
    2. 2.2.②環境型
    3. 2.3.③制裁型
    4. 2.4.④妄想型
  3. 3.セクハラの事例
    1. 3.1.事例➀発言
    2. 3.2.事例②動作・行動
    3. 3.3.事例③反応・対応
  4. 4.セクハラに関する法律
  5. 5.裁判の事例
  6. 6.セクハラの予防と対策
    1. 6.1.➀懲戒規定などを定める
    2. 6.2.②対応の体制作り
    3. 6.3.③研修など周知
    4. 6.4.④起こってしまった場合の迅速・適切な対応
  7. 7.セクハラ対策ならeラーニングの活用のご検討を

セクハラとは?セクハラの定義

「セクハラ」は性的な嫌がらせのことで、「セクシュアルハラスメント(Sexual Harassment 性的嫌がらせ)」を短く言い換えた日本語です。厚生労働省の「職場におけるハラスメント対策マニュアル」では、次のように定義されています。
 
「職場」において行われる、「労働者」の意に反する「性的な言動」に対する労働者の対応によりその労働者が労働条件について不利益を受けたり、「性的な言動」により就業環境が害されること
 
ここでの「職場」には、出張先や営業車の中、場合によっては宴席なども含まれます。また「労働者」は正社員だけでなく、パート・アルバイト・派遣社員など非正規雇用もすべて含まれます。
 
セクハラは多くの場合男性から女性への言動ですが、加害者・被害者ともに、男性・女性どちらもありえます。

セクハラの種類

セクハラは大きく4つの種類に分けられます。次の4つです。
 
対価型
環境型
制裁型
妄想型
 
厚生労働省の上記マニュアルではこのうち「制裁型」「妄想型」には触れていませんが、ここではそれも含めて1つずつ順に解説していきます。

➀対価型

「対価型」のセクハラは、何らかの点で優遇する対価として性的な行為を求めることを言います。さらに相手が拒否した場合に、その腹いせに報復的な行為をすることも含みます。
 
報復的な行為の例としては、解雇や降格、減給や配置転換などがあります。上司と部下・正社員と非正規社員など、立場の違いや上下関係を利用することが多いタイプです。

②環境型

「環境型」のセクハラは、性的な言動を受けたことで就業環境が不快なものとなることです。環境型はさらに「視覚型」「発言型」「身体接触型」の3つに分けられます。
 
「視覚型」は職場でわいせつな画像を閲覧するなど、視覚に訴えるセクハラです。「発言型」は性的な発言をするタイプのセクハラです。「スタイルがいいね」など、褒めているつもりでもセクハラとなる場合があります。「身体接触型」は相手の身体に触れるタイプです。労をねぎらうなどスキンシップで肩をたたくような場合でも該当することがあります。
 
なお、これら3つの型に当てはまらない行動・動作も多くあります。とくに「発言型」「身体接触型」の場合、自覚なしに行われることがよくあります。

③制裁型

「制裁型」のセクハラは、性差別的な価値観に基づいて圧力をかけたり、相手の性別により態度を変えることです。
 
女性だけにお茶くみを強要したり、女性社員の発言を無視したりする場合が制裁型に当たります。
 
上司から部下の形も多くありますが、それに限りません。性差別的な価値観がもとになっていれば、男性の部下が女性上司に対して行う言動も制裁型に該当します。

④妄想型

「妄想型」は相手が自分に好意を抱いていると決めつけて言動を行うタイプのセクハラです。笑顔であいさつされたり親切心から行ったりしたことなどを、相手が自分に恋愛感情を持っていると勘違いしてしまう場合です。
 
妄想型ははっきりと拒絶しないと加速する危険性があります。セクハラしている本人に自覚がないのが普通です。

セクハラの事例

何がセクハラに当たるのか、事例についてまとめます。
 
セクハラに当たるか判断するときは、被害者の主観を重視しつつも一定程度の客観的視点が必要です。客観的視点として「平均的な女性労働者の感じ方」「平均的な男性労働者の感じ方」が基準となります。必ずしも「被害者がセクハラと思ったらセクハラ」とも言い切れません。
 
ただし、やめてほしいと伝えたのに続ける場合はセクハラとなります。また長期的・複数回にわたる方が認定されやすいですが、内容によっては1回の言動でも認定されます。被害を受けた場合は、記録するなど証拠を残すことが大切です。
 
ここでは以下の行動の種類別に事例を確認します。
 
発言
動作・行動
反応・対応
 
1つずつ見ていきましょう。

事例➀発言

セクハラにあたる発言には、次のようなものがあります。
 
まず、身体的特徴について触れる・質問することです。「身体的特徴」は、スタイルやスリーサイズなどが該当します。これは先にまとめたセクハラの4つの種類のうち「環境型」に当たります。容姿を褒めているだけのつもりでもセクハラに当たる場合があり注意が必要です。
 
交際関係や性的な体験などについてしつこく尋ねることもセクハラです。これも「環境型」に該当します。
 
また、「女性は仕事より出産・育児に専念すべき」などと古い女性像を押し付けるような発言は「制裁型」に当たるセクハラです。
 
食事・デートにしつこく誘うことは「妄想型」「環境型」のセクハラです。肉体関係や不倫関係を求めることは「環境型」「対価型」のセクハラです。

事例②動作・行動

セクハラに当たる動作や行動について例を挙げます。
 
相手の身体などに触れることは「環境型」のセクハラです。触れる場所などに性的な意図がある場合は当然と思われるでしょう。しかし先述した通りスキンシップのつもりで肩に触れるような場合でも、時にはセクハラに該当します。
 
性別を理由に無視することは「制裁型」に当たるセクハラです。女性の上司の指示を聞かない・男性の上司に指示を仰ぎ直すことも「制裁型」に当たります。
 
内容にもよりますが、メールなどをしつこく送ることは「妄想型」のセクハラです。
 
性的な画像や映像を見せてくる・見えるところに置く・周りからも見える状態で見ていることは「環境型」のセクハラです。環境型の3つのタイプのうち「視覚型」に当たります。
 
カラオケのデュエットを断られても強要することも「環境型」に当たるセクハラです。宴席でお酌をさせたり料理を取り分けさせたりすることも「環境型」のセクハラです。

事例③反応・対応

相手の行動に対する反応・対応がセクハラになる例をまとめます。
 
まず、性的な要求をして断られた場合に不利な配置転換を行ったり評価を下げることが挙げられます。同じく性的な要求をして断られた場合に、ネガティブな噂を流すこともセクハラです。どちらも「対価型」に当たります。
 
また性別を理由にお茶くみやコピー取りを求めた際に、それを断った相手の評価を下げることもセクハラになります。これは「制裁型」に当たります。

セクハラに関する法律

セクハラに関する法律として、「男女雇用機会均等法」があります。同法の「事業主の講ずべき措置」にある第11条の条文を引用します。
 
事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
 
さらに厚生労働大臣による指針(平成18年厚生労働省告示第615号)にも、「事業主の責務」「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置の内容」がまとめられています。後者については後ほど内容を紹介します。
 
そのほか、傷害(精神的なものにも適用)、強姦・強制わいせつ、名誉棄損・侮辱などに該当する言動には刑法が適用されます。さらに加害者・使用者ともに、民法に基づき人格権の侵害・使用者責任などが問われる可能性があります。

裁判の事例

セクハラの責任が問われた裁判の事例をいくつか紹介します。
 
■京都地方裁判所判決令和元年6月28日
学校の分室長が、常勤講師に対し複数回抱きしめてキスする・胸を触る、拒絶する被害者と数回性交渉したという事例です。被害者はうつ病で休職・退職し、労災認定されました。最終的に590万円の支払いが命じられました。
 
■広島地裁判決平成19年3月13日
忘年会の席で、複数の加害者が複数の被害者に対して抱きつく・引き倒す・写真撮影させるといったことを行った事例です。損害賠償請求の結果、会社と加害者らの連帯責任で70~220万円の支払いが命じられました。
 
■仙台地方裁判所判決平成30年4月24日
上司部下の関係にあり、自分の意向に沿わせるようなメールを送る・嫌がるのに体に触るといった行為があった事例です。被害者はうつ病になりました。性交渉もありましたがそちらは合意と認定され、最終的に150万円の支払いが命じられました。
 
ここにまとめたのは慰謝料の支払額ですが、セクハラは社会的信用にも大きくマイナスとなります。判決以上の影響があると心得ましょう。また、広島地裁の例などは、加害者はコミュニケーションや場を盛り上げるつもりの行動だった可能性もあります。加害者に自覚なしで発生することがあり、注意が必要です。

セクハラの予防と対策

企業が行うべき、セクハラの予防と対策の方法についてまとめます。大きく分けて次の4点があります。
 
懲戒規定などを定める
対応の体制作り
研修など周知
起こってしまった場合の迅速・適切な対応
 
セクハラに関する法律をすでに紹介しましたが、この4点は厚生労働省が定めるものです。またこれらはセクハラに限らずすべてのハラスメントに共通する内容となっています。
 
1つずつ見ていきましょう。

➀懲戒規定などを定める

1つめの予防策は、懲戒規定などのルールを定めることです。就業規則などにセクハラの項目をプラスして明文化します。上層部が行うことで社内に向けてのメッセージとなります。懲戒規定は起こってしまった場合の対応の規定ですが、予防的な効果があります。
 
さらにルールに関しては、以下の策定も必要です。
 
相談者・行為者のプライバシーの保護のためのルール作り
相談したり聞き取りに協力した人への不当な扱いを行わないルール作り
これらのルールの周知
 
こちらは予防的と言うよりも事後に関係者を守るためのルールです。

②対応の体制作り

次にセクハラが起こってしまったときに対応するための体制を作ります。相談窓口を設置し、担当者を置きます。担当者は男女いた方が相談者も安心できるでしょう。
 
担当者には対応方法についての教育が必要です。また相談があった場合の対応の手順・方法や連携などのルール・マニュアルを作成します。
 
相談者保護を優先に、正確な事実関係を確認できる体制を作ります。窓口の対応が不十分で、結果的に裁判に至った例もあります。窓口を作って終わりではなく、確実に機能する仕組みづくりまで行いましょう。

③研修など周知

次に、セクハラに関する研修などを行い全社員に周知します。外部講師による研修やeラーニングなどによる研修がよく行われます。「具体的に何がセクハラに当たるのか」という行動に活かせる基準や実例と、その背景となる知識や考え方との両方が学べる内容だと効果的です。
 
それに加えて、セクハラを起こした場合の自社の規定・対応を伝えます。罰則を伝えることで予防的な効果が期待できるほか、会社としての姿勢を示すことができます。
 
研修のほかの周知・啓発の方法としては、ポスター掲示・小冊子配布などが挙げられます。

④起こってしまった場合の迅速・適切な対応

さらにセクハラが起こってしまった場合は、迅速かつ適切に対応することが求められます。
 
窓口担当者・人事部門などにより相談者・行為者双方からのヒアリングを行います。意見が食い違う場合などは、第三者からもヒアリングします。そのうえでセクハラに当たるかどうかを判断します。
 
事実認定されたら、被害者への配慮と行為者の懲戒を行います。具体的には、関係改善の支援・配置換え・行為者による謝罪・メンタルヘルスケア・懲戒規定に基づく懲戒などがあります。
 
さらに、再発防止への取り組みとして告知などを行います。相談者・行為者のプライバシーを保護し、相談者・聞き取り協力者などへの不当な扱いを行わないことも対応として求められます。

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セクハラは起こってしまった時の迅速・適正な対応も必要ですが、事前に予防することが重要です。発生を防ぐことでさまざまなリスクを回避することができます。そのためには社員にセクハラはあってはならないことであると周知させることが必要です。
 
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