マインドセット研修とは?人材育成に効く理由と設計・実践ポイントを解説

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変化の激しい事業環境の中で、企業が持続的に成長していくためには、社員一人ひとりが自ら考え、行動できる状態をつくることが欠かせません。その土台となるのが「マインドセット」です。

本記事では、人材育成施策として注目されているマインドセット研修について、基本的な考え方から人材育成における役割までを、人事・人材教育担当者向けに分かりやすく解説します。

目次[非表示]

  1. 1.マインドセット研修とは
    1. 1.1.マインドセットとは何か
    2. 1.2.人材育成においてマインドセットが重要な理由
    3. 1.3.マインドセット研修とスキル研修の違い
  2. 2.マインドセットの種類と代表的な考え方
    1. 2.1.成長マインドセットと固定マインドセット
    2. 2.2.個人のマインドセットと組織のマインドセット
    3. 2.3.ビジネス現場で求められるマインドセットの具体例
  3. 3.マインドセットを構成する要素
    1. 3.1.これまでの経験・成功体験
    2. 3.2.受けてきた教育や周囲の影響
    3. 3.3.信念・価値観・先入観
  4. 4.階層・役割別に求められるマインドセット
    1. 4.1.新入社員に求められるマインドセット
    2. 4.2.若手・中堅社員に求められるマインドセット
    3. 4.3.管理職・リーダーに求められるマインドセット
  5. 5.マインドセット研修の目的と導入効果
    1. 5.1.主体性・当事者意識の向上
    2. 5.2.学習意欲・成長意識の定着
    3. 5.3.早期戦力化・組織活性化への影響
  6. 6.マインドセット研修の設計ステップ
    1. 6.1.Step1:育成したいマインドセットと到達状態を定義する
    2. 6.2.Step2:業務に即した研修コンテンツを設計する
    3. 6.3.Step3:行動に落とし込む実践・振り返りのプロセスを組み込む
    4. 6.4.Step4:研修後のフォロー・定着施策を設計する
  7. 7.マインドセット研修を成功させるポイント
    1. 7.1.正解を教えるのではなく「気づき」を引き出す設計
    2. 7.2.上司・先輩が模範となり、職場で実践を後押しする
    3. 7.3.他の研修・評価制度と連動させる
    4. 7.4.eラーニングやフォロー施策で継続的に定着させる
    5. 7.5.自社の課題・階層に合った研修を選ぶ
  8. 8.まとめ

マインドセット研修とは

マインドセット研修とは、知識やスキルを学ぶ前提となる「仕事への向き合い方」や「成長に対する考え方」を整えることを目的とした研修です。

なぜ今、多くの企業がマインドセット研修に注目しているのか、基本的な考え方と人材育成における位置づけを整理します。

マインドセットとは何か

マインドセットとは、物事の捉え方や意思決定の基準となる「思考の枠組み」を指します。

同じ状況に置かれても、マインドセットの違いによって行動や成果には大きな差が生まれます。例えば、失敗を「能力不足」と捉えるのか、「成長の機会」と捉えるのかによって、その後の学習姿勢や挑戦意欲は大きく変わります。

ビジネスにおいては、こうした無意識の思考パターンが、主体性や責任感、学習意欲といった行動特性に直結するため、マインドセットは人材育成の重要な要素とされています。

▶関連記事:マインドセットとは?意味や重要性と成功するための事例を解説

人材育成においてマインドセットが重要な理由

どれだけ高度なスキル研修を実施しても、受講者のマインドセットが整っていなければ、学びは現場で活かされにくくなります。

指示待ちの姿勢が強い、失敗を過度に恐れる、成長意欲が低いといった状態では、新しい知識やスキルを吸収・実践することが難しいためです。

マインドセット研修は、社員が「なぜ学ぶのか」「なぜ行動するのか」を自分事として捉え直す機会を提供し、研修全体の効果を底上げする役割を果たします。

マインドセット研修とスキル研修の違い

スキル研修が「何ができるようになるか」を目的とするのに対し、マインドセット研修は「どのような姿勢で仕事に向き合うか」を扱います。

両者の違いを整理すると、次のように位置づけられます。

  • マインドセット研修:行動変容の土台づくり
  • スキル研修:具体的な実践力の強化

この順序を意識せずに研修を設計すると、学習内容が定着せず、期待した成果につながらないケースも少なくありません。

そのため近年では、マインドセット研修を人材育成の起点として位置づける企業が増えています。

マインドセットの種類と代表的な考え方

マインドセットにはいくつかのタイプがあり、どの考え方を重視するかによって、人材育成の方向性や研修の設計方法は大きく変わります。

ここでは、マインドセット研修を企画するうえで押さえておきたい代表的な考え方を整理し、それぞれの特徴と活用のポイントを解説します。

成長マインドセットと固定マインドセット

マインドセットの代表的な分類としてよく挙げられるのが、「成長マインドセット」と「固定マインドセット」です。

  • 成長マインドセット
    能力や成果は、努力や工夫によって伸ばせると捉える考え方
  • 固定マインドセット
    能力は生まれつき決まっており、大きくは変わらないと考える傾向

ビジネスの現場では、成長マインドセットをもつ社員ほど、失敗を学習の機会と捉え、新しい業務や変化にも前向きに取り組みやすいとされています。

そのため、マインドセット研修では「結果」だけでなく「プロセス」や「挑戦そのもの」に目を向ける視点を育むことが重要になります。

個人のマインドセットと組織のマインドセット

マインドセットは個人だけの問題ではありません。
社員一人ひとりがもつマインドセットに加えて、組織全体に根付いた「組織のマインドセット」も存在します。

例えば、

  • 挑戦を歓迎する文化がある組織では、新しい取り組みに前向きな行動が生まれやすい
  • 失敗を過度に責める風土では、個人が成長マインドセットをもっていても行動に移しづらい

このように、マインドセット研修を成功させるには、個人の意識変革だけでなく、評価制度や上司の関わり方など、組織側の在り方もあわせて見直す視点が欠かせません。

ビジネス現場で求められるマインドセットの具体例

実際のビジネス現場では、抽象的な考え方ではなく、行動につながるマインドセットが求められます。
代表的な例としては、次のような考え方が挙げられます。

  • 指示を待つのではなく、自ら考え行動する主体性
  • 失敗や指摘を成長の材料として受け止める姿勢
  • 相手の立場を理解し、協働を重視する意識
  • 業務の目的やゴールを意識して仕事に取り組む視点

マインドセット研修では、こうした考え方を単に「教える」のではなく、具体的な業務シーンを想定しながら、自身の行動を振り返る設計にすることで、現場での実践につながりやすくなります。

マインドセットを構成する要素

マインドセットは生まれつき固定されているものではなく、これまでの経験や置かれてきた環境によって形づくられてきたものです。
構成要素を理解することで、マインドセット研修において「どの部分に働きかけるべきか」が明確になり、より効果的な研修設計につながります。

これまでの経験・成功体験

過去の業務経験や成功体験は、マインドセット形成に大きな影響を与えます。

例えば、挑戦した結果を評価されてきた人は、新しい業務にも前向きに取り組みやすくなります。一方で、失敗経験が強く印象に残っている場合、慎重になりすぎたり、挑戦を避ける思考が定着しているケースもあります。

マインドセット研修では、これまでの経験を振り返り、「その経験をどう解釈しているか」に目を向けることが重要です。経験そのものではなく、捉え方を見直すことで、行動の選択肢を広げることができます。

受けてきた教育や周囲の影響

学校教育や職場での指導方法、上司や先輩の言動も、マインドセットに大きく影響します。

成果のみを重視する評価や、一方的な指示命令が中心の環境では、受け身の姿勢が強まりやすくなります。反対に、挑戦やプロセスを認める関わりが多い環境では、主体的に学ぶ姿勢が育まれやすくなります。

そのため、研修では個人の意識変革だけでなく、周囲の関わり方や職場環境にも目を向ける視点を取り入れることが効果的です。

信念・価値観・先入観

「自分には向いていない」「前例がないから難しい」といった信念や先入観も、マインドセットを構成する重要な要素です。これらは長年の経験から無意識のうちに形成されており、本人も気づかないまま行動を制限していることがあります。

マインドセット研修では、こうした思い込みに気づくこと自体が大きな学びとなります。別の視点や考え方があることを知ることで、固定化されていた思考を柔軟にし、新たな行動を選択できる状態を目指します。

階層・役割別に求められるマインドセット

求められるマインドセットは、社員の立場や役割によって大きく異なります。全社員に同じ内容を伝えるのではなく、階層ごとの期待役割に合わせて設計することで、マインドセット研修の効果は高まります。

ここでは、代表的な階層別に重視すべき考え方を整理します。

新入社員に求められるマインドセット

新入社員にとって重要なのは、社会人としての基礎姿勢と、成長を前提とした考え方を身につけることです。
具体的には、
指示を待つのではなく、自ら学ぶ姿勢
失敗や指摘を成長の機会として受け止める意識
仕事の目的を理解し、報告・連絡・相談を自発的に行う姿勢
などが求められます。
マインドセット研修では、「正解を覚える」ことよりも、「どう考え、どう行動するか」を振り返る機会を設けることで、早期の戦力化につながります。

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若手・中堅社員に求められるマインドセット

若手・中堅社員には、自身の業務に加えて、周囲や組織全体への影響を意識したマインドセットが求められます。
任された仕事をこなす段階から一歩進み、主体的に価値を生み出す役割が期待されるフェーズです。
具体的には、以下のような考え方が重要になります。
課題を指示待ちせず、自ら見つけて改善や提案につなげる姿勢
業務の背景や目的を理解し、より良い進め方を考える視点
周囲と連携しながら成果を高めようとする協働意識
キャリアや成長を会社任せにせず、自ら選択していく意識
マインドセット研修では、これまでの成功体験や固定観念を振り返り、「これから求められる役割」に視点を広げるきっかけを提供することが効果的です。

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管理職・リーダーに求められるマインドセット

管理職やリーダーには、自身が成果を出すことに加え、メンバーの成長と組織全体の成果を両立させる立場としてのマインドセットが求められます。
プレイヤーとしての視点から、チームを動かす視点への転換が重要になります。
具体的には、次のような考え方が求められます。
自分が動いて解決するのではなく、部下が考え行動できる環境を整える意識
一人ひとりの強みや特性を活かそうとする育成視点
自身の価値観を押し付けず、多様な考え方を受け入れる姿勢
短期的な成果だけでなく、中長期的な人材育成を見据えた判断
マインドセット研修では、リーダー自身の思考や関わり方が、組織全体のマインドセットや行動に大きな影響を与えることを理解することが重要です。

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マインドセット研修の目的と導入効果

マインドセット研修は、単なる「意識改革」で終わらせるものではなく、社員の行動や成果につなげることが重要です。

ここでは、人事施策としてマインドセット研修を導入することで期待できる代表的な効果を整理します。

主体性・当事者意識の向上

マインドセット研修の大きな目的の一つが、社員一人ひとりの主体性を高めることです。

業務を「与えられた仕事」と捉えるのではなく、「自分の役割としてどう価値を生み出すか」を考える姿勢が育まれることで、指示待ちの状態から脱却しやすくなります。

当事者意識が高まることで、課題への気づきや改善提案が生まれやすくなり、現場主導の行動変容につながります。

学習意欲・成長意識の定着

成長マインドセットを土台とした研修は、学習に対する姿勢そのものを変える効果があります。

失敗や指摘を「評価の低下」と捉えるのではなく、「成長のためのフィードバック」として受け止められるようになることで、新しい知識やスキルを積極的に吸収する姿勢が定着します。

その結果、研修やOJTでの学びが一過性のものにならず、継続的な自己成長へとつながっていきます。

早期戦力化・組織活性化への影響

マインドセット研修は、特に新入社員や若手社員の早期戦力化に効果を発揮します。

仕事への向き合い方や考え方を早い段階で整えることで、業務理解やスキル習得がスムーズに進み、立ち上がりのスピードが向上します。

また、主体的に行動する社員が増えることで、組織全体のコミュニケーションが活性化し、前向きに挑戦する風土づくりにもつながります。

マインドセット研修の設計ステップ

マインドセット研修を成果につなげるためには、場当たり的に実施するのではなく、事前に研修全体の流れを設計することが重要です。

育成したい状態を明確にしたうえで、研修内容・実践・フォローまでを一連のプロセスとして組み立てることで、行動変容につながる研修を実現できます。

ここでは、マインドセット研修を設計する際の基本的なステップを解説します。

Step1:育成したいマインドセットと到達状態を定義する

最初のステップは、研修を通じてどのようなマインドセットを身につけさせたいのかを明確にすることです。

主体性、挑戦意識、役割意識、視座の高さなど、育成したい要素を整理し、それが業務上どのような行動として表れるのかまで落とし込みます。

階層や職種ごとの課題を踏まえて到達状態を定義することで、研修の狙いが明確になり、その後の設計が進めやすくなります。

Step2:業務に即した研修コンテンツを設計する

次に、Step1で定義したマインドセットを育成するための研修内容を設計します。

講義、事例、ワーク、ディスカッションなどを組み合わせ、受講者が自分の業務と結び付けて考えられる構成にすることがポイントです。

実際の業務シーンを想定したテーマやケースを扱うことで、研修内容を抽象論に終わらせず、現場での活用を意識した学習設計が可能になります。

Step3:行動に落とし込む実践・振り返りのプロセスを組み込む

研修内容を理解しただけでは、行動は変わりません。

そのため、研修内で「研修後にどのような行動を取るのか」を具体化し、実践と振り返りを前提とした設計を行います。

小さな行動目標を設定し、一定期間後に振り返る機会を設けることで、学びと実務を結び付けやすくなります。

Step4:研修後のフォロー・定着施策を設計する

最後に、研修後のフォローや定着施策を設計します。

マインドセットは一度の研修で定着するものではないため、フォローアップ研修や上司によるフィードバック、オンライン学習などを組み合わせ、継続的に学びを振り返る機会を用意します。

研修前から研修後までを一連のプロセスとして設計することで、マインドセットの変化を行動として定着させやすくなります。

マインドセット研修を成功させるポイント

マインドセットは短期間で身につくものではなく、継続的な働きかけによって少しずつ定着していきます。研修を「やって終わり」にせず、現場での行動変容につなげるためには、設計・運用の両面で押さえるべきポイントがあります。

ここでは、人事担当者が意識したい成功のポイントを整理します。

正解を教えるのではなく「気づき」を引き出す設計

マインドセット研修では、知識や正解を一方的に伝えるだけでは十分な効果は得られません。
重要なのは、受講者自身が自分の考え方や行動の癖に気づき、「別の選択肢がある」と理解することです。

そのためには、講義中心ではなく、事例検討や対話、振り返りを取り入れた設計が効果的です。
自ら考え、言語化するプロセスを通じて、マインドセットの変化が行動へと結びつきやすくなります。

上司・先輩が模範となり、職場で実践を後押しする

マインドセットは、研修内容だけでなく、日常業務で目にする周囲の行動から大きな影響を受けます。

研修で伝えた考え方と、上司・先輩の言動が一致していなければ、学びは定着しにくくなります。主体的に行動する姿勢や、失敗を学びに変える姿勢を上司・先輩が示すことで、研修内容が職場全体に浸透しやすくなります。

他の研修・評価制度と連動させる

マインドセット研修の効果を高めるには、単独施策として実施するのではなく、他の研修や評価制度と連動させることが重要です。
たとえば、ビジネススキル研修やDX研修の前段としてマインドセット研修を実施することで、「学ぶ姿勢」や「変化を前向きに捉える意識」を整えることができます。

また、評価制度においても成果だけでなく、行動やプロセスを評価する仕組みを取り入れることで、研修で学んだ考え方が日常業務に定着しやすくなります。

eラーニングやフォロー施策で継続的に定着させる

マインドセットは一度の研修で身につくものではありません。定期的な振り返りやフォロー施策を組み合わせることで、少しずつ定着していきます。

eラーニングを活用すれば、短時間の動画やワークで考え方を繰り返しインプットしたり、自身の理解度を確認したりすることが可能です。

集合研修とeラーニングを組み合わせたブレンディッド型研修により、学習効果と運用効率の両立が期待できます。

▶関連記事:eラーニング導入のメリットとは?集合研修との比較も解説

自社の課題・階層に合った研修を選ぶ

マインドセット研修は、対象者の階層や自社の課題に応じて内容を選ぶことが欠かせません。
新入社員には基本姿勢や主体性、中堅社員には役割意識や自律性、管理職には組織視点や変革意識など、求められるマインドセットは異なります。

内容の分かりやすさだけでなく、「継続しやすいか」「自社の育成方針と合っているか」という視点で選ぶことが、長期的な人材育成につながります。

▶関連記事:階層別研修とは?目的・メリット・カリキュラム例までわかりやすく解説

まとめ

マインドセット研修は、意識改革にとどまらず、行動変容や成果につなげるための人材育成施策です。育成したい考え方を明確にし、階層・役割に応じた設計と、実践・振り返り・継続施策を組み合わせることで、主体性や成長意識が現場に定着します。単発ではなく、育成全体の中で活用することが成功のポイントです。

こうしマインドセット研修を効率的かつ継続的に実施するには、eラーニングの活用が効果的です。

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