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eラーニング導入時のセキュリティリスクと対策まとめ|システム選びで押さえるべきポイント

企業研修のオンライン化が進み、eラーニングの導入は一般的になりつつあります。利便性は大きな魅力ですが、同時に「セキュリティは大丈夫か?」という懸念も無視できません。社員情報や学習履歴が漏洩すれば、企業の信頼低下やブランド毀損につながります。
実際に、LMS(学習管理システム)を狙ったサイバー攻撃や、IDの使い回しによるアカウント乗っ取りといった事例は珍しくなく、導入企業が直面するリスクは年々高まっています。

本記事では、eラーニング導入時に考えられるセキュリティリスクと、それを防ぐために押さえるべき要件、さらに安全に運用するための体制やシステム選びのポイントを整理して解説します。
これからeラーニングを検討している企業担当者の方はもちろん、すでに導入済みで「本当に安心できる運用ができているのか」を確認したい方にも役立つ内容です。

目次[非表示]

  1. 1.eラーニング導入時に考えられるセキュリティリスク
    1. 1.1. 情報漏洩リスク
    2. 1.2.不正アクセス・アカウント乗っ取り
    3. 1.3.システム脆弱性を狙った攻撃
    4. 1.4.法令・規制違反リスク
  2. 2.eラーニング導入時に押さえるべきセキュリティ要件
    1. 2.1.アクセス管理
    2. 2.2.データ保護
    3. 2.3.ログ管理・監査機能
    4. 2.4.可用性とバックアップ
    5. 2.5.法令・規格への準拠
  3. 3.セキュリティ強化のための運用体制
    1. 3.1.権限管理の徹底
    2. 3.2.定期的なセキュリティアップデート・脆弱性診断
    3. 3.3.内部不正を防ぐ仕組みの導入
  4. 4.安心して利用できるeラーニングシステムの選び方
  5. 5.安心して利用できるeラーニングなら「SAKU-SAKU Testing」 
    1. 5.1.関連サービス

eラーニング導入時に考えられるセキュリティリスク

eラーニングは社員教育を効率化し、場所や時間にとらわれずに研修を実施できる大きなメリットがあります。しかし、社内の人材データや業務に直結する情報を扱う以上、セキュリティ上のリスクを軽視することはできません。

ここでは、導入時に特に注意すべき代表的なリスクを整理します。

 情報漏洩リスク

eラーニングシステム(LMS)には、以下のような多様なデータが保存されます。

  • 氏名、メールアドレス、社員番号などの基本的な個人情報

  • 所属部署や役職といった組織情報

  • 受講履歴、テスト成績、理解度チェックなどの学習データ

  • 研修進捗や資格取得状況などの評価・スキル情報

これらは、万一漏洩すればプライバシー侵害や従業員の信頼低下、さらには企業ブランドの毀損に直結します。特に学習データや評価情報は人事評価にも関わるため、外部流出した際の影響は大きいといえます。
クラウド型システムではベンダーのサーバーにデータが保存されるのが一般的で、多くの場合は高度なセキュリティ対策が施されています。ただし、不正アクセスや運用上の不備があれば情報が流出する可能性はゼロではありません。

導入時には、どのような情報が保存されているかを把握し、自社にとってのリスクを認識しておくことが重要です。

不正アクセス・アカウント乗っ取り

eラーニングは「必須研修」で利用されるケースが多く、利便性の一方でアカウントの不正利用リスクが伴います。典型的な事例としては、以下のようなものがあります。

  • IDやパスワードを同僚と共有し、代わりに受講してもらうケース

  • 外部からの不正ログインによるアカウント乗っ取り

  • アカウントを足掛かりに、社内システムやメールとの連携情報に侵入されるケース

こうした不正利用は単なる「受講記録の改ざん」にとどまらず、社内の幅広い情報資産への侵入口となり得ます。特に、複数のシステムでIDを共用している場合、被害が一気に拡大する危険性があります。

システム脆弱性を狙った攻撃

eラーニングシステムはウェブアプリケーションとして提供されることが多く、他のクラウドサービス同様、脆弱性を突いた攻撃の対象となり得ます。代表的な攻撃例としては、

  • SQLインジェクション(データベースへの不正な命令注入)

  • クロスサイトスクリプティング(XSS)(利用者のブラウザを悪用)

  • ブルートフォース攻撃(パスワード総当たりによる突破)

などが挙げられます。
参考:独立行政法人情報処理推進機構 安全なウェブサイトの作り方 - 1.1 SQLインジェクション
https://www.ipa.go.jp/security/vuln/websecurity/sql.html
参考:独立行政法人情報処理推進機構 安全なウェブサイトの作り方 - 1.5 クロスサイト・スクリプティング

https://www.ipa.go.jp/security/vuln/websecurity/cross-site-scripting.html

教育系システムは「業務基幹システムほど厳重に守られていない」と見られやすく、攻撃者に狙われやすい面があります。
特に、人事部門や教育部門が主導して導入する場合、情報システム部門ほどセキュリティに精通していないケースがあり、脆弱性チェックが不十分になるリスクがあります。

法令・規制違反リスク

eラーニングで扱う情報は個人情報にあたるため、各種法令や規制の対象となります。国内では 個人情報保護法 や マイナンバー法 が代表的であり、海外拠点をもつ企業では GDPR(EU一般データ保護規則)CCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法) といった海外の規制にも対応が必要です。

また、システムのサーバーが海外に設置されている場合、その国の法律が適用されるケースもあります。違反が発覚すれば、罰金や行政処分にとどまらず、取引先や求職者からの信用失墜につながり、企業活動全体に深刻な影響を与えかねません。

導入にあたっては「どの法令の適用を受けるか」を把握し、自社にとってのリスクを正しく認識しておくことが重要です。

eラーニング導入時に押さえるべきセキュリティ要件

セキュリティリスクを理解したら、次に重要なのは「導入するシステムがどのような仕組みを備えているか」を確認することです。

以下は、導入前に必ずチェックしておきたい代表的なポイントです。

アクセス管理

社員が安心して利用できるよう、利便性と安全性を両立した認証機能が必要です。確認すべき主なポイントは以下の通りです。

  • 社内認証基盤と連携できる シングルサインオン(SSO) が利用可能か

  • 二要素認証(2FA)に対応しているか(パスワード流出時の不正アクセス対策)

  • アカウントの権限を 利用者ごとに細かく設定できるか

データ保護

eラーニングでは個人情報や学習履歴といった機密データが日常的にやり取りされます。保存や通信の安全性を必ず確認しましょう。

  • 通信が SSL/TLS(https://)で暗号化されているか

  • サーバー保存時にデータ暗号化が行われているか

  • データベースレベルでの暗号化や鍵管理の仕組みがあるか

ログ管理・監査機能

セキュリティ対策は「不正を防ぐ」ことと同じくらい「万一の際に追跡できる」ことも重要です。

  • 誰が・いつ・どのデータにアクセスしたかを記録するログが残るか

  • 不審なアクセスやアカウント利用を検知できるか

  • 規制業界向けに必要な 詳細ログの保管・エクスポート が可能か

可用性とバックアップ

いかにセキュリティが強固でも、システム障害等により利用できなくなっては教育活動が止まってしまいます。企業研修は期日や法令遵守が関わることも多いため、システムの可用性(どれだけ安定稼働するか)とデータ保全体制を確認しておくことが重要です。

  • サービスの稼働率(SLA)がどの程度保証されているか

  • 冗長構成や定期バックアップ が実施されているか

  • データ保存場所(リージョン)が明確に示されているか

法令・規格への準拠

最後に見逃せないのが、ベンダーのセキュリティ認証や法令準拠状況です。法令遵守や外部認証は、取引先や監査対応において「信頼性を客観的に示す証拠」となります。

セキュリティ強化のための運用体制

ここまで述べたセキュリティ要件は、システムの機能として備わっていることが大前提です。しかし、どれだけ堅牢な仕組みを導入しても「運用ルール」が整っていなければ不正や事故を防ぎきることはできません。導入後は以下のような運用対策を継続的に行うことが、安全なeラーニング活用の鍵となります。

権限管理の徹底

eラーニングでは、管理者・講師・受講者といった複数の役割が存在します。それぞれの立場に応じたアクセス権限を適切に設定し、不要なデータ閲覧や編集を制限することが重要です。
例えば、受講者が他人の成績を閲覧できたり、講師が管理者権限をもっていたりすると、情報漏洩や不正操作のリスクが高まります。
権限管理は初期設定時に一度決めるだけでなく、人事異動や組織改編のたびに見直すことが望まれます。

定期的なセキュリティアップデート・脆弱性診断

サイバー攻撃の手口は日々進化しているため、システムは常に最新の状態に保つ必要があります。ベンダーが提供するセキュリティアップデートを定期的に適用し、既知の脆弱性を放置しないことが基本です。
また、第三者機関による脆弱性診断を定期的に実施することで、潜在的なリスクを洗い出し、早期に対策を講じることが可能になります。特にクラウド型サービスの場合、ベンダー側の更新ポリシーを必ず確認し、どの程度の頻度でアップデートや診断を行っているのかを把握しておくことが重要です。

内部不正を防ぐ仕組みの導入

情報漏洩の原因は必ずしも外部攻撃だけではありません。従業員による不正利用や誤操作といった「内部要因」も少なくありません。
そのため、誰がいつどのデータにアクセスしたのかを記録し、定期的に監査する仕組みが欠かせません。特に、大量のデータを一度にダウンロードするなど通常とは異なる行動を自動検知できる仕組みがあれば、内部不正を早期に発見できます。
また、セキュリティに関する意識啓発も重要です。利用者自身が「なぜこのルールが必要なのか」を理解していなければ、形式だけのルールになり、抜け道を許してしまう可能性があります。運用ルールを文書化し、定期的に周知することが効果的です。

安心して利用できるeラーニングシステムの選び方

数多くのeラーニングシステムが提供されていますが、セキュリティ面を軽視した選定は後のトラブルにつながります。以下のポイントをチェックすることで、安心して利用できるシステムを見極めることができます。

  1. セキュリティ認証の有無

    ISO27001やプライバシーマークなど、第三者認証を取得しているベンダーは、一定の管理体制が整っていると判断できます。

  2. 法令対応の明確さ

    個人情報保護法やGDPRなど、国内外の法規制に準拠しているかを確認します。特に海外拠点をもつ企業では、データの保存場所がどこかも重要です。

  3. 可用性とバックアップ体制

    稼働率の保証(SLA)が提示されているか、障害時の復旧手順が整備されているかを必ず確認しましょう。

  4. アクセス管理と認証機能

    SSOや2FAへの対応状況は、利便性とセキュリティを両立する上で必須です。

  5. 運用サポートの有無
    導入後にどのようなサポートを受けられるかも選定の大きなポイントです。セキュリティインシデントが発生した場合の対応体制を事前に確認しておくと安心です。

単に「機能が豊富か」「操作が簡単か」だけではなく、これらの観点を含めて総合的に判断することで、安心して長期的に利用できるシステムを選定できます。

安心して利用できるeラーニングなら「SAKU-SAKU Testing」 

eラーニングシステムを安心して導入するためには、情報漏洩や不正アクセス、法令違反といったリスクを理解し、それらに対応できる仕組みや運用体制を備えているかを見極めることが欠かせません。特にアクセス管理やデータ保護、法令対応などの要件は、長期的に活用するうえでの信頼性を大きく左右します。
イー・コミュニケーションズのeラーニングプラットフォームSAKU-SAKU Testingは、セキュリティ対策はもちろんのこと、不正受講を防ぐ仕組みを備えているため学習成果を正しく管理することができます。さらに導入後は手厚いサポートで運用を支え、システム面と体制面の両方から安全な学習環境を提供しています。
また当社は、JIS規格適合の認定を受けプライバシーマークを取得した企業として、個人情報保護の体制を整え、徹底した対策を行っております。
安全に利用できるeラーニングシステムをお探しの際には、ぜひ「SAKU-SAKU Testing」をご検討ください。

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