
ビジネスデザイナーとは?DX人材に求められるスキルを解説
近年、企業の競争力強化において、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進が不可欠となっています。DXを成功させるためには、テクノロジーの活用だけでなく、ビジネスそのものを変革する視点が重要です。そこで注目されているのが「ビジネスデザイナー」という職種です。ビジネスデザイナーは、新しいアイデアをビジネスとして具体化し、DXを推進していく役割を担います。
本記事では、ビジネスデザイナーの概要と、DX人材に求められるスキル、関連資格、育成方法について解説します。
目次[非表示]
- 1.ビジネスデザイナーの役割
- 2.DX推進を担う人材の種類
- 2.1.プロデューサー
- 2.2.アーキテクト
- 2.3.UXデザイナー
- 2.4.データサイエンティスト・AIエンジニア
- 2.5.エンジニア・プログラマ
- 3.ビジネスデザイナーに求められるスキル
- 3.1.ビジネスアイデアの発想力
- 3.2.事業企画の構築力
- 3.3.提案・プレゼンテーション能力
- 3.4.ファシリテーション能力
- 3.5.事業推進計画の作成能力
- 3.6.新規事業を立ち上げるスキル
- 3.7.ビジネスコーチングスキル
- 4.ビジネスデザイナーにおすすめの資格
- 4.1.ITコーディネータ
- 4.2.ITストラテジスト
- 4.3.プロジェクトマネージャ
- 5.ビジネスデザイナーの育成・強化方法
- 5.1.発想力・企画力の強化
- 5.2.ファシリテーション能力の強化
- 5.3.ビジネスコーチング力の強化
- 6.ビジネスデザイナーの育成に「SAKU-SAKU Testing」をご活用ください
ビジネスデザイナーの役割
ビジネスデザイナーとは、DXやデジタルビジネスの企画・立案・推進などを担う人材です。アイデアをビジネスとして成立させるための仕組みを構築する仕事を担い、漠然としたアイデアを実現可能なビジネスモデルとして具体化させます。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、ビジネスデザイナーはDX推進を担う人材の一つとして定義しており、特にプロデューサーと連携してアイデアを企画レベルに落とし込む役割を担います。
サービスデザイナーとも関連がありますが、ビジネスデザイナーはより事業全体を俯瞰し、収益化できるビジネスモデルの設計に重点を置くのが特徴です。
DX推進を担う人材の種類
ここでは、DX推進を担う人材の種類について具体的に解説します。
プロデューサー
プロデューサーは、DXやデジタルビジネスの実現を主導するリーダー格の人材です。事業戦略の策定やプログラムの再構築、予算管理など、DX推進プロジェクト全体の統括的な役割を担います。顧客やパートナー、事業部門との良好な関係を構築・維持し、イノベーション創出から事業化までの一連のプロセスを牽引する能力が求められます。経営層に近い視点を持ち、プロジェクト全体の方向性を決定し、実行を推進していく重要な職種です。
アーキテクト
アーキテクトは、DXやデジタルビジネスに関するシステム設計を担う人材です。プロデューサーやビジネスデザイナーが考案した企画を実現するために、具体的なシステム構成や技術要素を設計するのが主な役割です。ITに関する深い知識と技術力に加え、複雑なシステムを専門外のメンバーにも分かりやすく説明できるコミュニケーション能力も求められます。ビジネス要求を満たす実現可能なシステムを設計し、開発チームに的確に指示を出すことが重要です。
UXデザイナー
UXデザイナーは、DXやデジタルビジネスに関連するシステムのユーザー向けデザインを担当する職種です。UXとはユーザー体験のことであり、製品やサービスがユーザーにとって使いやすく、満足度の高い体験を提供できるようにデザインすることを追求します。ユーザー視点に立ち、サービスの利用率や満足度向上に貢献する役割を担います。UI(ユーザーインターフェース)のデザインも行いますが、より広範なユーザー体験全体の設計に注力するのが特徴です。
データサイエンティスト・AIエンジニア
データサイエンティスト・AIエンジニアは、DXに関するデジタル技術、特にAIやIoT、データ解析に精通した職種です。社内外から収集される膨大なデータを分析・解析し、ビジネスに活用するための知見を引き出します。統計学や機械学習に関する専門知識はもちろん、プログラミングスキルも必要とされます。高度な専門性が求められる職種であり、データに基づいた客観的な分析結果をもとに、経営層の意思決定をサポートする重要な役割を担います。
エンジニア・プログラマ
エンジニア・プログラマは、デジタルシステムの実装やインフラ構築、保守などを担う職種です。アーキテクトが設計した内容に基づき、実際にプログラムを記述したり、システムを構築したりします。基本的なプログラミングスキルに加え、多様なプログラミング言語に関する知識が求められる場合もあります。DX推進においては、現場で利用されるシステムの知識も重要となり、設計通りにシステムを正確かつ効率的に実装する役割を担います。
これらを表でまとめると以下のとおりです。
職種 |
主な役割 |
必要なスキル例 |
プロデューサー |
戦略立案・全体統括 |
経営視点・リーダーシップ |
アーキテクト |
システム設計 |
IT設計・構成スキル |
UXデザイナー |
ユーザー体験の設計 |
デザイン・ユーザー視点 |
データサイエンティスト・ |
データ分析・AI開発 |
機械学習・統計・Python |
エンジニア・プログラマ |
実装・開発・インフラ構築 |
プログラミング・技術力 |
ビジネスデザイナーに求められるスキル
ここではビジネスデザイナーに求められるスキルについて解説します。
ビジネスアイデアの発想力
ビジネスデザイナーにとって、新しいアイデアを発想する力は非常に重要です。市場や顧客が抱える課題や潜在的なニーズを敏感に察知し、そこから新たなビジネスの種を見つけ出す能力が求められます。これまでの慣習にとらわれず、自由な発想で革新的なアイデアを生み出すことが、DXを推進する上で不可欠となります。幅広い情報に触れ、多様な視点を持つことが発想力を高める上で役立ちます。
事業企画の構築力
発想したアイデアを、具体的な事業として成立させるための企画に落とし込むスキルも重要です。アイデアを単なる思いつきで終わらせず、コンセプトを明確にし、どのように収益を上げ、どのように成長させていくのかというプロセスを具体的に設計する能力が求められます。市場性や競合環境、実現可能性などを考慮し、説得力のある事業企画を構築することが、アイデア実現の第一歩となります。
提案・プレゼンテーション能力
優れた企画を立案しても、関係者の理解や協力を得られなければ、事業として実現することは困難です。ビジネスデザイナーには、立案した企画の魅力や実行するメリットを社内外の関係者に分かりやすく伝え、共感や納得を引き出す提案力、プレゼンテーション能力が求められます。データに基づいた論理的な説明や、視覚的に理解しやすい資料作成など、相手に効果的に伝える工夫が必要です。
ファシリテーション能力
DX推進プロジェクトには、多様な部門や立場の関係者が関わります。ビジネスデザイナーは、関係者間の意見の対立を調整し、議論を円滑に進めるファシリテーション能力が必要です。会議やワークショップにおいて、参加者から多様な意見を引き出し、建設的な議論を促し、合意形成を導くスキルは、プロジェクトを円滑に進行させる上で不可欠です。
事業推進計画の作成能力
ビジネスデザイナーは、立案した事業企画を実行可能なレベルに落とし込んだ事業推進計画を作成する能力が求められます。単なる長期的な計画ではなく、具体的なタスク、スケジュール、必要なリソースなどを明確にし、日々の活動に落とし込める詳細な計画を策定します。関係者が次に何をすべきか迷わないような、実行性の高い計画を作成することが重要です。
新規事業を立ち上げるスキル
ビジネスデザイナーは、新規事業をゼロから立ち上げるための実践的なスキルを持つことが理想とされます。アイデア段階からビジネスモデルの設計、市場調査、プロトタイピング、テストマーケティング、そして実際の事業運営に至るまで、新規事業開発の全プロセスに関与し、推進していく能力が求められます。成功だけでなく、失敗から学び、改善していく経験も重要です。
ビジネスコーチングスキル
ビジネスデザイナーは、自身の経験や知識を活かして、新規事業担当者やプロジェクトメンバーに対してコーチングを行う機会もあります。アイデアの具体化や課題解決に向けたサポート、スキルアップの支援など、相手の成長を促し、プロジェクト成功に貢献するビジネスコーチングスキルが役立ちます。実践的なアドバイスや適切な問いかけを通じて、対象者の能力を引き出すことが重要です。
ビジネスデザイナーにおすすめの資格
ビジネスデザイナーにおすすめの資格について解説します。
ITコーディネータ
ITコーディネータは、経営的な視点を持ちつつ、ITを活用した経営改革やDX推進を支援する専門家としての知識・スキルを証明するITコーディネータ協会(ITCA)が認定している資格です。経済産業省が推進しており、経営戦略とIT戦略を結びつけ、企業のIT活用を推進する能力が身につきます。ビジネスの課題を理解し、ITを効果的に活用して解決策を提案するビジネスデザイナーにとって、有用な資格と言えるでしょう。
ITストラテジスト
ITストラテジストは、高度なITの知識と経営戦略の知識を組み合わせ、企業のIT戦略策定や推進を担う能力を証明する独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が認定する国家資格です。経営層の視点から、ビジネスのあるべき姿を描き、それを実現するためのIT戦略を立案するスキルが問われます。ビジネスデザイナーがより戦略的な視点をもつために、ITストラテジスト試験の学習内容は役立ちます。
プロジェクトマネージャ
プロジェクトマネージャは、ITプロジェクトの計画、実行、管理、完了までの一連のプロセスを管理する能力を証明する独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が認定する国家資格です。プロジェクトを成功に導くための知識やスキルが体系的に問われます。ビジネスデザイナーは、自身の企画したプロジェクトを推進していく役割も担うため、プロジェクトマネジメントの知識は不可欠です。この資格を取得することで、プロジェクト推進における計画性やリスク管理能力を高めることができます。
3つの資格の違いを表でまとめると以下の通りです。
資格名 |
主な内容 |
主な取得メリット |
ITコーディネータ |
ITと経営の橋渡し |
DX全体を俯瞰できる視野が養える |
ITストラテジスト |
経営戦略に基づくIT推進 |
戦略立案の論理性が身につく |
プロジェクトマネージャ |
ITプロジェクトの管理・推進 |
実行フェーズの信頼性が高まる |
ビジネスデザイナーの育成・強化方法
ここではビジネスデザイナーの育成・強化方法について解説します。
発想力・企画力の強化
ビジネスアイデアの発想力や事業企画の構築力は、ビジネスデザイナーの根幹となるスキルです。これらのスキルを強化するためには、多様な情報に触れる機会を増やし、多角的な視点を養うことが重要です。異業種交流や社外セミナーへの参加、デザイン思考などのフレームワーク学習、アイデアソンやハッカソンといった実践的な演習などが有効です。また、失敗を恐れずに新しいアイデアを試せる環境や文化も育成には不可欠です。
ファシリテーション能力の強化
関係者間の合意形成や円滑なコミュニケーションを促進するファシリテーション能力は、ビジネスデザイナーにとって重要なスキルです。ファシリテーション研修やワークショップを通じて、会議の進行方法、傾聴スキル、質問力、グラフィックファシリテーションなどのテクニックを習得することが有効です。また、実際に様々な立場の関係者が集まる場でファシリテーターとして経験を積むことも、能力向上につながります。
ビジネスコーチング力の強化
ビジネスデザイナーがメンバーの自律的な成長を支援するためには、ビジネスコーチングのスキルが役立ちます。コーチング研修や関連書籍での学習を通じて、目標設定の支援、効果的な質問、フィードバックの方法などを学ぶことが重要です。また、メンター制度を導入し、経験豊富なビジネスデザイナーが後進を指導する機会を設けることも育成に繋がります。
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