eラーニングで行うコンプライアンス研修のメリット・デメリット・成功のコツを徹底解説!

不祥事のリスクマネジメントや対外的な信頼獲得、働きやすい職場づくりなど、あらゆる理由で企業におけるコンプライアンスの重要性は高まっています。それに伴い、コンプライアンス研修も活発に行われるようになり、最近ではeラーニングを活用する企業が増えています。
本記事では、eラーニングでコンプライアンス研修を実施する際のメリットや注意点、成功のポイントをわかりやすく整理しました。
研修の導入やオンライン化を検討している企業担当者の方に、参考になる内容をお届けします。
目次[非表示]
- 1.企業がコンプライアンス研修を行う必要性
- 1.1.法的責任を回避するため
- 1.2.企業価値を向上させるため
- 2.コンプライアンス研修のオンランイン化の背景と実態
- 3.コンプライアンス研修をeラーニングで行うメリット
- 3.1.メリット1:全社員に効率的に教育を行える
- 3.2.メリット2:時間・場所を問わず受講できる
- 3.3.メリット3:コストを削減できる
- 3.4.メリット4:階層別・職種別に最適化できる
- 3.5.メリット5:研修の均一化と理解度の可視化ができる
- 3.6.メリット6:受講履歴・エビデンス管理が容易
- 3.7.メリット7:受講効果を高め、意識の定着を促す
- 4.eラーニング研修のデメリットと対応策
- 4.1.受講環境・集中力の維持が難しい
- 4.2.受講者同士の交流が減る
- 4.3.初期費用や導入準備の負担
- 5.eラーニングによるコンプライアンス研修の成功ポイント
- 5.1.自社ニーズに合った教材・システムを選ぶ
- 5.2.経営層・管理職が率先して受講する
- 5.3.身近な事例を交えて意識を高める
- 5.4.進捗・習熟度を定期的に確認する
- 5.5.定期的に研修を実施し、最新情報を反映させる
- 6.コンプライアンス研修で活用するeラーニングを選ぶポイント
- 6.1.研修内容に適したコンテンツがあるか
- 6.2.受講者が使いやすいUI/UXか
- 6.3.管理・レポート機能の充実度
- 6.4.他の研修にも対応できるか
- 7.まとめ
- 7.1.関連サービス
企業がコンプライアンス研修を行う必要性

企業がコンプライアンス研修を実施する理由は大きく分けて2つあります。
ここでは、研修を行う意義をわかりやすく整理していきます。
法的責任を回避するため
コンプライアンス違反は企業のイメージダウンにつながります。損害賠償や刑事責任が問われたりすることもあります。
このようなイメージダウンや法的責任を回避するためにもコンプライアンス研修は重要です。
きちんと研修を行うことで、従業員一人ひとりのコンプライアンスに対する意識が高まり、コンプライアンス違反を未然に防ぐことが可能です。
企業価値を向上させるため
近年、CSR(corporate social responsibility)が注目されています。
CSRとは、「企業の社会的責任」を意味し、企業活動をするにあたり、環境や人権に配慮しながら、利害関係をもつ顧客や従業員、株主などに対して責任ある行動をとることを指します。
企業にはCSRを果たすことが求められており、CSRを進めていくには、前提としてコンプライアンスの遵守が必須です。
コンプライアンスを遵守し、自社だけでなく社会に利益をもたらすサービスを提供し、CSRを果たすことで、企業の評価やブランドイメージを維持・向上させることにつながります。
▶関連記事:コンプライアンス研修とは?目的・内容・効果的な実施方法を解説
コンプライアンス研修のオンランイン化の背景と実態

企業の働き方が多様化する中で、コンプライアンス研修も例外ではなく、オンライン化が急速に進んでいます。
これまで集合形式で行っていた研修を、eラーニングやオンデマンド型に切り替えることで、効率的かつ継続的な教育体制を整える企業が増えています。
ここでは、その背景と実態について見ていきましょう。
多様化する働き方と法改正へのスピード対応
近年、テレワークやリモートワークの普及、さらに法令改正の頻度が高まっていることから、「いつでも・どこでも・誰でも」受講できる研修体制が求められるようになりました。
特に、個人情報保護法や下請法の改正など、企業が迅速に対応すべき法改正が続く中で、オンライン研修の柔軟性とスピードが注目されています。
また、従業員の意識や理解度を定量的に可視化できる点も、企業にとって大きなメリットです。
管理者は受講履歴やテスト結果をもとに習熟度を把握できるため、形骸化しがちな研修を「実効性のある教育」に変えることが可能になります。
半数以上の企業がすでにeラーニングを導入
当社が2024年に実施した「大企業のコンプライアンス教育に関する実態調査」では、従業員1,000名以上の企業のうち、約88.9%がコンプライアンス研修を実施していることがわかりました。
さらに、そのうち約57.3%がeラーニング形式を採用しており、オンライン化が企業研修の主流になりつつある実態が明らかになりました。
背景としては、在宅勤務やハイブリッド勤務の定着により、「時間や場所に縛られず受講できる仕組みを整えたい」という企業の意識が高まっている点が挙げられます。
また、全国拠点を持つ企業では、受講機会の格差をなくす手段としてもオンライン化が進んでいます。
加えて、当社の調査では「自社の課題や業種に合った研修コンテンツを選びたい」と回答した企業が56.4%にのぼり、単に形式をオンライン化するだけでなく、自社のリスクや文化に合った内容を重視する傾向が見られました。
こうした結果から、今後のコンプライアンス教育は、より柔軟で実効性の高い「eラーニング型研修」へとシフトしていくと考えられます。
▼資料ダウンロード:大企業のコンプライアンス教育に関する実態調査
コンプライアンス研修をeラーニングで行うメリット

コンプライアンス研修をeラーニングで実施することで、従来の集合研修では難しかった柔軟性や効率性を大幅に向上できます。
ここでは、具体的なメリットを7つに分けて解説します。
メリット1:全社員に効率的に教育を行える
コンプライアンスは社員全員が知っておくべき内容ですが、eラーニングなら社員の規模にかかわらず研修が可能です。大規模な企業であってもすべての社員に同じ研修を行うことが可能です。
集合研修では受講者の数が増えるほど、日程の調整・会場の確保など準備の量が増えますが、eラーニングならそのような手間がかかりません。
むしろ人数が多くなるほど、研修実施のための労力やコストが削減可能といえます。
メリット2:時間・場所を問わず受講できる
eラーニングの大きな利点は、社員が自分のスケジュールに合わせて受講できる点です。オフィス、在宅、出張先など、場所に縛られずに学習できるため、業務への影響を最小限に抑えつつ、必要な学習を確実に実施できます。特にテレワークやフレックスタイム制の普及に伴い、柔軟な受講環境が求められています。
最近は受講者の受講端末の主流が、タブレットやスマートフォンになりました。
それに伴って1回分の教材が短いマイクロラーニングも注目されており、通勤や休み時間などすき間時間の学習もしやすくなっています。
▶関連記事:マイクロラーニングは学習効果が高い!活用のポイントを紹介
メリット3:コストを削減できる
集合研修では会場費、講師費、交通費、宿泊費などの負担が発生しますが、eラーニングではこうした費用を大幅に削減できます。
特に繰り返し受講や復習が必要な研修では、オンライン形式の方が長期的なコストパフォーマンスが高いと言えます。受講者の数が多いほど、そして継続的・長期的に研修を行うほど、コスト削減の効果が期待できま す。
また、研修資料や教材の印刷費も削減できるため、全体の運用コストの最適化にもつながります。
メリット4:階層別・職種別に最適化できる
コンプライアンスは新入社員、中堅社員、管理職といったように階層によって学ぶべき内容が異なります。
eラーニングは条件による対象の抽出が容易なため、少ない手間で階層別にマッチした内容を配信することが可能です。部署ごとに内容の違いなどがある場合も、グループ分けして配信することができます。
手作業で受講者ごとに連絡内容を分けて配信するのはかなり大変な作業ですが、eラーニングでは抽出と配信をワンストップで行うことができます。
▶関連記事:階層別研修とは?目的・メリット・カリキュラム例までわかりやすく解説
メリット5:研修の均一化と理解度の可視化ができる
コンプライアンス教育では、全員が同じ価値観を共有し同じように行動できるようになることが大切です。
eラーニングでは受講者が同じ教材で学習することが可能なので、理解度のバラつきを防止することができます。ライブ配信する場合も、同じ講義を配信できるため講師による内容や進度・講義品質の違いがありません。
また、理解度テストや学習履歴を確認することで、どの社員がどの程度理解しているかを把握でき、教育の効果を定量的に評価できます。
メリット6:受講履歴・エビデンス管理が容易
eラーニングでは学習履歴の記録が残るので、研修を行っているエビデンスを形にすることができます。受講履歴を残すことで、受講者が特定のスキルや知識を習得していると証明することが可能です。
特定の分野では受講実績を残しておく必要がありますが、例えばプライバシーマークの取得など、教育のエビデンスが必要な場合にも活用することが可能です。
また取引先などに対しても、全社的にコンプライアンス教育に取り組んでいるというアピールにもなります。
メリット7:受講効果を高め、意識の定着を促す
eラーニングは繰り返し学習や復習が容易で、理解の定着度を高めやすい形式です。
わからなかったところだけ繰り返して学べる・すきま時間を利用できるため、スピーディーに高い学習効果を得られることが期待できます。
理解しているところは軽く流すこともできるので、各自が自分にとって必要な内容と既知の内容とでメリハリをつけて学習でき、時間のムダがありません。
導入までのスピード感にも優れています。教材が用意されているサービスを採用すれば研修の企画から実施まで短期間で終えることができます。
eラーニング研修のデメリットと対応策

eラーニングによるコンプライアンス研修は多くのメリットがありますが、一方で導入や運用の際には注意すべき点も存在します。
ここでは、よくある課題とその対応策を整理し、効率的かつ効果的な研修運用のポイントを解説します。
受講環境・集中力の維持が難しい
オンライン形式では、社員が各自で学習を進めるため、集中力が途切れやすくなる傾向があります。特に自宅での受講やマルチタスク環境下では、研修内容の理解度が低下する可能性があります。
対応策としては、研修内容を短時間で完結するモジュールに分ける「マイクロラーニング」の活用が有効です。1回あたり10〜15分程度の学習単位にすることで、集中力を維持しやすくなります。
また、学習の進捗状況を可視化し、リマインド通知を送ることで受講漏れを防ぐことも可能です。
受講者同士の交流が減る
従来の集合研修では、受講者同士のディスカッションやグループワークを通じて学びを深められましたが、eラーニングではこうした交流の機会が減少します。
その結果、疑問点を共有しにくく、理解度の差が生じやすくなることがあります。
対応策としては、チャット機能やQ&A機能を活用して双方向性を補うことが考えられます
また、オンライン研修後にフォローアップセッションやウェビナーを設けることで、受講者同士の意見交換や質問の機会を確保できます。
初期費用や導入準備の負担
eラーニングシステムの導入には、初期費用や教材作成、管理者研修などの準備が必要です。また、社員がスムーズに受講できる環境を整備することも重要なポイントです。
対応策としては、既存のテンプレート教材やクラウド型システムを活用することで初期負担を軽減できます。
さらに、スマートフォンやタブレットに対応した環境を整えることで、受講のハードルを下げ、場所や時間に縛られない柔軟な学習が可能になります。
eラーニングによるコンプライアンス研修の成功ポイント
eラーニングでコンプライアンス研修を実施する際には、ただ教材を配信するだけでは十分な効果は得られません。
ここでは、研修の効果を最大化するための成功ポイントを5つに整理しました。
自社ニーズに合った教材・システムを選ぶ
研修内容は自社の業務内容やリスクに合わせて選ぶことが重要です。業種や職種ごとに必要な知識は異なるため、すべての社員に同じ教材を提供するだけでは効率が悪くなります。
特に、1回のユーザー認証で異なる複数のシステムにアクセスできるシングルサインオン(Single Sign On:SSO)を利用したい、修了者に認定証の発行をしたい、自社のイメージに合わせてLMSのデザインを変更したいなどの要望がある場合、
カスタマイズできるシステムを活用することで、従業員それぞれに適した学習体験を提供できます。
また、法令改正や業界動向に対応した最新情報を反映できる教材を選ぶことも、研修の実効性を高めるポイントです。
経営層・管理職が率先して受講する
研修を組織全体にしっかり浸透させるには、経営層や管理職が率先して学ぶことが大切です。上層部が積極的に研修に取り組む姿を見せることで、社員も「自分たちもちゃんと学ぼう」と自然に意識が向かい、受講へのモチベーションが高まります。
また、管理職が進捗や理解度を把握してフォローやアドバイスを行うことで、学びが日常業務に活かされやすくなります。
こうした関わり方は、研修の内容を単なる座学で終わらせず、組織全体のコンプライアンス意識を高める効果も期待できます。
身近な事例を交えて意識を高める
研修内容を「自分ごと」として捉えてもらうためには、身近な事例や具体的なシチュエーションを取り入れることが効果的です。抽象的な法令やルールだけでは、「自分にはあまり関係ない」と感じてしまう受講者も少なくありません。
そこで、自社の業務に関連するテーマや、同じ業種で実際に起こった事例を取り上げることで、学習内容に現実味を持たせることができます。
また、守らなかった場合のリスクや影響を具体的に示すと、受講者の危機意識や理解度も高まります。
ニュースやケーススタディを導入して「自分ならどうするか」と考えさせる形式も有効です。教材を活用する場合は見せ方や切り口を工夫し、自社で作成する場合は、受講者のモチベーションを引き出すような演出を意識すると、より学びが定着しやすくなります。
進捗・習熟度を定期的に確認する
研修の効果を高めるには、受講状況や理解度をしっかりと確認することが大切です。
進捗が可視化できる仕組みを使えば、研修が形だけで終わることを防ぎ、遅れや理解不足を早めに把握できます。
管理者が定期的に状況をチェックし、必要に応じて個別フォローを行えば、社員一人ひとりの学びを確実に定着させ、組織全体の理解度向上につなげられます。
定期的に研修を実施し、最新情報を反映させる
コンプライアンスに関わる法令や社内ルールは、社会や環境の変化に応じて更新されます。そのため、研修も定期的に見直し、最新情報を取り入れることが重要です。
定期的な研修の実施により、社員は常に最新の知識を身につけられ、組織全体で法令遵守やコンプライアンス意識を高めることができます。
コンプライアンス研修で活用するeラーニングを選ぶポイント

eラーニングでコンプライアンス研修を導入する際、どのサービスを選ぶかによって効果や運用負荷は大きく変わります。ここでは、選定時に確認すべき4つのポイントを解説します。
研修内容に適したコンテンツがあるか
研修対象となる業務内容やリスクに合った教材が揃っているかを確認することが大切です。業種や職種によって必要な知識は異なるため、一般的な教材だけでなく、自社の課題や業務に沿った内容を選べるかが重要なポイントです。
また、法令遵守や企業倫理、業務上起こり得る具体的な事例がカバーされているかも確認しましょう。
受講者が使いやすいUI/UXか
操作が複雑なシステムだと、受講者が途中で挫折したり学習意欲が下がったりすることがあります。直感的に操作でき、迷わず学習を進められることが重要です。さらに、スマホやタブレットにも対応していれば、オフィス以外の場所やスキマ時間でも受講でき、利便性が高まります。
管理・レポート機能の充実度
管理者が受講状況や理解度を簡単に把握できるかどうかも重要です。進捗状況やテスト結果の確認が容易であれば、受講遅れのフォローや理解不足への補助、内部監査への対応もスムーズになります。受講履歴やレポート機能が充実しているかをチェックしましょう。
他の研修にも対応できるか
コンプライアンス研修だけでなく、ハラスメント防止や情報セキュリティなど、複数の研修を同じプラットフォームで運用できると効率的です。研修テーマごとに別システムを利用する手間が減り、管理の負荷を抑えつつ一元的に学習状況を把握できる点も選定のポイントです。
▼関連記事:eラーニングシステムの選び方を徹底解説!メリット・デメリットから具体的な選び方まで
まとめ
コンプライアンス研修を効果的に実施するには、研修内容や受講者に合わせた教材選び、操作のしやすさ、管理機能の充実度など、eラーニングプラットフォームの特性をしっかり確認することが重要です。
また、複数の研修を一元管理できるかも運用の効率化につながります。適切なシステムを選ぶことで、社員一人ひとりの理解度を可視化し、組織全体で法令遵守の意識を高めることが可能です。
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