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人事査定とは?人事評価・人事考課との違いと具体的な方法・流れまとめ

人事査定と言うと、何となくのイメージはあっても似た言葉との違いを具体的に説明できないのではないでしょうか。また具体的な方法も分かりにくいかもしれません。しかし人事査定は人的資源を活用するために重要な業務です。アウトラインは理解しておく必要があります。
 
この記事では、人事査定そのものの説明と、具体的な方法・流れについてまとめます。査定をする側の方もされる側の方も、ぜひ確認のため参考にしてみてください。 

目次[非表示]

  1. 1. 人事査定とは
  2. 2.「人事評価」「人事考課」との違い
  3. 3.人事査定の方法・流れ
    1. 3.1.➀評価する
      1. 3.1.1.評価項目
      2. 3.1.2.評価基準
      3. 3.1.3.評価方法
    2. 3.2.②評価を待遇へ反映させる
      1. 3.2.1.給与への反映方法
        1. 3.2.1.1.本給と仕事給
      2. 3.2.2.賞与への反映方法
    3. 3.3.③フィードバックする
      1. 3.3.1.コメント
      2. 3.3.2.フィードバック面談
  4. 4.査定で注意すべきポイント
    1. 4.1.➀公平・透明性の高い査定
    2. 4.2.②査定結果の適正な処遇への反映
    3. 4.3.③期待感を伝える工夫
  5. 5.社員の能力向上の学習ならイー・コミュニケーションズにご相談を

 人事査定とは

「人事査定」とは、従業員の業績や能力を調査して数値化・ランク付けすることです。多くの場合、数値化・ランク付けするだけでなくその結果を給与などの処遇に反映させるところまで含みます。似た言葉に「人事評価」「人事考課」があります。
 
それぞれ厳密には違いがありますが、区別されずに使われることも多くあります。一般的にはほぼ同じ意味で使われていると言ってよいでしょう。処遇への反映まで含むことが多いのはいずれの語も同様です。

「人事評価」「人事考課」との違い

「人事査定」「人事評価」「人事考課」の間に厳密には違いがあると言いましたが、違いを確認しておきましょう。
 
「人事評価」は、処遇への反映や目標設定など育成に近い面を含みます。「人事考課」は、もともとは処遇を決めるために業績・能力を調査したり把握したりすることです。厳密には処遇への反映を含みません。人事考課の方が人事査定に近い意味を持っています。
 
ただし3者とも区別されず、ほぼ同じ意味で使われることが多いのは前述した通りです。この記事でも厳密には区別せず、いずれも処遇への反映まで含むものとして扱います。

人事査定の方法・流れ

人事査定の流れをまとめます。人事査定は次の手順で行います。
 
評価する
評価を待遇へ反映させる
フィードバックする
 
順に見ていきましょう。

➀評価する

まず個々の社員の業績や能力などを把握します。把握した内容に価値や意義などの意味づけを行います。それが評価となります。適切な評価を行うためには、以下の準備が必要です。
 
評価項目
評価基準
評価方法
 
企業の人事査定を適切に行うためには、何について評価するのか、価値を判断する尺度はどうか、どのような手法に則って評価するのかを決める必要があります。
 
詳細を確認しましょう。

評価項目

人事の査定ではおもに業績や結果を評価しますが、次の3つについての項目を設定して査定することで精度が高まります。
 
業績・成果…売上など期間内の実績
能力…期間内に発揮した「発揮能力」を中心に、過去に身に付けた「保有能力」・将来的な「潜在能力」
行動・情意…期限内に行った行動・その行動の背景となるモチベーションなど
 
これらを組み合わせることで多角的に評価できるようになります。
 
なお評価項目は等級や担当する業務別に設定した方がよい場合があります。たとえば管理職や営業担当は業績・成果を中心に評価し、新入社員は業績より行動・情意を中心に査定するといった具合です。
 
客観的に評価しやすい定量的な項目と、数値化しにくい部分を評価するための定性的な項目を組み合わせて項目を設定しましょう。

評価基準

評価項目について評価する基準となる尺度・ものさしを、「人事評価尺度基準」といいます。人事評価尺度基準は、全社員共通の「共通設定基準」と等級ごとの「個別設定基準」があります。
 
基準に対しての到達度で社員をランク付けします。多くの企業ではS~Dや5~1などの5段階が採用されています。個別設定基準は数が多くなると設定や運用が大変になりますが、きめ細かく納得感のある評価が可能になります。
 
上記は基準に対する到達度で測る「絶対評価」ですが、ほかの社員と比較して評価する「相対評価」もあります。納得感のある評価は絶対評価です。

評価方法

評価方法にはいろいろな種類があるため、自社の方針に合ったものを選びます。以下に代表的な例を上げます。
 
MBO(目標管理制度)…年度の初めに目標を設定し、その目標の達成度に応じて評価・ランク付けを行う方法
OKR(目標と成果指標)…企業全体で高めの目標を設定し、個々がそれをもとに各自の目標を設定する方法
コンピテンシー評価…モデルとなる社員の行動特性を基準として評価する方法
 
MBOは現在日本の多くの企業で用いられている手法です。OKRは高い頻度で設定・追跡・再評価を行うのが特徴です。評価というよりは目標管理・人材育成に近い手法と言えるでしょう。コンピテンシー評価も人材育成に活用しやすく、導入例が増えつつある方法です。

②評価を待遇へ反映させる

業績を把握して結果・評価が決まったら、その評価を待遇や処遇に反映させます。基本的には、給与・賞与に反映させます。
 
傾向としては、給与には勤務態度を含めた総合的な評価を、賞与には期間中の実績を中心に反映させることが多いようです。
 
給与・賞与にどのように反映させるか確認しましょう。

給与への反映方法

給与は内容によっていくつかの内訳に分けられますが、査定を反映させるのはそのうち「仕事給」です(詳しくは後述)。
 
評価のグレードやランクごとに昇給金額を決めておきます。マイナス査定を含むランク設定にすることが実施のポイントの1つとなります。つまり中央より上は昇給するけれども下はランクに応じて給与を減額するということです。厳しいように見えますが、これによって緊張感とモチベーションが保たれます。
 
ただし査定は年2回改定するのが好ましいと言えます。下がった人も半年で持ち返すチャンスになるからです。年1回だとモチベーションが下がってしまい、不満や無気力の原因となる可能性が高くなります。

本給と仕事給

給与を内容別に細かく見ると「本給」と「仕事給」があります。給与は基本給と手当に分けられますが、本給と仕事給はどちらも基本給の内訳に当たります。
 
本給は、給与のうち勤続年数で上がっていく部分です。積み上げ型で固定的な部分だと言えます。仕事給は、前回の評価と比較して変動する部分です。査定結果が反映されるのはこの仕事給です。
 
給与額の決定においては、本給と仕事給の割合を適切に設定しておく必要があります。勤続年数の長い社員が増えると本給分の金額が膨らみます。本給に関わる世代の割合と仕事給に関わる評価結果の割合を変えて、さまざまな組み合わせのシミュレーションを行いましょう。

賞与への反映方法

賞与への評価の反映は、会社の業績に応じて全社員への支給総額を決めたうえで個人の成果で支給額を決定(分配)するのが前提です。
 
評価のグレードやランクに応じて支給額を計算して決定します。基本的な計算式は「基準額(=基本給×○か月)×評価係数」で、式中の「評価係数」にグレード・ランクを反映させます。
 
「分配」を徹底するため、ポイント制で個々の支給額を算出・分配する方法もあります。基準に合わせて1人ひとりのポイントを算出して社員全員のポイントを合計、賞与の総支給額を合計ポイントで割って、個々に分配される額を決定するという方法です。
 
なお支給額を決める基準は社員に公開します。透明性がないと不満が高まるからです。

③フィードバックする

査定と最終的な評価(処遇)が決まったら、本人に結果を伝えます。評価シートなどにコメントを付ける場合と、フィードバック面談などで直接話す場合があります。どちらの場合も、今後のために前向きになれるような伝達を心がけなくてはいけません。
 
自己評価と実際の評価にギャップがある場合、納得のいく説明ができないと不満に直結します。評価の基準をオープンにするのはその不満を防ぐという理由があります。コメントや面談も、不満があっても解消できるような内容を心がけましょう。

コメント

あらかじめ本人に自己評価させておき、それに対して上司からコメントします。最終的な結果の根拠を客観的に伝えましょう。
 
高く評価した点に具体的に言及しつつ、今後の課題も客観的に伝達します。両者を伝えることによって、普段の頑張りを見てもらえていると理解できますし今後のモチベーションを高めることができます。
 
文字での伝達になるので、言葉の表現にはとくに注意しましょう。言い方によっては悪気がなくても誤解されてしまう可能性があります。評価した点は具体的なほどモチベーションを刺激できます。課題や改善点は、現状を否定するような言い回しではなく将来に向けた前向きな表現になっているか確認しましょう。

フィードバック面談

フィードバック面談でも、コメントと同じく結果とその理由や根拠の両方を伝えます。やはり評価した点に具体的に言及することと、今後の課題を客観的に伝達することの両方が必要です。
 
フィードバックならではの注意点は、直接顔を合わせて話すので冷静・客観的に伝えるということです。相手が査定の結果に満足行かない場合など、敵対的な雰囲気になってしまう可能性もゼロではありません。そのようなときも感情的・高圧的にならないよう努めましょう。
 
面談では、普段からのコミュニケーションが非常に重要になります。信頼感を得られるよう日常的に意識して会話することを心がけましょう。

査定で注意すべきポイント

査定において注意すべきポイントについてまとめます。次の3点が挙げられます。
 
公平・透明性の高い査定
査定結果の適正な処遇への反映
期待感を伝える工夫
 
査定と処遇に不満を持つケースは非常に多くあります。査定する側が考える以上にされる側は不満を持っているという調査結果がいくつかあるほどです。場合によっては人材流出や訴訟の原因となってしまいます。
 
査定を社員や会社のマイナスとせずプラスにできるよう、ポイントを守りましょう。1つずつ見ていきます。

➀公平・透明性の高い査定

まず、公平で透明性の高い査定を行うことが必須です。
 
査定の基準が明確でないと評価に納得してもらえなくなります。あいまいさを排除する必要があります。また評価者によって評価に差があるのも問題となります。評価者研修などを行って、評価者の間のブレやバラつきを無くす努力をしましょう。評価結果の擦り合わせも有効です。
 
さらに、仮に客観的・公平に評価していたとしても基準が公開されていないと誤解される可能性もあります。基準は公開・周知しましょう。

②査定結果の適正な処遇への反映

査定結果は適正に処遇に反映させましょう。よい成績を残しても給与などに反映されなかった場合、不満が高まります。よい人材ほど不満を感じることになり、流出に至った場合の打撃が大きくなります。
 
不満を防ぐためにも、査定結果を適正に処遇に反映させることが必要です。基本的には結果と処遇をつなぐ基準作りが重要となります。努力や結果が報われないということのないよう、相応の処遇が行える体制を作りましょう。
 
ただし一度運用を開始すると変更にしくくなります。とくに基準を厳しくする場合はなおさらです。基準が甘いと、想定以上に人件費が高くなったり業績にそぐわない処遇を与えてしまったりする可能性があります。事前のじゅうぶんなシミュレーションが必要です。

③期待感を伝える工夫

フィードバックなどの際に期待感を伝える工夫をすると、本人にも会社にもプラスとなります。
 
査定の第一の目的は業績に応じた処遇ですが、運用次第で人材育成や業績向上も実現できます。そこまで見据えた運用を目指したいところです。そのためには、査定結果を今後の行動やモチベーションにつなげることが必要です。
 
結果を伝えるときに、今後に期待していると伝わる工夫をしましょう。たとえば貢献できた点の評価や、今後の課題などどんな点に期待しているか話します。周囲の評価や期待は働きがいや期待に応えようという意欲につながります。
 
その他、スキルアップのサポートや普段からのコミュニケーションも有効です。前者は期待感を行動で示すこととなり、後者は信頼感を築くことができます。

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