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CBT試験とは?ほかの試験との違いやメリット、導入方法を徹底解説

近年、試験方式として「CBT」という方法が広がりをみせています。しかし、どんなものかよく分からないという方もいらっしゃるかもしれません。CBTは多くの資格試験で利用されており、資格試験のための方法だと思われがちです。しかし社内研修などにも活用することができます。

この記事では主に企業でCBTを導入する場合のメリットや利用例についてまとめます。紙による試験からCBT試験への切り替え導入方法についても詳しく解説していますので、現在は紙での試験を実施している方はぜひ参考にしてみてください。

目次[非表示]

  1. 1.CBTとは
  2. 2.CBTとほかの試験方法との違い
  3. 3.CBTで可能な出題形式
  4. 4.CBTに活用しやすい試験
  5. 5.CBT試験のカンニング対策
    1. 5.1.本人確認
    2. 5.2.会場の環境
    3. 5.3.監視カメラ・試験官
    4. 5.4.試験システム自体の機能
    5. 5.5.Webカメラ
  6. 6.CBTのメリット
    1. 6.1.実施サイドからのメリット
    2. 6.2.➀試験実施までの労力・コストを大幅にカット
    3. 6.3.②情報漏洩や流出のリスクがない
    4. 6.4.③試験中のカンニングのリスクがない
    5. 6.5.④採点の自動化で労力・時間をカット可能
    6. 6.6.⑤試験後のデータ管理が容易
    7. 6.7.⑥国による電子化推進に適合
    8. 6.8.⑦災害など非常事態時に強い
  7. 7.受験者からのメリット
    1. 7.1.➀受験日時の自由度が高い
    2. 7.2.②すぐに結果を知ることができる
    3. 7.3.③遠出しなくても受験できる
  8. 8.CBTのデメリット
  9. 9.社内でCBTを利用すると企業価値の向上につながる!
    1. 9.1.研修の効果測定・PDCAのデータとして活用できる
    2. 9.2.社員全体のスキルアップ・意識向上につながる
    3. 9.3.給与・役職など評価の根拠として活用できる
    4. 9.4.タレントマネジメントなどのデータとして活用できる
  10. 10.社内研修・社内試験への活用方法
    1. 10.1.研修の理解度の測定
    2. 10.2.コンプライアンスなどの定期的な試験
    3. 10.3.昇進・昇級試験
    4. 10.4.社内資格制度の試験
    5. 10.5.新入社員研修などの確認試験
  11. 11.社内でCBTを導入する前の注意点
    1. 11.1.前の問題に戻れるようになっているか
    2. 11.2.動画やリスニング、スピーキングなどの問題形式に対応できるか
    3. 11.3.結果の通知をどのような方法で行うか
    4. 11.4.不正防止対策ができるか
  12. 12.社内でCBTを導入する方法
    1. 12.1.①ヒアリング
    2. 12.2.②要件定義
    3. 12.3.③設計・開発
    4. 12.4.④運用開始
  13. 13.社内試験のCBT化における試験問題の作成方法
    1. 13.1.➀試験目的の明確化
    2. 13.2.②形式・難易度・合格点の決定
    3. 13.3.③内容の決定
    4. 13.4.④表現・体裁の統一
    5. 13.5.⑤取り込みできる形式にデータ化
  14. 14.CBTの導入例
  15. 15.CBTと今後
  16. 16.CBT導入ならイー・コミュニケーションズにご相談ください。

CBTとは

「CBT」とは「Computer Based Testing」の略称で、コンピューターを利用した試験の総称です。「~BT」という略称の「~ベースのテスト」が何種類かありますが、CBTの「C」はコンピューター(computer)の「C」です。
 
コンピューターのディスプレイに問題が表示され、マウスやキーボードを使って解答します。紙を使用した試験にはないメリットが多く、近年さまざまな分野で広がりをみせています。
 
インターネットとコンピューターの両方が必要となりますが、試験中はオフラインでも使用できるサービスもあります。

CBTとほかの試験方法との違い


試験方法には、CBTのほかに従来の紙(paper)ベースの試験「PBT」(Paper Based Testing)や「IBT」(Internet Based Testing)と呼ばれるCBTに似た方法があります。それぞれとの違いを確認しましょう。
 
CBTには、従来の紙による試験PBTにないメリットが多数あります。
 
・準備:PBTは会場や試験官の手配が必要だが、CBTは自社などで実施可能で手配がほぼ不要
・問題の準備:PBTは問題や解答用紙の印刷と輸送などが必要だが、CBTは不要。また試験直前まで問題の変更が可能なので、時事的な問題にも対応可能
・問題の内容:PBTは同一の問題を使用するが、CBTは1人ひとり問題を変えたり選択肢の順序を変えたりできる
・採点:PBTはマークシート形式を除き人が採点する必要があるが、CBTは自動的に採点可能
・日時の設定:PBTは一斉試験が基本だが、CBTは自由度が高い
 
次に、IBTとの違いです。IBTはインターネットを使用した試験方式です。CBTはコンピューターを使用する場合のみを指しますが、IBTはタブレットやスマートフォンを使用する場合も含みます。IBTのほうがより広い内容を指し、IBTの中にCBTが含まれているといえます。
 
またCBTは会場を借りて実施する「会場型」を指すことが多いのですが、IBTは自宅など会場以外で受験できるのが特徴です。なお、IBTのサービスを使って自社のスペースによるCBTの実施は、一般的に行われています。最も低コストで導入・運用が可能な方法といえるでしょう。

CBTで可能な出題形式


CBTは、従来のPBTで一般的だった出題形式はもちろん、PBTでは不可能だったさまざまな出題形式に対応しています。具体的には次のとおりです。
 
・選択問題
・論述問題
・動画や音声を使った問題
 
問題は、受験者ごとにランダムに出題することも可能です。先ほど軽く紹介したように、出題する問題を変えるほか、出題の順序を変えたり、同じ問題でも選択肢の順序を変えたりすることも可能です。
 
動画を使った問題は従来のPBTでは難しい出題形式ですが、CBTでは可能です。また語学試験のリスニングのような音声の使用も、従来のような設備の準備などを必要とせず行うことができます。受験者が音声で解答するスピーキングの試験に対応できるサービスもあります。
 
さらにサービスによっては、形式を問わず出題した問題をテスト結果から分析して良問・悪問を洗い出してブラッシュアップしていくことも可能です。

CBTに活用しやすい試験


CBTを活用しやすい試験とはどんなものかについて考えてみましょう。試験の形式でとくにCBTと相性がよいのは選択問題です。採点面などメリットが多く、導入しやすいといえます。具体的な内容としては、次のような試験がCBTを活用しやすいでしょう。
 
・社内の資格試験など
・知識の定着 
・資格試験など
 
CBTは社内の資格試験や昇進試験に活用できます。定期的に行う試験であれば、問題のブラッシュアップなど試験の精度を高めていくことも簡単にできます。
 
知識の定着は、問題集・ドリルのような活用方法です。企業で利用する場合は、内定者向けやコンプライアンスなどの社内研修、そのほか企業理念の浸透や商品知識などの知識が挙げられます。
 
もちろん一般的にイメージされるような、資格試験のプラットフォームとしても活用できます。

CBT試験のカンニング対策

CBTについて、使用前に検討する場合にもっとも気になるのはカンニングできてしまうことではないでしょうか。CBTのサービス提供者は、受験者がカンニングできないよう、しても意味がないように手段を講じています。次にそういった対策についてまとめます。以下の対策が行われています。
 
・本人確認
・会場の環境
・監視カメラ・試験官
・試験システム自体の機能
・Webカメラ
 
具体的にみていきましょう。

本人確認

試験前の対策として、オンラインでも本人確認を行うという方法があります。申し込み時に身分証明書のデータを提出するほか、その場で提示する方法があります。照合は受付や試験官による目視のほか、AIを利用する場合もあります。
 
会場式や自社で行う場合は従来どおりの確認が可能です。自宅などで受験する場合でも、試験の内容や厳密さとのバランスはありますが、精度の高い方法を採用しているサービスもあります。
 
会場型CBTはもちろん、自宅でのIBTでも行うことができる方法です。

会場の環境

会場型や自社の会議室など集合で行う試験の場合、会場の環境をカンニングできない状態にする方法もあります。具体的には、受験生同士の距離を空けたり、パーテーションで区切ったりするといった方法です。ほかの人の解答を覗き見ることができなくなります。
 
物理的にカンニングできない環境を作るという防止策です。昔から広く行われていますが、効果的だという証明でもあります。

監視カメラ・試験官

会場型の試験の場合、試験会場を監視するという方法があります。監視カメラで監視したり、試験官が巡回したりします。これも古典的な方法ではありますが、確実な方法でもあります。
 
自宅などで行う場合でも「オンライン・プロクタリング」という試験方法があります。これは遠隔地にいる試験官がマイクとカメラを通してリアルタイムで監視を行い、その状態で試験を実施するものです。一部の資格試験や英語テストなどで導入されています。

試験システム自体の機能

試験で使用するシステム自体に、カンニングを防ぐ機能が実装されている場合もあります。
 
たとえば多くのサービスで導入されているのが、問題をシャッフルして出題の順番を変える機能、受験者ごとに出題内容をランダムに変える機能です。これにより、同じ問題番号への解答が同じ問題・同じ選択肢とは限らないことになります。先述したとおりです。
 
ほかの受験者の解答を盗み見たとしても、それが自分に表示されている問題・選択肢と異なる可能性があり、カンニングする意味がなくなります。さらには発覚のリスクを冒してまでカンニングする意味がなくなり、抑止力としても機能します。
 
そのほか、試験中はほかのアプリケーションの使用を制限する機能が付いているシステムもあります。これにより、Webのブラウザを開いて検索することが不可能になったり、ほかのデータを閲覧することができなくなったりします。
 
CBTならではのカンニングの可能性を、CBTならではの方法で防いでいるといえるでしょう。

Webカメラ

コンピューターのWebカメラを使用して挙動を監視できるシステムもあります。これにより、たとえばモニター以外のところを見ていないかどうか、ほかを見ている場合それがどのぐらいの時間続いているかといったことが確認できます。疑わしい挙動のチェックが可能となります。
 
Webカメラでの監視には、リアルタイムでの監視と録画を確認する方法との2つがあります。AIを活用している場合もあります。

CBTのメリット


では、具体的にCBTにはどのようなメリットがあるのでしょうか?CBTのメリットについて、実施者側と受験者側それぞれの立場からまとめます。

実施サイドからのメリット

まず、実施者からみたメリットについて、具体的には次の点が挙げられます。
 
・試験実施までの労力・コストを大幅にカット
・情報漏洩や流出のリスクがない
・試験中のカンニングのリスクがない
・採点の自動化で労力・時間をカット可能
・試験後のデータ管理が容易
・国による電子化推進に適合
・災害など非常事態時に強い
 
1つずつ具体的にみていきます。

➀試験実施までの労力・コストを大幅にカット

CBTでは、試験実施までの労力やコストを大幅にカットすることができます。CBTはPC上で試験を行うため、問題・解答用紙の印刷や会場への輸送・運搬が不要です。
 
さらに自社で行う場合は、試験会場や試験官の手配も不要です。これらの準備にかかる費用・労力が大幅に削減可能となります。
 
また、紙ベースで印刷が必要な場合は、問題作成を試験より一定期間前に済ませておく必要があります。しかしCBTは試験直前までデータの更新が可能です。そのため、たとえば時事問題など最新の情報を問題に反映させることができます。

②情報漏洩や流出のリスクがない

CBTでは、試験問題の漏洩リスクを極限まで抑えることができます。紙ベースだと内部の人間がコピーを取るなどの可能性はゼロではありません。しかしCBTの場合、問題にアクセスできる権限を明確にしておけば試験前の漏洩はありません。そもそも問題を1人ひとり変えることができるので、事前に問題を知りえたとしてもそれが必ず出題されるとは限りません。
 
また、試験の後には、受験者に問題のデータが残りません。もちろん受験者が記憶している範囲はやむを得ませんが、データのような明確な形で漏洩・流出することはありません。
 
さらに問題用紙・解答用紙の回収漏れや紛失といった問題も起こりません。問題の漏洩のほか、個人情報の流出も避けることができます。

③試験中のカンニングのリスクがない

CBTでは受験者が試験中にカンニングするリスクがありません。先ほど述べたとおりです。CBTでは個々の受験者に違う問題を出題したり、選択肢の順番を変えたりすることが可能です。
 
また、ほかのアプリの起動、コピー&ペーストやWeb検索などを禁止する機能が付いていたり、PC搭載のカメラを使って挙動をチェックできたりするサービスもあります。

④採点の自動化で労力・時間をカット可能

CBTでは、採点にかかる労力や時間を大幅にカットできます。選択問題は自動的に採点が可能です。そのため人が採点する必要がありません。合否など試験結果の判定も、基準を設定すれば自動的に行われます。試験直後に採点して受験者に結果を伝えることが可能なサービスもあります。
 
そのほか採点については、出題内容に問題があった場合などに任意の問題を全員正解・不正解にすることも可能なサービスもあります。

⑤試験後のデータ管理が容易


 CBTはコンピューターを使った試験方式なので、結果などデータの集計・分析や管理が容易です。さまざまな検索条件で受験者のデータ抽出をしたり、不合格者だけ選別して再試験の連絡をしたりすることも容易に行えます。
 
また、データを外部のシステムやツールと連携させて利用することが可能なサービスもあります。そういったサービスでは、たとえば抽出したデータをCSVで出力してほかのツールで分析したり、逆にほかのシステムの試験結果を取り込んで一括管理したりすることができます。

⑥国による電子化推進に適合

政府が公文書の電子化を推進しており、2026年の完全電子化を目指しています。資格や検定など試験業界でもそれに呼応する流れがあり、従来の紙を使った試験からオンライン形式の試験が増えてきています。大学入試を一部オンライン化している大学も出てきました。今後ますますオンライン化の流れは加速していくでしょう。
 
とくに対象がオープンな資格試験の場合は、オンライン化・デジタル化の流れにも適合しています。社内で行う研修や試験も大きな目でみたトレンドに沿っており、早い時期での導入は後々の労力のカットにつながるでしょう。

⑦災害など非常事態時に強い

一斉ペーパーテストの場合、もし地震や悪天候などによる災害が発生してしまった際には、試験を別日に延期、あるいは中止しなければならないというリスクがあります。試験の延期や中止は主催者・受験者双方に多大な影響が及ぶことから、万が一に備えて対応をあらかじめ入念に検討しておく必要があるのです。
 
2020年に発生した新型コロナウイルス感染拡大の際には、感染対策として密集・密接を避ける必要があったため、ペーパーテストの実施自体が難しいという問題にも直面しました。
 
CBTは、このような非常事態に強い点がメリットです。何らかの理由によって試験の延期や中止が発生した際であっても、受験者自身が日時や会場の振替手続きなどを簡単に行えるため、主催者サイドにはほとんどリスクがありません。

受験者からのメリット


次に、受験する側からみたメリットをまとめます。
 
・受験日時の自由度が高い
・すぐに結果を知ることができる
・遠出しなくても受験できる
 
以下、それぞれ具体的にみていきます。

➀受験日時の自由度が高い

まず受験者のメリットとしては、受験日時の設定の自由度が高いことが挙げられます。先に述べたように、CBTではカンニングの可能性が低く監督・管理の必要性が少ないため、日時を自由に設定できることが多くあります。それにより、受験者の都合に合わせて受験日時を決めることが可能です。

②すぐに結果を知ることができる

すぐに試験の結果を知ることができることも受験者にとってメリットです。選択問題中心であれば、自動的に採点できるため、従来の問題形式よりもかなり早く結果が出ます。場合によっては試験の直後に結果が発表されることもあります。

③遠出しなくても受験できる

資格試験などの場合、遠方の試験会場に出向く必要がありません。少ないマンパワーで実施可能なため、自宅近くの会場で受験する、もしくは自宅で試験を受けることができます。
 
社内での研修や試験でも、本社などに出向く必要がありません。普段のオフィスで、普段利用しているコンピューターで受験することも可能です。

CBTのデメリット


では、CBTにデメリットはないのでしょうか。考えられるデメリットを検証してみましょう。
 
まず、導入時の手間・コストがかかるという意見があります。確かに導入にはある程度の労力や費用が必要です。しかしいったん導入してしまえば、それ以降は逆に手間がかかりません。定期的に行う試験であれば、長い目でみると手間・コストの削減が可能です。
 
次に、通信環境の整備や確認が必要だということが挙げられます。これも、試験中にトラブルが発生した場合ロスした時間を反映させるサービスがあります。そういったサービスであれば万が一の場合も安心です。また、試験開始・終了時のみ通信し、試験中はオフラインで利用可能なサービスもあります。受験者が多い場合などトラブルを回避できます。
 
最後に、コンピューターの操作に不慣れな人には試験の形式自体がハンデとなる点があります。確かに、資格試験などでは起こりうるでしょう。しかしビジネス利用であれば、受験者は基本的なコンピューター操作ができる場合がほとんどではないでしょうか。基本的な操作ができれば問題ありません。
 
このように、一般的にデメリットとされていることはどれも解決可能です。

社内でCBTを利用すると企業価値の向上につながる!


上記のような社内での試験にCBTを導入した場合、具体的には、次のようなメリットがあります。
 
・研修の効果測定・PDCAのデータとして活用できる
・社員全体のスキルアップ・意識向上につながる
・給与・役職など評価の根拠として活用できる・タレントマネジメントなどのデータとして活用できる
それぞれ具体的にみていきましょう。

研修の効果測定・PDCAのデータとして活用できる

試験で得られた結果をデータとして効果測定やPDCAに活用することができます。
 
研修の効果測定のデータとすれば研修の内容や方式などの見直しに活用できます。研修だけでなく試験の合否とその後の業績の関連性を確認することでも、資格の問題内容や合格基準の見直しに役立ちます。
 
研修や試験の精度が高まれば、さらに充実した研修や結果につながる試験を行うことができるようになります。

社員全体のスキルアップ・意識向上につながる

CBTによる試験を社員全体のスキルアップや意識向上につなげることもできます。
 
試験内容を業務に必要な知識やスキルとすればスキルアップが可能です。コンプライアンスやマネジメント、コミュニケーションなどの内容とすれば、スキルに加えてさまざまな面で意識を向上させることができます。
 
研修と組み合わせれば、受講の姿勢が積極的になりさらに理解度も高まることが期待できます。もちろん社内資格などより直接的に活用するのにも最適です。

給与・役職など評価の根拠として活用できる

試験結果を、給与や役職など評価の根拠として活用することができます。とくに昇給や賞与額、昇進などプラスの評価を行うのに適しています。中でも社内資格の合格は手当や昇進の基準として活用しやすいでしょう。
 
はっきりしてわかりやすい根拠となるので納得感も高まります。テストの採点にも主観が入り込む余地がないため、より客観的な結果として受け入れられるでしょう。評価と処遇は不満の起こりやすいポイントなので、客観的な基準は対策として有効です。

タレントマネジメントなどのデータとして活用できる

タレントマネジメントなど人事上のデータとして、試験結果を活用することも可能です。タレントマネジメントは、社員のスキルを経営資源として捉え人事計画に積極的に活用することです。
 
社内試験の結果・社内資格の合格はわかりやすいスキルの証明となります。タレントマネジメントのデータとして活用しやすいといえるでしょう。
 
そのほか何度か述べたように、合否の結果とその後の業績との関連を追跡することで、試験をより戦略的に人事計画に役立てることもできます。

社内研修・社内試験への活用方法


次に、社内研修や社内試験にCBTを活用する場合、どのような方法があるのかまとめます。以下のような活用方法があります。
 
・研修の理解度の測定
・コンプライアンスなどの定期的な試験
・昇進・昇級試験
・社内資格制度の試験
・新入社員研修などの確認試験
 
具体的にみていきましょう。

研修の理解度の測定

まず、研修の後に内容をどのぐらい理解できているか測定するのにCBTを活用できます。
 
研修内容の重要なポイントを問題にしておきます。eラーニングや録画配信など、確実に全員が同じ内容を学習する場合はとくに適しています。もちろん集合式の研修でも決めておいた内容どおりに講義を行えば問題ありません。
 
研修中に試験を行うことを告知しておけば、受験者の参加意識も高まります。より高い研修の効果が期待できます。また、研修のPDCAにも役立てることが可能です。

コンプライアンスなどの定期的な試験

コンプライアンスなどの定期的な試験としてCBTを活用することができます。ハラスメントや情報管理をはじめとしたコンプライアンスについては、必要な内容を理解して知識として身に付けている状態を保つ必要があります。
 
そのためコンプライアンス対策は継続的な取り組みが必要です。一度研修をやったからといっても忘れてしまう可能性があるほか、新しい事例や注意点が加わる場合もあるからです。定期的に試験を行うことで、常に最新の知識を身に付けた状態を保つことができます。

昇進・昇級試験

社内で行う昇進試験や昇級試験にもCBTは活用できます。
 
とくに支社が全国に広がっている会社など、受験対象者が広く散らばっている場合は大きなメリットが得られます。CBTにより同じ条件で同時に試験を行うことができるからです。採点の労力もなく、人事や総務担当者の負担を減らすこともできます。
 
合格者の成績とその後の業績の関連性を確認できるなど、結果をもとに問題や合格基準のブラッシュアップがしやすいというメリットもあります。

社内資格制度の試験

昇進や昇給のほか、社内資格制度の試験としてもCBTを役立てることができます。手作業を含むような実技の資格試験にはやや不向きですが、そのほかあらゆる職種の知識系の試験には適しています。実技が必要な資格でも、知識面の試験として組み合わせると試験の精度も高められるでしょう。
 
昇進試験と同じく合格者の成績とその後の業績の関連性をみることで、資格制度の改善・向上にも役立てることができます。内容によってはeラーニングなどの研修と連動させることも可能です。

新入社員研修などの確認試験

新入社員研修などの確認試験としてもCBTを活用できます。とくに基本的なビジネスマナーなどは内容もおのずと決まってきます。また、過去の受験者による問題の漏洩(覚えておいてこれから受験する人に教えるなど)も事実上ほぼ起こらないといえます。同じ問題を繰り返し利用でき、少ない負担で習熟度を確認することができます。
 
基本的なビジネスマナーなどは、サービス提供者が用意したコンテンツを使ってeラーニングで学習する場合もあるでしょう。そのような場合は問題の取捨選択もeラーニングのデータを活用することができるので、さらに負担が少なくて済みます。

社内でCBTを導入する前の注意点


実際に社内でCBTを導入する際には、以下の点に注意が必要です。
 
・前の問題に戻れるようになっているか
・動画やリスニング、スピーキングなどの問題形式に対応できるか
・結果の通知をどのような方法で行うか
・不正防止対策ができるか
 
具体的にみていきましょう。

前の問題に戻れるようになっているか

問題を解き進めているうちに、「さっきの問題、間違えたかも……」と戻って確認したくなることがあります。そのようなときに備えて、解答済みの問題へも戻れる導線を確保しておきましょう。


動画やリスニング、スピーキングなどの問題形式に対応できるか

試験において一般的な出題形式は「記述式」と「選択式」ですが、ほかにも動画を視聴しての出題、語学などの試験ではリスニングやスピーキングの問題などもあります。どのような問題を出題する必要があり、実際どの形式で出題するかを確認しておきましょう。


結果の通知をどのような方法で行うか

試験が終わった後、受験者へ結果をどのような形式で通知するかも確認が必要です。合格・不合格が試験直後に判明するのか、後日通知する形にするかを検討しましょう。

不正防止対策ができるか

カンニングなどの不正防止対策を導入できるかどうかも重要なポイントです。Webカメラなどを利用した試験中の監視のほか、他のアプリケーションを利用できないようにする、コピペ不可にするなど、どのような不正防止対策が必要かを確認し、導入を検討しましょう。

社内でCBTを導入する方法


社内でペーパーテスト形式からCBT化する際には、どのように進めていけば効率的なのでしょうか。今回はとくに、CBTサービスを提供している会社に依頼して導入する方法について解説します。依頼する会社によって手順は異なる場合があるので、実際に導入時には導入手順をしっかり把握しておきましょう。
 
手順としては、以下の4つのステップで進めていきます。
 
1.ヒアリング(自社-依頼会社)
2.要件定義(依頼会社)
3.設計・開発(依頼会社)
4.運用開始(自社)
 
それぞれの手順についてみていきましょう。

①ヒアリング

CBT化するにあたって、まずは、依頼会社が自社の現状について詳細のヒアリング調査を行います。現状の一斉ペーパーテスト形式で抱えている課題はもちろん、今後会社として進むべき目標、具体的な活用シーンなど、CBT化に関わるさまざまな事項について依頼会社と細かくすりあわせを行っていくフェーズです。
 
ここで大切なのは、「なぜ試験を行うか」という目的を明確化することです。会社として試験の目的を明確に定義することで、達成するためにはどのような問題を出す必要があるかを把握しやすくなります。

②要件定義

ヒアリングが終わったら、試験仕様に関する要件定義を依頼会社が行います。現状実施している試験をベースとして、具体的な内容を詰めていくフェーズです。
 
決めるべき内容としては、具体的に以下のようなものがあります。
 
・問題数
・試験時間
・出題形式(〇×選択式/複数選択式/記述式など )
・問題の難易度
・合格点

③設計・開発

要件定義に則り、依頼会社が試験問題を規定のフォーマットに落とし込んで設計・開発を行います。受け入れの際には、CBTシステムとしてニーズをしっかり満たしているかどうかを確認する必要があります。
 
問題の内容や妥当性はもちろん、フォーマットや出題文の表現、類似問題はないか、難易度が極端に異なる問題はないかなどを細かく確認しましょう。

④運用開始

完成したCBTに問題がなければ、実際に運用開始となります。リリース後も、依頼会社のカスタマーサポートなどと連携して運用していく必要があります。
 
運用を開始してから重視しなければならないポイントが、成績と受験者情報の管理です。受験者ごとの合否はもちろん、受験者の属性や点数ごとのサマリーの抽出、問題ごとの正答率や解答時間なども確認・分析ができると、今後の課題解決に役立つでしょう。

社内試験のCBT化における試験問題の作成方法


ここでは、社内試験を作る方に向けて、主に試験問題の内容面について、どのように作っていくかを解説します。サービスの導入・設定はケースバイケースになるので、サービスの提供者のレクチャーに従ってください。試験作成は以下の手順で行います。
 
➀試験目的の明確化
②形式・難易度・合格点の決定
③内容の決定
④表現・体裁の統一
⑤取り込みできる形式にデータ化
 
順にみていきましょう。

➀試験目的の明確化

まず、試験の目的を明確にします。どんなスキルの達成度をみたいのか、そのスキルは自社の何に必要なのかなど、ごく基本的なところから改めて明確にします。たとえば「新人が接客するために必要な最低限の知識・技術があるか」をみる試験で、「お客様に失礼のない接客を行うために必要」などです。
 
目的がはっきりしているほどブレがなくなります。途中で意見が分かれたときや迷いが生じたときも、目的に立ち返って判断することが可能になります。

②形式・難易度・合格点の決定

目的がはっきりしたら、徐々に形式・難易度・合格点など全体像を決めていきます。
 
形式には、〇×式・択一式・複数選択式・記述式などがあります。難易度は出題形式も関係します。今挙げた形式では、上記の順に簡単で難易度が低いといえます。
 
試験の内容や目的・難易度をもとに、合格点をどのぐらいに設定するかイメージしておきます。完璧でなければならない内容なら、満点のみ合格とすることもあります。最低限の理解を求めるなら、正答率70%を合格ラインにするかもしれません。さまざまなケースがあるでしょう。

③内容の決定

全体像を決めたら、具体的な出題内容を決めていきます。出題したい内容をできるだけ多くピックアップして、難易度や目的に合わせて取捨選択していきます。似すぎている問題がないか、設定した目的や難易度から外れる問題はないか、複数人でよく確認しましょう。
 
なお出題内容をランダムにするCBTの機能を使いたいなら、実際に出題する問題数より多く問題を用意しなくてはなりません。ただし用意する問題数には多少注意が必要です。たとえば50問の試験に200問用意した場合など、ランダムに出題すると受験者によって出題内容がまったく違うことになります。
 
難易度が確実にそろっていればいいのですが、ムラがある場合は合否に影響する可能性があります。共通の問題が多いほうが、精度の高い結果が得られるでしょう。

④表現・体裁の統一

出題する内容が揃ったら、それぞれの表現や体裁にバラつきがないか確認して統一します。
 
わかりやすい例としては「です/ます」と「だ/する」が混在している場合があります。また「誤り」と「間違い」、「~を選びなさい」と「~はどれか」など、類似の表現が混在しているのも好ましくありません。そのほかやむを得ない場合もありますが、設問文の長さに極端な差があると不揃いな印象となってしまいます。

⑤取り込みできる形式にデータ化

内容と体裁が整ったら、最後にシステムに取り込める形式にデータ化します。CSVやExcelデータなどを利用するケースが多いでしょう。

CBTの導入例



では、実際にはどのような導入例があるのでしょうか。弊社の場合の例をごく一部ご紹介します。
 
・大手企業の社内試験
・大手企業の社内教育
・大学・予備校などの学習システムとしての活用・試験配信など
・資格試験など
 
社内試験の例では、業務担当者に必要な知識のテストとしての利用です。社内教育については、コンプライアンス教育の教育効果の測定として導入されました。研修前後のテストに利用されている例もあります。この例ではテストと学習システムを組み合わせての利用ですが、大学・予備校でも学習システムとしての活用もされています。そのほかもちろん資格試験でも利用されています。
 
詳細をご確認されたい方は以下のリンクから実例をご覧ください。
 
MASTER CBT Plus(+)導入事例一覧

CBTと今後


CBTは今後ますます広く活用されていくと考えられます。試験方式自体の利便性はもとより、社会の流れが求めるものに合致しているからです。
 
CBTは、再現性・利便性が高い試験方式です。また、コンプライアンス遵守やハラスメント対策など、企業において必要な教育・研修が多様化・増加しているという側面もあります。さらにコロナ禍をきっかけとするオンライン化や政府による文書の電子化の推進といった時代的な潮流もあります。
 
上記のような要因により、今後いっそう試験のIT化が進むと考えられます。企業においても活用しやすい試験方式であり、導入することによるメリットも多くあります。貴社が研修や社内の試験を行っているのなら導入を検討することをおすすめします。

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