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社内研修の効果測定に有効な方法は?効果測定の課題とポイントを解説

社員のスキルアップやチームビルディングのために、社内研修を実施している企業は多いのではないでしょうか。しかし、実施しただけでは、社員に知識やスキルが定着するとは限りません。社内研修で設定した目的・ゴールが達成されたかどうかを把握するには、適切な効果測定を行う必要があります。
 
本記事では、社内研修における効果測定の課題やポイント、具体的な測定方法をご紹介します。


目次[非表示]

  1. 1.社内研修の効果測定における課題・ポイント
    1. 1.1.研修テーマ・手法が多様化している
    2. 1.2.オンライン研修は理解度の把握がより困難になる
    3. 1.3.人的資本の開示が義務化された
  2. 2.社内研修の効果測定における評価指標
    1. 2.1.レベル1:反応(Reaction)
    2. 2.2.レベル2:学習(Learning)
    3. 2.3.レベル3:行動(Behavior)
    4. 2.4.レベル4:結果(Result)
  3. 3.社内研修における効果測定の方法
    1. 3.1.研修後アンケート:満足度を測る
    2. 3.2.理解度テスト:理解度を測る
    3. 3.3.活用度調査:研修後の行動量を測る
    4. 3.4.ROI分析:研修コストに対する業績向上の度合いを測定する
  4. 4.まとめ


社内研修の効果測定における課題・ポイント

近年、社内研修の手法の多様化や企業を取り巻く状況の変化によって、効果測定の難易度が高まっています。
 
まずは近年の情勢をふまえた社内研修の効果測定における課題・ポイントについてみていきましょう。

研修テーマ・手法が多様化している

質の高い社内研修を継続して行うには、効果測定で客観的に研修を評価し、改善の取り組みを続ける必要があります。ところが、近年は効果測定の難易度が高まっています。
 
これは、社会の急速な変化に対応するべく研修テーマや手法が多様化しているからです。
 
時代の要請に合った競争力のある人材を育成しようと思えば、研修テーマは多岐にわたります。
 
また、研修手法には、現場で行われるOJTのほか、講義や実技、eラーニングなどを通じて行うOff-JTといった種類もあります。
 
企業は、研修テーマや手法に応じて適切な評価指標や到達目標を設定しなければなりません。

オンライン研修は理解度の把握がより困難になる

コロナ禍で普及が進んだオンライン研修は、コスト削減や時間・場所の自由度といったメリットがある一方で、対面研修と比較すると受講者の理解度の把握が難しい側面もあります。
 
講師や運営側にとっては受講者の様子を把握しづらく、対面研修よりも得られる情報が少ないことがその一因です。理解度・習熟度に応じた個別のフォローをしづらい点もオンライン研修の難しさだといえます。
 
きちんとした成果につなげるためにも、オンライン研修では対面研修より慎重に学習効果を測定する必要があるでしょう。

人的資本の開示が義務化された

2023年3月期決算から、上場企業の有価証券報告書に、従業員のスキル・経験にあたる「人的資本」についての記載が義務化されました。それにより、社内研修の情報も開示が求められます。
 
費用対効果の分析やさらなる従業員の能力開発を行う上で、効果測定は一層重要性が増すでしょう。
 
中小企業もこの流れに無関係ではありません。人的資本の開示が進んでいる背景には、ESG投資の広がりや、人的資本に関する情報開示ガイドライン「ISO30414」の公開といった国際的な流れがあります。
 
人的資本の開示は企業価値の向上にもつながるため、やはり中小企業にとっても効果測定の重要度は高くなっていくことが予想されます。


社内研修の効果測定における評価指標


社内研修における効果測定の基本となる考え方が、教育の達成度を測る「カークパトリックモデル」です。受講者の姿勢・行動の変化やモチベーションといった可視化が難しい効果も測定できます。社内研修の効果測定を理解する上での助けとなる評価法です。
 
カークパトリックモデルは以下の4段階からなりますが、すべてのレベルで研修を評価する必要はありません。研修目的や測定方法の難しさ・手間なども考慮し、レベル1や2のみで実施される場合もあります。


レベル1:反応(Reaction)

研修に対する受講者の「反応」を評価する段階です。受講者の満足度を指標として、研修後のアンケートで測定します。満足度によっては、研修内容や指導方法の改善が必要です。アンケートへの回答を通じて参加者が研修内容を振り返る機会にもなります。


レベル2:学習(Learning)

研修で学んだ知識・スキルを評価する段階です。理解度テストやレポートなどを実施して、研修に対する理解度・習熟度を測ります。学習成果を測定できることに加え、受講者に学習内容を定着させる効果もあります。


レベル3:行動(Behavior)

研修後に、職場での行動変容を評価する段階です。レベル2で学習した知識・スキルが、実際に職場で活用されているか否かを問います。一定期間が経過した後に活用度調査を実施して、行動量や定着度の測定に役立てます。

レベル4:結果(Result)

業績や生産性の向上といった業務上の成果をもとに、会社への良い影響を評価する段階です。レベル3で起こった行動変容が価値を生み、会社全体の利益に貢献しているか否かを測定します。
 
研修の目標に応じて、売上や成約件数、顧客満足度などを指標にしたり、ROI分析を行ったりして効果を測ります。ただし、企業業績への影響を評価することは難しく、レベル1から3を含めた総合的な評価が必要な場合もあります。


社内研修における効果測定の方法

 次に、カークパトリックモデルにおける4つのレベルを測定するための具体的な方法を解説します。

研修後アンケート:満足度を測る

レベル1の到達度を測定するのに適した方法です。テーマ選択やわかりやすさ、講師の教え方、時間配分などをアンケート項目にして研修の満足度を測ります。
 
選択式の質問は数値化しやすく、回答率を高めたいときに効果的です。意見や感想を自由に記載できる記述式の質問もあると、より参加者の本音を反映させた結果が得られます。

理解度テスト:理解度を測る

筆記試験や実技試験、eラーニングでのテストを通じて理解度・習熟度をチェックし、レベル2の到達度を測定します。研修前後の実施や非受講者と比較などの方法も効果測定には有効です。
 
知識定着にも寄与するほか、テスト実施の事前告知や結果の見える化などにより、受講者の真剣度が増す効果もあります。
 
イー・コミュニケーションズ」が提供しているeラーニングプラットフォーム「SAKU-SAKU Testing」なら、自社の研修内容に合わせた学習コンテンツやテストを作成することが可能です。
 
動画やスライドによる配信ができ、受講者はコンテンツの受講状況や結果をリアルタイムで把握することができるため、研修の習熟度を高めることができます。
 
「マニュアル不要で誰でも操作ができる」をコンセプトに開発しているため、導入後は担当者の負荷も少なく、効率的な運用が実現します。
 
社内研修における知識の定着を強化したい企業様は、ぜひご検討ください。

活用度調査:研修後の行動量を測る

受講者へのアンケートをはじめ、上司や同僚・部下へのヒアリングなどでレベル3を評価する方法です。主観・客観の両面から研修前後の仕事への取り組み方や行動量の変化を評価するほか、非受講者との比較も行われます。
 
行動量を定量化できると効果測定に便利であることに加え、目に見える形で成果を示せます。
 
また、たとえ行動変容が起こったとしても一時的なもので、元に戻ってしまうケースも少なくありません。そこで研修終了後、一定期間を空けて複数回実施すれば、定着度や習慣化まで調査できます。
 
さらに、行動量の推移をみるだけではなく、行動量が上昇した理由や行動変容がみられない原因を分析することも重要です。行動変容がない場合は、研修内容に加え、研修の意義や職場環境などを見直す必要も出てくるでしょう。

ROI分析:研修コストに対する業績向上の度合いを測定する

レベル4の測定に効果的なのがROI分析です。人件費やテキスト代などの研修コストに対してどの程度の効果があったかを測定する方法で、研修前後の変化測定や非受講者との比較も行われます。研修時のROIは、以下の計算式で算定します。
 
ROI(%)=(研修の結果生じた利益-研修コスト)÷研修コスト×100
 
ROI分析は、企業業績への貢献度を具体的に測定できるので、経営視点からみても有益な方法です。成果を見極めるためには、研修の実施から6ヶ月~1年の間で、定期的に行う必要があります。
 
ただし、以下の点で効果測定が難しい側面があります。
 
・経費をどこまで研修コストに含めるかによって結果が異なる
・成果が研修以外の影響を受けている可能性もある


まとめ

企業を取り巻く環境の変化によって、研修テーマや手法の多様化が進み、研修の効果をより正確に測定する方法が求められています。
 
カートパトリックモデルは、社内研修への満足度や理解度をはじめ、行動変容、費用対効果などの測定にも有効な評価法であり、研修内容の改善や人的資本への投資効果の把握にも役立ちます。
 
カートパトリックモデルを効果的に活用し、適切かつ客観的な測定・評価を行うことで、コストに見合った成果を出せる研修の実施につなげましょう。

 

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